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16話 ディランとの闘いと新魔法

 「どういうことだ? お前はデーモンの仲間なのか?」


 「あのお方は素晴らしいぞ。私と来い! お前の力はデーモン様のためにこそ使うべきだ」


 「なにを言っている……」


 「お前の魔法見させてもらったよ。その若さで信じられない力だ。天才だよ」


 満面の笑みで僕に近づいくディラン。




 「おそらく魔力だけなら私よりも上だろう。だが、その力を何に使うんだ? 世間に見つかれば人間兵器として戦争に駆り出され、人々からは恐れられる」


 「くっ……」


 「ペルーサ、もうお前は自由になんか生きられないんだよ」


 (……たしかに、僕の心配していたことだ……でも、)




 「もうお前と釣り合う人間なんでいないんだよ。どこまでいっても1人ぼっちだ。私と来い! デーモン様とこの世界を作り替えよう!」




 「馬鹿を言うな!! 」


 ボロボロのオリビアさんが立ち上がる。


 「ペルーサは私の仲間だ! デーモンの仲間になんてなるわけないだろ!!」




 「オリビアさん……」




 「まだ生きていたのか女剣士……お前は黙っていろ!」


 ディランはオリビアさんに向け雷魔法を放つ。強烈な魔法弾だ。




 「くっ! シールド魔法!」


 オリビアさんの前にシールドを作り攻撃を防ぐ。




 「ほう、俺の魔法も防ぐか……残念だよ。その力を手に入れられないのは……」


 「ディラン! お前は許さない! お前はここで倒す!」


 「ペルーサ、お前のレベルは相当なものだろう。しかし、不思議なことにそのレベルからは考えられないほど実戦経験がない……魔力だけで俺に勝てると思うなよ!!」




 ディランが怒りの形相だ。


 「くらえ! 雷魔法――雷の矢――」


 無数の矢が僕に向かう。


 ――瞬間移動―― 僕は矢を避ける。この魔法はずっと特訓していた魔法だ。スピードも精度も自信がある。


 「くっ! ちょこまかと! 雷魔法――雷の剣――」


 ディランは雷の剣を作りだす。




 雷魔法――雷の剣――


 僕も同じく雷の剣を作り応戦する。




 「貴様……いくつの魔法が使えるんだ……?」


 不気味そうに僕を睨み付けるディラン。




 僕の【バランス】は基本魔法は全て使える。レベル100の魔力を合わせればディランにも勝てるはずだ。






 ディランは僕に襲い掛かる。


 雷の剣同士がぶつかり雷が飛び散る。


 魔法使いのディランだがかなりの剣捌きだ。




 「剣は素人レベルのようだな! 切り刻んでやる!」


 「くっ」


 防戦一方だ



 「貴様たちを殺して、城の人間も皆殺しだ!特に姫もな!」


 「! どうしてカノン様を狙う?」


 「カノンは古代文字が読めるからな。デーモン様が唯一恐れているのいるのは古代魔法だけだ! 俺はあの女の監視をしていたのだ」


 そうか……それでデーモンはカノン様に呪いを……絶対に負けられない!!




 ディランはスピードを上げる。防御だけで精いっぱいだ。




 「くっ……」


 ディランが僕を追いつめる。




 「ペルーサ! 私との特訓を思い出せ!」


 オリビアさん……そうか!




 ――肉体強化・眼――


 いつかの特訓でオリビアさんの剣捌きが見えない時、動体視力を強化したことがあった。


 見える! ディランの剣の腕はオリビアさんには遠く及ばない。スローモーションだ!




 僕はディランの剣を弾き飛ばし、斬りつける。


「ぐわあぁぁぁあ」






 今だ!


 炎魔法――火の檻――


 僕は火の檻を作りディランの動きを封じる。


 「ぐぅっ! こんな魔法も使えるのか!」




 風魔法――竜巻――


 ディランを火の檻ごと竜巻で飲み込む。風に煽られた炎は火力を上げた。


 「ぐわあぁぁぁ」


 燃え盛る炎の中、ディランは成す術もない。


 通用する。僕の魔法はデーモンの仲間に通用するんだ!






 炎が消えディランが横たわっている。


 瀕死のはずだが目は相変わらず怒りに満ち溢れている。




 「ディラン。お前はもう終わりだ。お前は国王に引き渡し幽閉する」




 僕はディランの体を拘束魔法で縛ろうとする……その時


 「……甘いんだよ……お前は……!!」


 突然、ディランの額に目玉が現れた。このダンジョンのボス黒い瞳の技だ。




 「なに!?」


 僕は視力を奪われる。




 「これが俺のスキル【模写】だ。見たばかりの技ならそっくりコピーすることができる」


 (くそっ! 油断した。)


 「だから言っただろう。お前は実戦経験が無さすぎる。魔力だけで勝てるほど甘くはないぞ」




 ディランは何も見えない僕に雷魔法を繰り出す。




 「ぐあああ」


 今の状態では避けることもできない!




 「とどめを刺さなかったお前の甘さを恨むんだな。死ね!」


  強烈な雷が僕に向かってくる。どこから飛んでくるかもわからない……




 (くそっ……ここまでか?)


 「ペルーサ!!」


 遠くからオリビアさんの悲鳴が聞こえる。






 視力を奪われた暗黒の中、諦めかけたその時、ポケットに何かが入っていることに気づく。


 「これは……?」


 それはここのボス黒い瞳が落としていった宝玉だった。


 (黒い瞳の宝玉……もしかして?)


 僕は藁にも縋る気持ちで宝玉の魔法を使った。








 ――――視界管理――――




 (視界管理……!? もしかして……)




 「オリビアさん! ディランを見てくれ!!」


 「!? どういう事だ?」


 「いいから早く!」


 「わ、わかった!」




視界管理――共有――


イチかバチかの新魔法。どうなるんだ?




魔法を唱えた瞬間、オリビアさんの視界が僕の脳裏に映し出された。


「よし! そこか!」




僕は迫りくる雷をシールド魔法で防ぐ。




 「なに!?」


 焦るディラン。僕はすかさずディランの元へ瞬間移動をする。




 「な、なぜ見える!?」


 「甘かったなディラン」




 炎魔法――炎帝の拳――




 僕はディランの腹に強烈な一撃を叩きこむ。


 「ぐああああああぁぁぁ」


 ディランは気絶し、僕の視力も戻ってきた。


 「はぁはぁ、よかった」




 今度こそしっかりと拘束魔法でディランの動きを完全に封じる。




 「ペルーサ……よくやった!」


 泣きじゃくるボロボロのオリビアさん。


 「オリビアさんのおかげですよ」




 「ディラン、恐ろしい男だった。早くこいつを連れて城に戻ろう。国王に伝えなければ」


 「そうですね……カノン様も心配です」




 ディランを倒せたがデーモンはカノン様を狙っているのかもしれない……


 もっと強くならないと……




 「視界共有か……そんな魔法もあるんだな」


 「はい、賭けでしたけどうまくいって良かった」


 「視界共有……ペルーサ……」


 「はい?」


 「その魔法、スケベな使い方はするなよ……?」


 「……はい」




 こんな時でも相変わらずなオリビアさんだった。

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