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邂逅、同期生ども

主人公にチート能力はありませんが、ディスカバリー社にはソレを持たせました。

日本国が長年かけてかき集め続けたアメリカ国債という膨大な資本金です。

ほっといてもドルを算出できるため、普通の株式会社どまりの民間宇宙企業よりだいぶ有利チートに事を進められる……ということにしました(暴言

「ヤマトの同期生は先日揃ってね君が最後の一人、つまりヒーローは遅れてやってくる的な」

「やめてくださいよ3M、俺からすりゃ大遅刻ぶちかました無能野郎みたいに感じちゃう」


HAHAHAと笑い飛ばされたがこれがジャパニーズの精神性なのだから仕方ない、呼び名は俺と分かればどうでもいいので好きにしてもらえればいい。


そんなことより、このステーションに入ってから職員とみられる人員とかなりすれ違っている。外から見たことがないのでステーションのサイズもわからんのでアレだが、結構な数が働いていそうな感じだ。

ともかく今現在ブリーフィングルームの前まで来たところで、ここが座学などのカリキュラムで使用される部屋らしい。


「みんなの3Mだ、今日は転校生を連れてきたよ!」

「誰が転校生じゃい。それはともかくジャパニーズ・ブラック・カンパニー・ソルジャーの大和夏樹だ、呼び方は好きなようにどうぞ」


このスペシャルマッチョマンの嗜好がわからん……思わずツッコミを入れてしまうが関西人じゃないんだからうまくできねーんだ勘弁してくれよ。

ツッコミ直後に顔を上げると、黒髪2に金髪1が見え、明らかに日本人的な顔をした奴は一人もいないのを確認している。


それで「大和夏樹」で自己紹介して通じるのかというと、ARゴーグルつけときゃそれぞれの言語に翻訳されて声が届けられるので問題ないって寸法だ。

これで日本語しゃべってるのに格好つけて「ナツキ・ヤマト」で発声すると、翻訳で逆転して日本名が「夏樹大和」であるかのように認識されてしまうこともあるので注意が必要だ。


「あっちの金髪はヨハン・ハーヴェイで、オキナワの基地配属経験のある海兵隊員。そっちの一番でかいのはインド人のラーヒズヤ。で、そこの美女はイタリア人のクレリア・ガラッティで、日本留学経験があるから普通に日本語しゃべれるぞ」


oh......Japanese(言語)通じる系の人員が揃ってるなあ。

たまたまかと思ったがそうではなく、現在の火星ステーションは日本を中心としたアジア地域の応募者を集めているそうだ。

近隣地域としてロシア組も似たような土地から集めているらしく、地域影響力の意味でそっちのほうが強くて集めるのに苦労したらしいってのは国籍の顔ぶれを見るとよくわかる。


名前に関してだが多分ミドルネームは省略されてるし、インド人は昔っから姓をあんまり公開したがらないので名だけなんだろうってのはなんとなくご理解している。

マッチョ軍人とマッチョインド人、パスタ美女に加えて社畜という意味不明な研修軍団が結成されることになったわけだがこれどうなるんだろうなマジで。

俺はそれぞれから差し出された手を握り締めてヨロシクを言って回るが、とある人物のところで一言付け加えることにした。


「やあラーヒズヤ、俺を覚えているか?精神的不気味の谷の件だが」

「おおヤマト!覚えているぞ」


世間ってのはクソ広く同時にクソ狭いもんだ。

あの時ネットワーク越しにカワイイ・ガールの見た目でムサいおっさんがゲームをプレイするときのコツを語り合った、件の無口マッチョなプロゲーマーが俺の目の前にいるのだ。

3Mもでかくて分厚いが、コイツはさらにでかい……身長2m近くあるんじゃねぇかコイツ。


それにしても美女に一言付け加えて速攻でふられるという様式美を行わず、マッチョと再会して喜ぶっていうのがまた、俺の人生らしいと思わないか。


「HAHAHAHA、ヤマトとラーヒズヤは知り合いだったか。教官は明日到着ということになっている、タイムスケジュールは後程メッセージを送信するから今日は研修生で親睦を深めるように……バーの位置は今のうちに送信しておく」

「「「「やったぜ!」」」」


こまけぇことはおいといて、おごりで好き勝手やって良いというニュアンスを感じ取った全員の声が揃った。


「ハーヴェイだ、ヤマトって呼ばせてもらうぜ!是非ともマイワイフについて語り合いたいものだ」

「やめてくれ、俺はまだ廃人になって人生捨てるつもりはねぇよ」


改めて、この金髪オールバックのミリタリーズ・マッチョマンと握手を交わす。

マッチョマンことヨハン・ハーヴァード・ハーヴェイは同期組の中で彼が唯一の年上となるようで43歳だ。


彼は海兵隊をわざわざ退役して宇宙に飛び出るためにディスカバリーに入社したらしい。

現在の地上は世界的に軍縮真っ盛りで、浮いた金で宇宙軍や宇宙産業に投資している感じだ。

軍人枠で給与等級に多少のメリットが持てるこの会社は、先の見えてるうだつが上がりきっていない海兵隊員よりはって感じらしい。

PMCって選択肢はなかったのかと聞いてみたが、ロクでもないという返答をもらえた。

 

欠点を一つ上げるとすれば、日本勤務で覚えてしまったVR・HENTAIゲームへの傾倒。

早期リタイアをして数多くのマイワイフと退廃的な生活を送りたいがためという野望を持っていて、タフでマッチョが生み出す無限ともいえる健全な肉体と精神により、廃人化しないままマイワイフライフを楽しんでいるのが厄介だ。


地球のHENTAIゲームコミュニティの話題を見るとわかるかもしれないが、あいつらの会話は本当にお互い疎通できているのかと心配になる感じなのである。

マイワイフに浸りながらもまともな言葉のキャッチボールを可能とする彼の精神力は、まさに軍で鍛え上げられた鋼の意志(Iron Will)の賜物って感じなんだろうな。


「クレリア・ステファニア・ガラッティよ、ヤマト。ところで例のナポリタンとかいう名状しがたい口に出すのも悍ましい食物のような何かのことなんだけれど?」

「あれはパスタ麺を使用した焼きそばだよガラッティ」


日本人からすれば巻き舌になる"ガラッ"の部分が少々苦しいが、慣れるしかない。

大雑把に言えば焼きそばは肉と野菜と麺を炒めてソースで味付けして青のりを振り掛ける食い物、ナポリタンは肉と野菜と麺を炒めてケチャップで味付けしてパルメザンチーズを振り掛ける食い物である。

使用する食材を一部を変えただけの焼きそばに過ぎないのだ、故に洋食と呼ばれる日本料理の1カテゴリに分類されることになる。

という話をパスタ国人に聞かれるたびに答えてきたので、耳がピッツァになったというべき定番ネタである。


彼女は黒髪のロングヘアなのだが、0.3G環境でロングヘアのままというのは大失敗だったようで、近々髪を切ると宣言している。

彼女は高校から大学卒業にかけて日本で暮らしたようで日本語も堪能……これはあくまでついでであり、まったくもって重要ではない情報だが、日本人感覚でいうと割と豊満。

しかし気の強そうなイケメンフェイスで、男装させたら鼻血噴き出して卒倒するジャパニーズ・オクサレサマが結構いそうな感じがする。

彼女がもしパスタ野郎だったらナンパイベントが無限大に増えただろうが、幸いなことに女性なので大丈夫。


技術的にいまだ最先端といっていい国家の人間が何故宇宙に興味を示さないのか、コレガワカラナイなどとつぶやいていた。

それ自体には同意するが、それでも大学新卒でディスカバリーに入社するのはどうかと思うぞ。


なお悲しい事実ではあるが身長は俺と同じか、少し彼女のほうがでかいように感じる。


「ああ、えーと・・・カレーの事なんだが」

「無理しなくていいぞ無口マッチョ」


プロゲーマーにしてボディービルダーのラーヒズヤは35歳。


プロゲーマーとしてプレイ動画配信などもやっているが、とにかく喋らないのが特徴である。

数多くのゲームを配信してきたが、一部のRPG……しかも住人とのコミュニケーションが重要と言われているタイプのタイトルで、一切喋らないままで何故かしっかりコミュニケーションを取れていて、しかも普通にクリアしてしまうという快挙を成し遂げた男でもある。

よくある、プレイ中に自身の姿をワイプで表示させる形式の配信を行っているが、視聴者とのコミュニケーションに至っては無視もしくは文字だったりする……なぜその形の配信を選んだのか、完全にコレガワカラナイ。


ともかく彼のプレイはゲームに搭載されているAIの底力を示したものとして、開発会社の人間すら驚きのあまりひっくり返ってしまい最終的に配信サイトで殿堂入りして永久保存が確定したりなど、数多くの伝説を持っているマッチョマンである。

最初は無口なためPV稼ぎに苦労していたがプレイスキルは圧倒的だし、そのキャラクター性というのが周知されてからは一転して人気配信者の仲間入りすることになり報われることになった。

なお、ボディービルダーとしてもかなりの実績をあげている万能野郎といえる。


ところで俺の呼び名は結局ヤマトで決定すか、名のほうは男か女かわかりづらいしいいのかもしれない……ともかくこの日は4人でしこたま飲んだくれてやった……他人の金で飲む酒はうまいぜ!

年齢国籍出自全部バラバラですが、全員宇宙初心者なので対等です。

SSD死亡事件前のデータには、イタリア人ではなくペルー人男性が入っていました。

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