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その11
受け付け嬢が慌てて奥へ走る。恐らく支配人の所へ行くのだろう。何せ僕はあの村長の客だ。その男の持ち物、しかもかなり高価なローブが宿屋の管理下で盗まれたとなるとこれは大失態。貧乏宿屋の一人息子の僻みなのかも知れないけれど、こういう金しか頭にない連中が慌てるのを見るのは気持ちがいい。
支配人がバタバタとフロントへやってくる。40半ばだろうか、いかにも神経質そうな男だ。「ポロッポ様、お召し物が盗まれたそうで。大変申し訳ありません。それはこちらの宿に着てきたあのローブでございましょうか」一見、客の事を心配している様だけど、明らかに責任の逃れ方を考えているな。




