第97話 ナレカとカレナとリバティの奥義
◇東京リージョン
「クフフフ、懲りずに同時攻撃をしてみますか。ですが、駒が足りないようですよ」
そう、この東京リージョンでベラカスの駒を見つけて攻撃する役が足りない。
そして魔域にも。どうするリバティ?
(魔族ごときが図に乗って)
「クフ――、へ?」
リバティの台詞にも大分怒気が混じっている。
ベラカスは思わず変な声を上げていた。
女神顕現
フゥゥゥン
直後、リバティが女神のような姿で顕現した。
呪文みたいに言ってるけど、管理者権限付きのキャラを作っただけだ。
「リ、リバティなのかい?」
「はい、ユウキ! 私もゲームに出たくなりました」
ユウキは唖然としている。私もこの姿を見るのは初めてだ。
「その姿は……やはり。ですが、所詮はAIでしょう? 何が出来ると――」
ベラカスはリバティを見て誰かと重ねているようだ。
「はっ、分かってないようですね。私がこの世界の女神だということを」
領域複製
リバティが唱えると、辺り一面の荒野は元のティアジピターの景色に戻った。
呪文みたいに言ってるけど、データコピーしてるだけだ。
さっきから高魔法の真似かな。
「は? な、何が? どこからこんな膨大なデータを?
……そうか、大阪リージョンか!」
ベラカスは辺りを見渡して狼狽えている。
「いつまでもこの味気ない景色にしておきたくないので、上書きしてやりましたよ!」
リバティはやりたい放題やってる気がするけど多少は考えてるんだよね?
私はなんだか心配になってきた。
(リバティ、大阪から東京へのレプリケーションって大丈夫なの?)
(問題ありません、大事なデータは消えないよう差分チェックはしてますから
さぁ、フィナーレですよ)
武装複製
ヒュイーン!
リバティの目の前に光投天槍が現れた。
「え?どうやったんだ、リバティ?」
ユウキは何が起きたのか付いていけてないようだ。
大阪リージョンで今私が生成しているものをレプリケーションで顕現させたんだね。
「よしよしいい感じ。ちゃっちゃと終わらせよう。皆、足止めヨロシク!」
「頭数揃えたところで、無駄なこと――、あっ!」
「女神の足枷!」
(女神の足枷!)
(女神の足枷ぇ!)
ユウキ、リマ、マリは各世界でベラカスに対してスロウをかけた。
これで、ほぼ的は固定化された。
「クフフ……ここまで追いつめられるとは思いませんでした。
後悔することになるでしょう。決して小生を倒すことはできない」
動けない状態でベラカスが口を開く。だが、なんだか余裕が感じられない。
(まだ視えてないと思ってるのですか? おめでたい方ですね)
「へ?」
私はベラカスを動揺させるために煽った。
(コアの同期。隠蔽された独自のルートを使って魔力供給してるんだよね?
それで、コアが破壊されたら、健在なコアから複製されて本体が復活する。
その時に大量の魔力の流れが発生する)
続いてナレカが解説する。ネタバラしをするつもりはなかったけど、まぁいいか。
「そんなことまで気付いているとは……。ですが、ルートは完全に隠蔽しているはず」
「分身や手下の蟲を叩く程度では、その世界にいる本体が何とかするし、コア1つ破壊された場合の複製に使う魔力も旨く誤魔化せてたんでしょう。
ですが、リアルリバティアスとリバティアスダイヴ同時破壊で複製させる魔力量は相当だったみたいですね。そしてそれは全て魔域からの供給となる。
ゆっくり復活すればバレなかったでしょうが、急ピッチで対応するから、ボロが出ましたね。供給元が丸見えでしたよ」
さらにリバティが私の作戦を細かく解説する。
その長話に聞き入っているベラカスは完全に隙だらけだ。
(やれやれ、ようやく理解したよ。アンタ等頭いいね)
(ああ、そんなこと、よく思いつくもんだぜ)
ジンギとキズミが感心している。というか若干引いている様にも見える。
(よっしゃ、よっしゃ、フィナーレだな!)
(いいから、さっさと終わらせてくれ)
ギンジとミズキからは急かされた。
「何度でも復活してみろ! 我々が食い止めてみせる!」
「ちょっとリーダー。もーぅ復活されちゃ困るって」
ロウガとカムイはまだまだやる気のようだけど、もう勘弁してほしい。
「ぐっ、そんな光の棒切れごときに私がやられるはずありません」
全く往生際の悪い奴。しかし、リバティは不安そうな声で答えた。
「チーフ、ナレカさん、たしかにこれで一応準備は出来ましたが、光属性の槍が魔域でどれくらい減衰するか読めないので、止めになるかは分かりません」
リバティが土壇場で懸念事項を言ってきた。奴と言う通りということか。
(3本あるし何とかなるんじゃない? 前もサールテに届いたし)
私は前回の実績から楽観的に答えた。
「前回は異界交信でサールテの目の前に魔法陣出せたので……」
リバティはまだ自信がなさそうだ。
(威力が足りないなら、もう一回女神術付与すればいいんじゃない?)
ナレカが女神術の重ねがけを提案してきた。
光投天槍はエッジとローライトの重がけをすでにしている。
そこにさらにローライトっていけるのかな?
「やってみる価値はあるかもしれませんが、武器が持つかどうか……」
(そ、じゃあ、やってみよう。女神の昇天! 神術付与!)
ナレカは光の女神術を重ねがけした。リアルのナレカの武器が徐々に壊れている様に見える。
(おお! やはり武器にダメージがあるようだけど、思ったより余裕がありそうだよ)
リバティはその効果を即座にリバティアスダイヴに反映させた。私も続いて重ねがけする。
「そ、そんなはずはありません! ハッタリです!」
もう少し見てようかと思ったけど、武器も持たないし、そろそろお終いにしよう。
(んじゃ、行くよ、ナレカ、リバティ、強化版光投天槍、改め、”光投天破槍”!)
ヒュィィィィィィィィィン!
私とナレカは共有意識の中でタイミングを完全に合わせた。
そして、リバティも私を模倣してタイミングを合わせた。
私の光投天破槍は大阪リージョンのベラカスのコアを貫通した。
「凛堂カレナッ!何度やっても……ぐふっ!」
ナレカ放った光投天破槍はリアルリバティアスのベラカスのコアを貫通した。
(ナレカ・ドーリンッ!結果は同じ……ぐえっ!)
さらにリバティの放った光投天破槍は東京リージョンのベラカスのコアを貫通した。
(女神の紛い物ごときに……ギエッ!)
各世界から放たれた光投天破槍はベラカスのコアを貫通した後、隠れたゲートを通じて魔域に向かって飛んでいった。
最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。
面白いと思った方は、いいね、評価、ブクマ、感想、誤字ご指摘、何でも結構ですので、いただけますと幸いです。




