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魔法を感知しろって言われました

 まーちゃんへ

 

 新しい場所にやって来たけれど、大きな出来事はなかったので、駆け足程度に済ませようと思います。


 今、私が寝起きしているのは、部屋の真ん中に大きなベッドがある部屋ね。大きなベッドで寝てるわけじゃなくて、隅っこに小さなベッドが置かれてるの。


 いつもベッドの横に座ってたら、パンとチーズを渡された。


 私にパンとチーズを渡した男の人が言った。

「私は王の家宰を務めるものである。今後はお前の管理も行う」


 家宰っていうのは、地球で言うところの執事みたいなものだよ。


「王はお前に、ヴァレンヌ風の教育を施すことを所望している。後日、教師を招いて教育を行う」


 奴隷に教育だって。

 ふーん、王は私を妾にでもするのかな。


 別に、穴開いてるんだから、突っ込んどきゃいいのに。


 どうせ、私は奴隷で、突っ込んで、ぶって、捨てりゃそれで終わりだよ。


 地球でもさ、貴族や金持ちが妾にするために、女の奴隷を買うことは珍しくなかったんだって。


 この人は家宰だから、一応、覚えておかないと。ぶつ時のクセとかどこを狙って殴ってくるのかとか。

 そうじゃないと、うずくまる時、よく狙われる所を手で抑えないと余計なダメージ増えちゃうからさ。


「今日はひとまず、お前の力を貴族の方たちに披露してもらう」


 私が連れて行かれたのは大きな広間で、大勢の人たちがいた。

 こんな人数に殴られたら生き残ることが無理そうだな。

 何人に殴られても結果が変わらないなら、少しでも楽に死にたいな。


 家宰の人は、

「これから、宮廷魔術師殿が、城内の魔力灯に灯を灯す。どの方角の灯が灯されたか答えてみよ。公平を期するため、どの方角の灯を灯すかは別室で皆様方の代表と魔術師の方でお決めくださいとの王のご指示です」


 大人の人たちが部屋から出ていってから、戻ってきた。


 一人の男の人が魔法を使おうとしたので、私は命じられた通りに、

「北です」


 宮廷魔術師の人が声を上げた。

「まだ、灯しておらぬ!」


 家宰の人が、

「なぜ灯す前に、北だと言ったのだ」


「発動される前から、魔法が北の方角に向けられていたので」


 これくらい分かるだろうよ、雑魚かよ。


「魔術師殿はどの方角の魔力灯を灯そうとされたのですか?」

「き、北……。ま、まさか発動前の魔法の、しかも、方角まで。こんな力は聞いたことがない。こ、この娘は……もしや人智を越え、神の領域におるのでは? これなら、王が手元に置きたくなるのもわかる」


 まーちゃん、このじじい、何言ってるんだろうね。


 大人の人たちも色々と言いだしたよ。


「危険な魔法が使われた時も、発動前に事前にわかるということか……」

「まさか、こんな娘がいたとは」


 女の人が、

「た、たとえ、そうだとしても、王の寝室で暮らすとは許しがたいことです」

「王妃殿下の仰ることももっともで。奴隷の部屋を用意するように王を説得しましょう」


 昨日、視る男に頭を下げていたドレスを着ていた女の人だ。この人は王妃らしい。

 女だからきっとムチや道具を使ってくるだろうからしっかり頭に入れておかないと。


 道具の痛さは素手とはまた違うんだ。

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