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リバティアスダイヴ ~カレナとナレカの仮想世界 カレナはナレカの世界を救うためゲームを作る~  作者: リバティ
第2章 ティアジピター編 ~ナレカとカレナの世界への侵略者~
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第98話 ナレカの最後の仕事


◇魔域◇


 虚空に映し出されたリアルリバティアスの状況を3人の魔族が見ている。


「さて、そろそろティアジピターが魔に呑まれるころかしらね」


魔女は笑みを浮かべながら、答えた。


「ふんっ、回りくどいことを……」


屈強な悪魔は腕を組んで現地の様子を見ていた。


「無駄なことを――、あっ!」


余裕で話していたベラカスが突然妙な声を上げた。


各世界でベラカスに対してスロウがかけられ、動けなくなっている。


「あらあら、ベラカス、ピンチなんじゃない?」


「クフフ……ここまで追いつめられるとは思いませんでした。

後悔することになるでしょう。決して小生を倒すことはできない」


こちら側のベラカスはまだ余裕を見せていたが、向こうでのやり取りでみるみる焦りに変わっていった。

細かい会話の内容までは他の魔族には聞こえてないようだ。


「何をしているベラカス?」


「――ハッタリです!」


ピーーン!


ゲートの向こうで何かが光った様に見えた。ベラカスは挙動不審になっている。


「あら? どうしたのかしら?」


ゲートの先から3つの光点が現れた。


ヒュヒュヒュッ!

ドスドスバスッ!


「ぐぇっ!」


光投天破槍の1本目がベラカスの胸に突き刺さった。


「あふっ!」


2本目は魔女の胸に突き刺さった。


「ふんっ!」


3本目は屈強な悪魔が素手でキャッチした。


「あ、な、な、なぜ? 見えない……はずでは……?」


ベラカスは瀕死の状態でポツポツと言葉を発した。


「うぐっ、そう、ね。ただの人間には見えるはずがない。

どんなトリックを使ったのかしら?」


「ふんっ、所詮は下らぬ玩具だ!――、ん?」


3本の槍はより強い光を放ち始めると、神々しい女性の幻影が現れる。


「汚らわしい魔族ごときが、いつまでも神の体で遊ばないで」


ピーーン!

直後、光投天破槍は眩い光を放ち辺りを飲み込んだ。


「あら? これは失礼――」


「ふんっ!」


光に包まれながらも魔女と悪魔は余裕の表情が伺える。

しかしーー


「こんなはずは、あ、あ、あーっ」


最後の本体だったベラカス伯爵は蒸発していった。


 光が収束すると、辺りに静寂が戻り、クレーターが残った。

クレーターから少し離れたところに少々焦げた魔女と悪魔が立っていた。


「ふんっ! ベラカスは逝ったか。腑抜けめ。なんだ、貴様も終いか?」


「んふっ、これ、誰の体だと思ってるの?聖槍で倒そうなんてお笑いよ。

それにしても、ベラカスの能力を最大限に引き出せるように各世界を繋いであげたのに残念ね。

予想外に人間が強かったのね。いいわ、このゲームは終わり。この借りはいずれ返してあげるわ」


魔女はパチンと指を鳴らすと、ゲートにヒビが入り粉々に砕け散った。

これで魔域との繋がりは完全に断ち切れた。


◇リアルリバティアス◇


 魔蟲は全て消滅し、辺りに静寂が戻った。


「終わったのですか?」


クラウドは辺りを警戒しているが、ベラカスが復活する気配はない。

帝国軍、ティアジピター軍は勝利の歓声を上げた。


「終わったようだねぇ、やれやれ疲れたよ」


「超面倒臭え敵だったぜ全く」


キズミとジンギも武器を収めてその場に座り込んだ。


「王妃!」


付近に敵がいなくなったので、アタシは王妃の容態を確認した。

ティアジピター軍が回復術を施しているが、効果が出ているように見えない。


「ダメです……傷は深いし、意識も戻りません」


「先ほどバースを試したが失敗した。ここまでかもしれんのう。

まだ霊体は残留しておるようじゃが、肉体に戻れぬか」


エルフ長も回復術を施しているが、こちらもあまり効果が出ていないようだ。

目を細めて諦めの表情になっていた。バースか。蘇生は成功率が低い。

アタシも女神眼で王妃の霊体を確認した。ならばーー


「それは女神の生誕……」


 アタシは王妃の前に立って復活の女神術の詠唱を始めた。

以前不完全ながらカレナがやってジンギを助けたことがある。

アタシにも出来るかもしれない。


「はっ! これはたまげたのう! 中々多才ではないか、おぬし」


「期待はしないでくださいね。バース!」


フィーーーン!


霊体が肉体に戻るのが見える。上手くいったのだろうか。

しかし、完治には程遠い。まだまだ不完全か。


「ゲホッ!ゲホッ! 早く助けんか馬鹿者!

もう少しで本当に天に召されるところであったぞ!」


王妃は無事に目を覚ますと、ティアジピター軍からさらに歓声が上がった。

いや、いいから早く医務室なりに運びなよ。


「おぬしは寝ておれ。ほれ、瀕死なのは変わらんのだから、さっさと治療せんか!」


王妃はエルフ長に頭を押さえつけられていた。ティアジピター軍は慌てて治療を継続する。


「ふぅ、最悪の事態は何とか回避できたようですね。

しかし、王妃が床に伏してる状態となると、我々の方でーー」


「余計なことはせんでよい。帝国なぞに国を好きにさせられんわ。

王妃の代わりはワシがやる。今までもそうしてきたのじゃ」


クラウドが支援を申し出ようとしたが、エルフ長がきっぱり断った。

自国の政治に介入されるのが嫌なんだろう。

後処理は色々残ってはいるけど、事態は収束に向かっているようだ。


「さて、と、こっちは何とか大丈夫そうね」


アタシは意識体を分離した。


「おや、どちらへ行かれるのですか?」


クラウドは怪訝な表情でアタシに聞いてきた。


「カレナのところ。念のためね」


「おい、まさか!」


ジンギは何かを察して立ち上がろうとしたが、

力が入らないのかまた座り込んでしまった。


「念のためだって。皆は休んでて。ちょっと様子見てくる」


アタシは転移魔法陣を通ってリバティアスダイヴへ向かった。


向こう側に行けるのは今はアタシだけだ。

ジンギとキズミ、クラウドは煮え切らない表情でアタシを見送った。


最後まで読んでいただき、誠にありがとうございます。

面白いと思った方は、いいね、評価、ブクマ、感想、誤字ご指摘、何でも結構ですので、いただけますと幸いです。

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