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27話 旅の途中の老人

 「これ美味しいわよ。あなたたちも食べる?」

 城を出て数時間、馬車ではさっそくお菓子を食べ始め遠足気分のグリンダさん。


「いえ、大丈夫です。それより今夜はどこに泊まりましょうかね?」


「野宿はいやよぉー!」


「おいおい、せっかくテントを買ったんだぞ?」

 アウトドア派のオリビアさんとホテルに泊まりたい派のグリンダさん、面倒な旅になりそうだな……



 静かな森の中を進む馬車。


「助けてくれーーーー!!」


「えっ!?」

 森の奥から助けを呼ぶ声。


「なんだろう!? 行きましょう」

 僕らは馬車を降り、森の奥に走り出す。


「助けてくれ!」

 そこには野獣に襲われている老人がいた。


 ーー炎魔法ーー

 『ゴォォォオ』

 僕の炎魔法に野獣は怯えながら逃げていった。


「大丈夫ですか?」

 僕らは老人に駆け寄る。


「ああ、助かったよ。ありがとう」

 老人は軽いかすり傷で済んだようだ。


「こんな村の近くに野獣がいるなんて……」

 グリンダさんは不思議そうに言う。



 僕らは老人を家まで送ることにした。


「ほんとにありがとう。みなさんがいなかったらいまごろ野獣に喰われてたよ」


「いえいえ、よかったです」


「最近、この村にも野獣が来ることが増えてね。呑気に農作業もできないよ」


「野獣が来るようになったのは最近なの?」


「お、色っぽい魔法使いだな。そうだよ、ここ最近で襲われる村人が増えてな。今まではそんなことなかったんだが」


「ふーん……」


「どうしたんですか、グリンダさん?」


「いえ、急に野獣が人里に下りてくるなんて珍しいことだからね。気になっただけよ」

 何かを考えているようなグリンダさん。



 老人の村につく。人影の少ない、どこか寂れた印象の村だ。


「この村は農作物がよく採れる村だったんだけどね。

 最近は野獣が喰い荒らしに来てるせいで今年は不作でみんな元気がないのさ」


「それは大変ですね……」


「……さあ、おじいさんも無事に送り届けたことですし私たちも行きましょうか」

 グリンダさんは僕らを急かす。


「……グリンダさん、どうしたんですか? そんな先を急いで」


「い、急いでなんかないわよ!!」

 慌てるグリンダ。なんか怪しいな……?


「……あの、僕たちでこの村を助けられませんかね?」


「いやよ! ただでさ長旅なのよ! こんなところで道草くってらんないわよ」


「おいグリンダ! 聞き捨てならんな。私たちは王宮に仕えてるんだぞ?

 困ってる村人を見過ごすなんて許されないぞ」


「もぉぉお! あんたたちそんなこと言い出しそうだから早く出発したかったのよぉぉお!」


「グリンダさん……」

 この人はほんとに良い魔法使いなんだろうか……と呆れる僕であった。



「おじいさん、よかったら僕たちに魔獣の話を聞かせてくれませんか?」


「あんたたち……助けてくるのか?」

 老人は目を輝かる。


「もう! さっさと終わらせて出発するわよ!」



 老人によると魔獣がこの町に来るようになったのはここ1か月ほど、畑の作物を喰い荒らすようになったようだ

 。

「一か月か……なにかこの村で最近変わったことは?」


「変わったこと……あ、村のそばの山を切り崩す大きな工事が始まったな」


「工事ね……そういうことね」

 グリンダさんは何か納得したようだ。


「わかったんですか? グリンダさん」


「んー、なんとなくね」


「あ、そういえば」

 老人はなにかを思い出したように言う。


「魔獣の群れに人間の女の子がいたって言ってた村人がおったな」


「人間!? 魔獣の群れに?」


「いや、見間違いかもしれんがそんな噂があったな……」


「とりあえず、その工事をしてる山のほうに行ってみましょうか」


「いやー、ほんとにありがたいねぇ。よろしく頼むよ」

 老人はグリンダさんに深々と頭を下げた。


「いいのよ、おじいちゃん、しかたな……キャッ!!!」

 グリンダさんは突然悲鳴を上げる。


「!! どうしました?」



「……このおじいちゃん、私のお尻を触ったわ……!!!」


「ええ!?」


「いやー、すまんねぇ、最近ボケてきちまってねぇ。へっへっへ」


「……くっ! とんだエロじじいね!! こいつを魔獣に喰わせてやりましょう!」


「グリンダさん……」


 僕らは野獣退治に山へ向かった。

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