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男爵家からお母様の絵を持って帰ってきた。
エリンは絵を抱きしめて泣きそうな顔をしていた。
「マヤ、ありがとうございます。お母様の絵をありがとう…。家にはもう帰らなくて大丈夫ですか?」
「ええ、もう家に帰らなくても大丈夫よ。エリンは貴族じゃなくなったけど、これから楽しいことたくさん経験しよう。」
「帰らなくていいのは、嬉しいです。家はもう寂しくて辛かったから。お父様は怒っていなかったですか?」
「ええ、たぶん大丈夫、お父様のことはなんとかするからね。」
「マヤ、ありがとう。叩かれることも、ご飯を抜かれることも、寒い部屋で寝ることもないんだと思うと嬉しい。
それに家の誰からも無視されるのも辛かった。仲の良かった侍女も辞めさせられたし、優しかった庭師も助けてくれた家令も侍女長もいつの間にかいなくなっていて、なんで生きているんだろうって思っていた。だからありがとう。わたしを見つけてくれて。」
涙目のエリンを抱きしめる。
エリンを引き取ったのは自分の自己満足だ。喪ってしまったわたしのあの子の身代わりにしたのかもしれない。
ぽっかり空いたわたしの心を埋めるために利用しようとしたのかもしれない。
でも、今はどうであれ、エリンがいてくれて嬉しい。
「エリン、わたしのところに来てくれてありがとう。わたしも独りぼっちだったから、エリンがいてくれて嬉しい。」
「マヤも一人なんですね。ひとりとひとりですね。マヤもわたしがいて寂しくないのなら、良かったです。」
にっこり笑うエリン、まじ天使。
2人でふふふ、へへへと照れ笑いした。
ほっとしたのか、エリンはこの後三日間熱を出して寝込んでしまった。
その間に「ポーション作り上級」の本を読み、エクストラポーションとエリクサーを作った。
ちゃんと甘い美味しい味にしたから、エリンも大丈夫だろう。
今は無理して薬で治すんじゃなくてしっかり体を休ませてから飲ませてみよう。
この熱は体ではなく多分心の方の休息だと思うからね。おやすみ。エリン。




