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春の三片
それぞれ単独で載せるには短すぎる春の詩を三つ集めました。二月、三月、四月の詩です。
『春の雪』
髪に降る 春の雪
消えぬ間の 淡いくちづけ
さよならが 風に舞い
ごめんねと 目を伏せた
求め合い 支え合い
長い恋に 疲れ果て
傷ついて 傷つけて
最後に触れる やさしさは
春の雪によく似てる
春の雪 手の中で
つかのまに 消えてゆく
つかのまの 青春は
差し伸べた手に ふと止まる
春の雪によく似てる
春の雪 胸に降る
思い出が 冷えぬ間に
もう一度 くちづけを
ぬくもりが 消えぬ間に
背を向けて 立ち去って
振り向けば 闇に降る
春の雪
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短歌『春愁』
見つめ合う 目をそらしても 恋びとよ
咎め給うな これは春愁
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『春』
春の女神ペルセフォネが地上にやってくるとき
彼女は 冥界の扉を開けたままで来るのに違いない
春は 休み無く生まれて 広がって
そうしながらも
冥府の闇に吸い込まれて 消えていく
春 四月
冥界の入り口で
いつもいつも 奇怪な鳥が二羽
黒い翼を広げて貪欲な嘴で刻を啄ばみ
やっきになって春を取り戻そうとしている
季節の詩集、一年間で完結させるつもりでしたが、夏の詩を一遍、うっかり載せ忘れてたので、夏にもう一度更新して、それで完結にしようと思います。




