エピローグ
いま!
今、お茶を含んでなくって本当に良かった!!!
てか臨場感って?
もしかして……その出演者、俺に似てた?
とか聞けるほど心強くないし!!
普通誰も聞けないか……
いや、万が一言えるとしたら真向かいで
初めて来た(勝手に)他人の家(しかも生徒)で、
図々しくお代わりの椀を出してるこの人なら分からないか。
だって多感な高校生の時に家族の前で
堂々とカミングアウトするくらいだからな。
――にしてもAVかそんな声出して……んん???
「え?え!?AVって。
秋助、お前観たことあるの?」
「え?普通に観るよ、皆と」
「秋助……が?」
「うん」
可愛い顔して事もなげにこんな事をいうなんて
お兄ちゃん、ショックなんだけど?
「そんなの観ちゃダメだ。
ハッ!ま、まさか彼女とかいないよな?秋助」
「いないよ」
あ~~良かった。
もう、いたらどうしようかと。
お兄ちゃん焦っちゃったよ~
そうだよな、まだ子供だもんな、いるわけ……
「だって避妊とかさ面倒臭いじゃん。
でも生は怖いしさ。
だからまだ当分先で良いよ、彼女は」
「………………」
「ごちそうさま。
あ、お母さん、
今日夕方さぁ友達の所でゲームしてくるから」
「遅くならないうちに帰るのよ」
「うん!分かった!」
その後、監督を駅まで送るからと
家を出て歩く足取りは重く
頭の中はさっきの秋助との会話が脳内をグルグルと回っていた。
「どうした?」
「さっきの話、考えさせて貰って良いですか?」
「さっきって同棲の件?」
「俺、家を出ない方が良いかもしれないんで」
「は?何急に」
「いや本当に。
俺にとって一大事で。
悪い虫が付かないよう見張らないと……ブツブツ」
「何で急に?もう契約済みで日時まで抑えてるのに。
大体俺より大事なこととか……」
「保留で」
「ヤダ!」
「じゃ延期」
「ダメ!」
俺達がその後、無事同棲できたかどうかは―――また別の話で。
完。




