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郁美...
「代わるね」
警察官が
簡潔に状況を説明し、
今後の流れについて話している。
俺はただ、
そのやり取りをぼんやりと聞いていた。
やがて電話は俺に戻ってきた。
「達也」
祖母は、少しだけ強い声で言った。
「今からそっちに行くわ。
警察署にも一緒に行くことになるでしょう」
「……うん……」
「一人で行かせるわけにはいかないもの」
その言葉に、
胸の奥がじんと熱くなった。
「……ありがとう」
電話を切ると、警察官が頷いた。
「では、お祖母さまが到着次第、
署のほうへ同行してもらいます。
準備しておいてください」
「……はい」
そう答えた直後だった。
――トン、と階段を下りる足音。
振り返ると、
リビングの入口に郁美が立っていた。
まだ少し眠たげで、
髪も整っていない。
それでも、こちらの空気を察したのか、
無邪気な表情は消えている。
「……達也くん?」
不安そうに、名前を呼ぶ声。
「郁美……」
俺が名前を呼ぶと、
警官が様子をうかがうように口を開いた。
「こちらは……彼女さん、かな?」
その瞬間、
「はい!」
郁美がにっこりとした顔で、
食い気味に声を上げる。




