第34話:こくはくってな~に?
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「芽衣ちゃんが?」
「はい。芽衣が悠真お兄ちゃんに会いたいとずっと言っていまして…。」
それは突然のお誘いだった。
体育祭を見事優勝で飾ったのも束の間。翌週からの中間テスト準備期間に入り、もはや恒例となっている我が家での勉強会を開催した。今回から黒紫さんも勉強会メンバーに仲間入りした。相変わらず翔太はテストを呪うように勉強していたが、そんな彼も含めて、いまや私たちは成績優秀者のグループになっていた。そういう意味ではお互いに良い刺激になっている。
そして中間テストが無事に終わり、私はまた全教科満点を叩きだし、学年1位を獲得。みんなも漏れることなく20位以内に入り、黒紫さんと桜井さんに至っては、8位、9位と健闘していた。
さて、話は最初に戻る。
テスト結果が公表された日の昼休み、食堂で昼食を取り終わり、教室で読書をしていると黒紫さんに声を掛けられ、芽衣ちゃんのことを言われたのだ。芽衣ちゃんは黒紫さんの妹、否、可愛い妹である。普段は仕事でいない両親に代わって、彼女が面倒を見ているらしく、そういう事情もあって、部活も時間に融通が利く文芸部に入部している。まあ本人曰く、もともと読書好きということもあったらしいが…。
「それでですね。私の母もぜひ会ってみたいと言っていまして、家に誘ってみたらと言われまして…。」
「それで誘ってくれたと…?」
「いえいえ。私が無理しているとかじゃなくてですね。私ももし家に来てくれるなら嬉しいです。この学校で初めてできた友達ですし。ただ、城田君は部活も忙しいと思いますし…。どうかなと思いまして…。」
「俺は全然いいよ。俺も芽衣ちゃんに会いたいし。」
「本当ですか。良かったです。忙しいから、やんわりと断れるかと思ってました。」
「えっ、黒紫さんのお誘いを断る理由ないけど。」
「!!そうですか…。」
結局今度の日曜日のお昼過ぎに行くことになった。本当は忙しいであろう昼食時間を外したいと思ったが、彼女がじゃあうちで食べていって下さいと言ってくれたので、その言葉に甘えることにしたのだった。
―――――
そして日曜日。
私は午前中の部活を終え、一時帰宅。さすがに汗臭い状況で行くのは忍びなかったから着替えた。
待ち合わせ場所は以前の図書館。待ち合わせの10分ぐらい前に着くと、すでに二人が待っていた。黒紫さんと妹の芽衣ちゃんだ。
「あー!ゆうまおにいちゃんだ!」
芽衣ちゃんは私を見つけると、走ってこちらに寄って来た。なに、あのかわいい生き物は。
「芽衣ちゃん。こんにちは。」
私はしゃがんで彼女と視線を合わせて挨拶する。
「こら、芽衣。走らないの。ごめんなさい。城田君。」
「ううん、全然。待たせちゃってごめんね。」
「いいえ。大丈夫ですよ。芽衣が早く行きたいと言っただけですから。では早速行きましょうか。」
「何か買っていった方がいいものあるかな?一応菓子折りは持参してきたんだけど。」
「ふふふ。」
「えっ、なに…?」
「いいえ。ごめんなさい。まさか同級生から菓子折りなんて言葉が出るなんて思っていなかったので。初めてです。菓子折りを持参した友達は。」
「あ~、なるほど…。」
やってしまったかな…。前世の記憶でお客様を訪問する際は菓子折りもっていく的な文化があったからな。やっぱり無難にケーキ買ってきたよ的な軽いノリにすればよかったかな。
黒紫さんは、行きましょうかと言って、案内をしてくれた。芽衣ちゃんは私と黒紫さんの間にいて、二人と手を繋いでおり、川の字で歩いている恰好だった。
「でもいいんです。城田君らしくて。その菓子折りはあとでおやつで頂きましょう。こちらこそすみません。何か気を遣わせちゃったみたいで。」
「ううん。大丈夫。」
「今日は母が家にいるので、いま昼食の準備をしています。改めて城田君のことを話したら、体育祭の時にかっこよかった人でしょと言っていました。」
「かっこよかったかどうかはわからないけど…。」
「ふふふ。やっぱりその辺は無自覚なんですね…。あれだけ活躍したのですから、かっこいいと思われるに決まっています。倉本さんの話だとあの体育祭で城田君のファンがまた増えたらしいですよ。」
「ファンねえ…。俺会ったことないんだよな。そのファンとやらに…。」
「それは会っていないのではなくて、気付いていないだけでは。」
「あ~。そういえばそんなことを倉本さんと和知さんから言われたとこあるかも…。」
「ふふふ。やっぱり無自覚なんですね。」
「面目ない…。」
「いいえ。そういうところもモテている点なんだと思いますよ。」
「そうなのかな…。でも告白もされたことないからあまり実感ないんだよな…。」
「ねえ~こくはくってなに?」
「「えっ!」」
「ねえ、おねえちゃん。こくはくってな~に?」
「そうね。まだ芽衣には早いかもね。」
「ぶー。またおねえちゃんは、めいをこどもあつかいする~。」
「ははは。」
「ねえ、ゆうまおにいちゃん、こくはくおしえて~。」
「そうだね~。こくはくっていうのは、だいすきなひとに、だいすきってつたえることだよ。」
「それなら、めいもいわれたことある。」
「「えっ?」」
「おなじ、はなぐみのれんくんに、すきっていわれるもん。」
「そ、そうなんだ~。芽衣ちゃんはそのれん君って子は好きなの?」
「え~、すきじゃない~。だって、すぐいじめてくるんだもん。」
「そうか…。」
「ふふふ。何で城田君が少し安心してるんですか?」
「えっ、いや、何というか…。最近の幼稚園児は進んでるな~と思って。俺も告白したことないのに…。」
「ふふふ。そうなんですか。でも、城田君が告白することになったら、女子たちは大騒ぎでしょうね。」
「そうなのかな…。誰も興味ないんじゃない?」
「そんなことないと思いますよ。おそらく誰が告白されたかで話題は持ち切りになると思いますよ。」
「ねえ、おねえちゃんは、ゆうまおにいちゃんに、こくはくしないの~?」
「「えっ?」」
「こらっ、何てこと言うの!」
「え~、おねえちゃんは、おにいちゃんのこと、すきじゃないの?」
「えっ?い、いや、それは…」
「さ、さあ、芽衣ちゃん。おうちはどこかな~。」
「もうすぐそこだよ~。」
小さい子の素直というか、無邪気な言葉って怖いなと思いつつ、私たちは家路を急いだ。今日は暑いのか、自身の頬が少し熱くなっている。ふと彼女を見ると、彼女も少し暑そうに見えた。
そして、そのままお互いに会話もないまま、黒紫宅に着いたのだった。
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