表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
獄門ループ ―家族が消えた日―  作者: ダダ太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

112/122

変な空気

「この間来たばっかりなのに……

なんか、久しぶりな感じがする」


郁美はソファの背に体を預けて、

少しだけ笑った。


「……えへへ」


「……うん」


短く返した俺の声に、

彼女は首を傾げる。


「なんでだろうね……

あ、桜ちゃんがいないからかな」


一瞬だけ間を置いて、

いたずらっぽく続ける。


「桜ちゃんがいるとさ、

せっかくの雰囲気が台無しになるんだもん……」


「桜と、仲良かったんじゃないのか?」


そう言うと、

郁美の表情がわずかに曇った。


「前はね」


すぐに視線を逸らし、

拗ねたように言う。


「でも今は嫌い。

達也くんのこと、誘惑するから」


小さく息を吸って、

言葉を重ねる。


「……というか、

達也くんに近づく女の人は、みんな嫌い」


空気が一段、重くなる。


冗談めかしているようで、

どこか本気の響きがあった。


「……あー……」


俺は居心地の悪さを誤魔化すように

立ち上がる。


「この間来たとき、

作ってくれた料理あるけど……食べる?」


「え、食べたい!」


郁美の声が、

ぱっと明るく弾んだ。


「ほとんど私が作ったみたいなもんだよね。

桜ちゃん、邪魔しかしてなかったし!」


「あー……うん……」


適当な相槌を打ちながら、

俺は冷蔵庫を開け、

作り置きのタッパーを次々とテーブルに並べていく。


プラスチックが触れ合う乾いた音だけが、

静まり返ったリビングに響いた。


その背後で、

ソファから立ち上がる気配がする。


次の瞬間、

郁美が距離を詰め、

俺のすぐ横に並んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ