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エリンは掃除も食事作りも買い物もできるそうだ。

もちろん、淑女教育で刺繍や読み書き計算もできると聞いて、これは本当に助かる。

わたしが幸せにしてあげるのではなくて、わたしが幸せにしてもらえるのかもしれない。


エリンの着ていた服は偽エリン人形に着せたので、今はわたしが呼び寄せた簡単ワンピースを着ている。元気になったら細部まで可愛いワンピースを一緒に作ろうね。

回復魔法を念のため何回もかけているから、もう餓死することはないと思うんだけど、まだ栄養剤入りの卵粥もどきしか食べていないから無理しないように。


とりあえず召喚魔法だけは毎日使っているから隠せないから、こういう魔法だけど、珍しいから秘密ねっていうことにした。

エリンは素敵な魔法ねってにこにこしていた。可愛い。


エリンがお昼寝したのを確認して、わたしは2回目の外出。

フードを被って認識阻害魔法と環境魔法をかける。飛行魔法で3軒先のエリンのご実家へ行く。

しばらく建物の傍の木の上から様子をみていたけど、男爵たちは王宮へ行ったようだ。


『探索魔法取得』

今の間に、エリンのお母様の絵を探すのだ。

エリンに聞いたところ、宝石や装飾品は取り上げられたけど、絵には興味がなかったのか、お父様もお義母様も取り上げなかったので、エリンの部屋、使用人の部屋の隣の小さな部屋にあるらしい。

探索魔法で調べ、奥まった暗い廊下を進み、エリンの部屋を見つけた。部屋の中でエリンのお母様の絵だけを収納魔法に収めた。エリンのお母様は儚げな少女のような人に見えた。

エリンが生きていることを知られてはいけないので、欲張ってはいけない。ここはここで終了。

家に帰ってエリンとお昼ご飯を食べよう。


その頃王宮では。

「マグヌス男爵のご家族、陛下の前へ。」

男爵は何でここに呼び出されたのかまったくわからないのか挙動不審のままだ。

「ははっ。」

「それで、マグヌス男爵よ、長女はそこにいるものか。」

控えていた家族も促されて前に進む。

「ははっ、そうでございます。こちらは長女のエリンでございます。」

「長女のエリンであるか。」

茶色い髪に茶色い目をして流行のドレスを着ているがキツイ感じのご令嬢が得意に答える。

「はい、わたくしエリン・マグヌスでございます。」

「よし、捕縛せよ。」

「な、なに?な何故?!」

「その娘を鑑定せよ。」

横から近衛が何人も出てきて男爵家を取り押さえると、一人の男が鑑定を始める。

・・・・・・・

リリア―ノ・マグヌス

10歳

男爵家二女(正式に登録はされていない)

HP43

MP35


生活魔法

庶民生まれの庶子

我儘放題。長女に虐待してきた

・・・・・・・

「婚姻中の不貞に、貴族の戸籍の改ざんは重罪だと知らなかったのか。王宮の鑑定士にはすべてばれることも知らなかったようだな。」

「な、何故、か、改ざんが何故・・急にこのような・・・。」

「昨日、貴殿の本当の長女が道端で倒れてそのまま亡くなったからだ。」

「あ、あいつが・・・。死なない程度に生かしておけと言っていたはずなのに・・・。アンナお前が殺したのか?」

「だ、旦那様わたくしではございません。」

「何もしていないと言うのか、虐待しているのは知っていた。」

「ああ、な、生意気で愚図でさぼりがちなので、躾をしただけです。」

「死ぬまで躾をしたというのか。」

「い、いえ死ぬようなことはしておりません!少し躾をしただけでございます!」

「リリアーノお前か?」

「お父様、わ、わたしはほんの少し叩いたりしただけです。」

「がりがりのぼろぼろだったぞ。あれが躾というのであれば男爵家は最低の教育しか学んでいないようだな。正式な長女を虐げ、庶子を長女と騙る、貴族と聞いて呆れるわ。まぁ貴族でいるのも今だけだ、マグヌス男爵、貴族籍を剥奪する。男爵家の家、財産は国に帰属させる。」

「そ、そんな、お許し下さい。」

「いやよ、わ、わたくしは貴族よ。」

「あ、あなたこの子はどうなるんです。跡取りなのに。」

「ならぬ、何も持たずに、庶民として生きていくように。そもそも、奥方もその娘も庶民時代が長かったではないか。元の生活に戻るだけだよ。」

「い、いや、庶民に戻るにはいや、あいつが悪い。あいつさえ死ななければ。」

じたばた抵抗する娘ではあるが、近衛にかかればどうしようもない。

男爵と奥方は放心しているのか、声も出せないようだ。

「娘、何もしていない長女をいたぶり、その長女が亡くなっても自分の非を罪のないものに擦り付ける悪逆。相当性格がゆがんでおるな。そんな娘に育てたマグヌス男爵、いや、元男爵は貴族でいるにはいろいろ足りていない。我が子も育てられないものに、国の仕事はできまいよ。」


男爵家族は着の身着のまま王都から追放され、二度と王都に入れないように魔法で追放処置をされた。王宮から男爵家にも人が入り、使用人はすべて紹介状なしに解散させられた。長女が亡くなったことを悔やむものもいたが、後の祭りである。男爵家は正当な長女を皆で虐待し殺した家として噂が広がった。


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