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獄門ループ ―家族が消えた日―  作者: ダダ太郎


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ずるい

「あ、この煮付け!」


肩越しに身を乗り出し、

嬉しそうに指をさす。


「これはね、私がほとんど最初から作ったんだよ」


自慢するように、少し胸を張る。


「具材切ったのも私だし、

味付けも火加減も、ぜーんぶ私。


ねえ、今日はこれ食べよ?」


近すぎる距離に、

俺は一瞬だけ言葉に詰まる。


「あー……うん……おっけー……」


そう答えると、郁美は満足そうに笑って、

さっとタッパーを手に取った。


迷いなく電子レンジに入れ、

チンした。


「白米、食べるか……?」


「う〜ん」


郁美は少し考える素振りをしてから、

ちらっと俺を見上げた。


「達也くんって、

いっぱい食べる女の子、好き?」


「まあ……好き……かな……?」


その一言を待っていたみたいに、

ぱっと表情が明るくなる。


「じゃあ食べる!」


俺は苦笑しつつ、

茶碗を二つ手に取り、

炊飯器からご飯をよそった。


その間に、

電子レンジがちょうど軽い音を立てて止まり、

テーブルの上には煮付けの皿が並ぶ。


「じゃあ……いただきます」


「いただきます!」


箸を取った郁美は、

煮付けを一口分つまみ、

少しだけ息を吹きかけた。


そのまま、

ためらいなく俺の顔の前へ差し出してくる。


「あーん!」


「いや……いいよ……

自分で食べられるから……」


「たーべーてー!」


「いや、いいって!」


「ねえ!」


声を強めて、

じっと睨む。


「ずーるーい。

桜ちゃんのは食べてたじゃん。


なんで私のは食べれないの?」


「いや……あれは……

半ば強引に突っ込まれてだな……」


「ずるいよ……」


郁美の声が、

急に小さくなる。


「桜ちゃんばっかり……」


そう呟くと、

差し出していた箸を引っ込め、

どこか拗ねたような、

諦めたような顔でそのまま自分の口に運んだ。


もぐもぐと噛みながら、

視線だけがちらりと俺を盗み見る。


そして、次の瞬間、

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