08話 センセーの失踪
前略・・・・・グリフォンの存在がばれました。
「ねーねー何処で捕まえたの!?」
シャルルは依然、九条に質問攻めだ。
九条は黙って鮎川を抱きしめておく他なかった。
〔レイ君・・・・ちょっと私としては恥ずかしいんだけど…〕
「すみません。ですけど、このままじゃ・・・」
このままじゃこの少年に鮎川を連れていかれ、ばらされる可能性がある。
「何を話してるの?僕も混ぜてよ!」
好奇心は人を殺すという言葉を聞いた事があるが、今の状況は・・・あれだ、好奇心は人に迷惑をかける・・・だな。
時間は相当遅くなっているはずだ。だが、時間が此処と時差がある可能性があるため、もし今が1時だとしても此処じゃまだ10時かもしれない。
「おい!シャルル!早く寝なさい!」
ナイスタイミング!
トルトンはドアを開け、シャルルに注意をした。
意識が息子に、父親に向いてる間に、鮎川を鞄に入れる。
「でもね!パパ、このお兄ちゃんね!グ・・・あれ?」
シャルルが振り返ると、もう九条の手にはあの獣の姿はなかった。
シャルルは首を傾げて、九条達に近づく。
「お兄ちゃんも疲れているんだ。寝かせてあげなさい」
九条と鮎川は二人してトルトンに拍手を送りち気持ちでいっぱいだった。
「それじゃぁおやすみー」
「・・・・・・おやすみ」
九条は作り笑いでシャルルを見送る。一方シャルルはというと少しふて腐れたように一言言うと、扉を静かに閉じた。
その瞬間、二人は重いため息が出た。
「はぁーーー・・・・・・・・、どうしましょうか?センセー」
〔どうしよー・・・・ホントにごめん〕
「先ほどセンセーは鞄の中で何をしてたんですか?」
九条は体を鮎川に向けて話しかける。
すると、鮎川は顔を九条から逸らした。
〔さっきのご飯じゃ足りなくて・・・他にないのかなー?って・・・・・・〕
その言葉に、九条はクスクスと笑ってしまった。
〔もう!笑わないでよ!まるで私が食い意地が張ってるみたいじゃない〕
みたいではなく、なってしまった、が正解だろう。
九条は、鮎川の目を見ると言う決心をした。
「センセー、もうすぐこの村は何者かにより襲撃にあいます」
〔誰かが死ぬ未来を見たの?〕
「はい、ここに僕らを泊めてくれた人の娘さんです。どうにか助けられないでしょうか?」
[その何者達がいつ来るか分かる?〕
鮎川は九条の鞄からタオルを取り出し、そこに座った。前足で絨毯を傷つけないようにする為なのだろうか?
「分かりません、会った瞬間の事でした。だから言える事これが起こる事は10日以内って事だけです」
〔ねぇー・・・レイ君〕
「はい。なんでしょうか?」
〔この際、私の存在をみんなにばらしてはどう?〕
鮎川の言っている意味がいまいち理解できない。
九条は鮎川にその真意を聞いてみる。
〔いーい?重要なのは未来を変える事じゃないの〕
「どういうことですか?」
〔重要なのはね・・・人を変える事なのよ。今までは私の存在を隠そうとしたでしょ?レイ君が見た未来というが、私を隠ぺいした末の未来だとしたら、逆に私という存在をばらしてはどう?未来が変わるかも!〕
確かに、利に適っているかものかもしれない。だが、人を変えるって・・・これは『心』を変えると見ても良いのだろうか?
まさかこんな歳になって『人を変える』だなって考えるとは夢にも思わなかった。
「分かりました。明日試してみましょう。もう遅いです、寝ましょう」
〔そうね・・・〕
鮎川は鞄の中に入らず、上で丸まった。
そして、九条はランプの火を消すと二人は就寝に着いた。
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チュンッ・・・・チュンチュン・・・・・・チュン・・・・・
鳥の鳴き声が聞こえる。日の光がまぶしい。
「おはようございます・・・・・センセー。・・・・・・あれ?」
鞄の方を見ると鮎川の姿がない。
嫌な予感がした。
『一応言っとくが、彼女は希少種だ。これから誰が彼女を狙いに来るのか分かったもんじゃない。』
希少種・・・・・。
九条はルシファーのあの手紙を思い出した。
『幻』というだけあって、幻獣は珍しい生き物だ。その上、希少種。
「油断した。まさか寝込みを襲うなんて。誰にでも予想できたのに!」
九条は起こしに来たトルトンにシャルルの居場所を聞く。
「シャルル?あぁ・・・・なんかでっかい袋を持って出て行ったな。そういえば『見せ返す』だの何だの言ってた気がするが・・・」
トルトンの言葉を聞き終える前に九条は家から走って出て行った。
どこなんだ!どこにいる!
九条は鞄を背負い村を走り回る。
森との境界線。昨日見た広間。それと各々の家。
家の前に立つと戸を少し強めに叩く。すると、大人や子供が愛想よく出てきてくれた。だが、九条はその人たちの顔を決して見なかった。
ほとんどの家は知らないと言ったが、一つの家から少し気になる事を言った。
「気のせいかもしれないんだけど、遠くにいる子から『早く、隠れ家に行こうぜ!』って。ここの近くにあるのはあそこくらいかしら」
女性は、頬をさすりながら片手に肘をついた。
「あそこってどこですか教えて貰えませんか!」
九条は女性から隠れ家の方向を聞くと、急いでその方向び走り出した。
家の入り組んだような道になってるせいで、方向を見失いそうになったが、何とか体をその方向に向け耐えた。
「センセー!何処にいるんですかー!」
あの時のように足元にいてくれればと何度も思ったが、思うだけ無駄である。だけど、やっぱりと足元を見てしまう。だが、鮎川は足元に居なかった。
九条は後悔するが、もう遅い。今はその隠れ家を探すことが最優先事項である。九条はただまっすぐその方向に走った。
ダッダッダッダッダッダ・・・・・・・ッザザーー・・・
「あった・・・・・」
それは森の少し深めに進んだ場所にあった。村の家より一回り大きく、コケが密集していた。
くじょうは家の前に立った。
「あと少しだけ待っていてください・・・・」
九条は扉を開けた。




