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お嫁さん
「……いや……きっと、疲れてるんだよ。
郁美、今日は本当に色々あったしさ……
家に帰って休めば、
また元気になるって」
すると、桜も一瞬だけ
郁美の顔をうかがってから、
できるだけ明るい声を作って続ける。
「そ、そうよね……はは……
郁美、今日はもう帰って――」
その瞬間だった。
「うるさい!!」
空気を裂くような叫び声。
「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!
私は疲れてなんかない!!」
郁美は一歩踏み出し、
俺の腕を強く引き寄せた。
「私、今日から達也くんの家に泊まるから」
「……え?」
思考が追いつかない俺を無視して、
郁美は言い切る。
「泊まるったら泊まるの!!
私将来、達也くんのお嫁さんになるために、
今のうちから、
達也くんの身の回りの世話をするの!!」




