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来客
結局、今日はそれぞれ家に帰り、
また明日、改めて考える――
そういう、なんとも歯切れの悪い結論に落ち着いた。
俺は自宅に戻り、
相変わらず誰もいないリビングのソファに
深く腰を下ろした。
部屋は静まり返っていて、
時計の秒針の音だけが
やけに大きく聞こえる。
「……警察……連絡しないと……」
そう呟きながらも、
指は動かなかった。
「でも……なんて言えばいいんだよ……」
親が行方不明で、
帰ってきていない。
それだけでいいのか?
――獄門のことは……
伏せるべきか。
頭の中で言葉を組み立てては壊し、
また組み立てる。
結局、考えは
堂々巡りだった。
「……とりあえず、
警察に連絡してから、
祖母に電話しよう」
そう自分に言い聞かせ、
携帯を手に取る。
画面を開き、
110の数字を押す。
あとは、
コールボタンを押すだけ――
――その瞬間。
ピンポーン
インターホンの音が、
やけに大きく部屋に響いた。
「……こんな時間に誰だよ……」
時計を見る。
夜の二十二時。
来客なんて、
思い当たらない。




