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新しい世界へ 2

私も手伝いながら、ノインと朝食のお皿を台車に片付けて、今日の予定である武具を揃えるために移動する。


「アネモネ、近くに。」


私がノインの近くに移動すると、ノインは指をならした。


いつもの瞬間移動でやってきたのは、天井が高くところ狭しと並べられた武器がある倉庫だった。


なんとなく、資材が置いてあるホームセンターに近い気がする。


「おう、やっと来たか。」


声が聞こえて振り返ると、私はわぁと感嘆の声をあげた。


そこにいたのは、私よりも身長が低くずんぐりむっくり体型、手足が長くて筋肉スゴくて大きい。

もっさもさな髭と二本の角の生えた帽子でかろうじて目があるのが見える。


────まさか、ドワーフ、なのかな?


ファンタジー世界の住人であるドワーフを連想する見た目に、少しワクワクしつつも挨拶する。


「初めまして、アネモネです。」


「待ってたぞ、ワシは武具の属神──名をダンガという。よろしくのぅ。」


私は頭を下げて挨拶すると、ダンガはがっはっはと豪快に笑った。


「よろしくお願いします。知ってるとは思いますが、武器とか無縁の世界から来ているので、色々相談させてください。」


「若いのに礼儀が出来とるのぅ、あいわかった。何から知りたいんじゃ?」


話し方が父方のお爺ちゃんみたいでなごむわ。


「えっと、武器の種類とか使い方とか、ですかね。」


「そうじゃな、まずはざっと説明するかのぅ。」


そう言いながら、倉庫の中程にある大きなテーブルに案内された。


テーブルには様々な武器らしきものが並ぶ。


ダンガは私の正面にまわり、テーブルを挟んで武器を手に取りながら説明を始める。


「大まかじゃが、武器は剣、斧、槍、弓、そして銃の五種類あってのぅ。中には槍に斧がついた武器や、槍の刀身が剣のように長い武器もあるんじゃ。」


「あー、ハルバードとか、薙刀とかですか?」


「なんじゃ、武器の知識はあるんかの?」


私は苦笑いしながらうなずいた。


単にゲームや漫画、小説と言ったものからかろうじて知ってるレベルだけどね。


並べられた武器を紹介されたが、やはりそう言った知識と合致してるので大丈夫そうだ。


「銃もあったんですね。」


テーブルの上にある黒くて武骨な感じのハンドガンを手に取ると、チラッとハンドガンの形状を確認して、再びテーブルに戻した。


「アネモネの世界にもあったじゃろ?」


「はい、よくご存じで。」


「銃や大砲なんかは地球の知識を、ワシなりにアレンジして広めたからのぅ。」


ダンガの言葉を聞きながら、他の武器にも触れてみる。刃の大きな斧を握って持ち上げてみたら、オモチャのように軽くて驚いた。


振ったり握り直したりとしてみたが、やはり軽くてギャップに戸惑っていると、近くにいたノインが私に話しかけた。


「アネモネ。加護、忘れてる?」


「あっ、そうだよね。あはは、元々軽いのかと思った。」


ノインに言われて頭をかきながら、片手でテーブルに戻す。


ダンガはふむ、と髭をさわりながら私を見た。


「ヴァレアの加護じゃな?まぁ、その斧は軽い方じゃ。ミスリルで作ったヤツじゃからのぅ。」


「この世界にもミスリルがあるんですね。」


「───なんじゃ、ホントになぁんも知らんわけじゃぁ、あらんのか?」


ダンガにそう言われて、私は偏った知識だけですから、と濁した。


素直に話しても問題ないだろうけど、まぁ濁してたほうがいいかな。


────特に理由はないけど。


「ただの鉄や金属で作ったのがこれじゃな。」


ダンガがテーブルに置いたのは二振りの剣だ。


見た目通りの鉄の剣と、金色の装飾がされた鉄とは違う刀身の剣だ。


試しに持つと、鉄の剣は少し重かった。もう一本は鉄よりは軽いが、ちょっと振り回しにくい重さだ。


「なるほど、こんな感じなんだ。」


「どうじゃ?他にもあるから好きに触って確かめてよいぞ?」


ダンガがまるで孫に自慢するかのように、武器倉庫内を案内して、武器の説明をしてくれた。


ノインも私の後ろで話を聞きながら、たまに手にとって確認していた。


私も色んな武器を手にとって確かめながら、歩き回った。


「ん?」


そんな中、私は白金の柄のキレイな長剣を見つけ、手に取ってみた。


長さも重さもちょうどいい感じで、見た目も好みだ。


鞘も少し飾りが付いていて、青い鞘は固い素材だが持ちやすい。


刀身が気になって、長剣を鞘から引き抜いた。


「うわぁ。」


刀身の幅が7センチ位で細身に感じる。両刃で剣先は鋭く、照明にキラリと光った。


「おぉ、白金製じゃな。」


「白金製?」


ダンガが横からのぞきこんで、うむとうなずいていた。


ノインも気になったのか、近づいてくるのは視界の端に捉えたが、ダンガの説明に意識を向ける。


「ミスリルと銀を掛け合わせ、特殊な製法で作られた金属を使っとるんじゃ。」


「キレイだな、と思って見てました。」


「気に入ったかのぉ?」


髭に隠れているが、にんまりと笑っている雰囲気でダンガが聞いてきたので、素直にうなずいた。


「はい、しっくりきました。」


「んむ、ならワシの加護をつけるから、ちぃっと待っとれ。」


ダンガに渡すと、すたすたと何処かへ向かっていってしまった。


改めてノインを見ると、一本の剣を持っている。


「ノインは、それ?」


「うん。」


「へぇ、見せて。」


ノインは持っていた剣を渡してくれた。


黒塗りの鞘に紫の柄で、長さはさっきの白金の長剣よりも長かった。


「ありがとう、長めなんだね。」


と言いながら渡そうとすると、ノインが足元に目をしたまま固まっていた。


「どうしたの?ノイン。」


ノインの視線の先を見ると、一つの小さなテーブルの上に密集するように並べられた七本の短剣があった。


「これ、キレイだね。」


「持とう。」


するとノインが躊躇いなくテーブルの短剣を一本手に取り、私に差し出した。その短剣は、青い鞘と鍔の部分に青い石がついたものだ。


受け取るとすぐに、ノインはもう一本短剣を手に取り、腰に差した。紫色の鞘と石が違うだけであとは全く一緒の見た目だった。


「この短剣、互いの位置を知らせる。」


「えっ?そうなんだ。」


「アネモネ探すのに便利。」


まるで私が迷子になる前提でノインは断言した。


────あながち間違いじゃないから、言い返せない。


「待たせたのぅ。」


ダンガが戻ってきて、先程の剣を私に渡してくれた。


「ありがたく頂きます。」


「ん?それは。」


ノインと私が持っている短剣に気づいたダンガは私たちを見ながら、短剣が置いてあるテーブルに近づいた。


「この短剣は"絆の短剣"といってのぅ、一つの金属から作られたから、互いの位置を知るには便利なんじゃ。」


「ノインから聞きました。私の迷子防止に使いたいそうです。」


「がっはっはっ!そうか、そうか。出来れば、他の短剣も持っていっておくれ。」


テーブルを指差して、ダンガは私にそう言った。


「一緒に居たがってるみたいじゃ。何かに使っとくれ。」


「はぁ、じゃあしばらく腕輪に。」


テーブルに近づいて手をかざすと、短剣たちはすっと消えて収納された。


すると片手で持っていた青の短剣が淡く光った。


───お礼を言ってるのかな?


クスッと笑いつつ、私は長剣を左の腰の部分にあった武器を下げる為のベルトにつけ、短剣は鞘の紐を使って腰につけた。


ダンガも満足げに髭に触ってうなずいていた。


「他に武器はいるかのぅ?」


「そう、ですね。遠距離用に銃も見たいです。」


「ん、こっちにあるぞい。」


ダンガは私たちを倉庫の奥へ案内する。かなり奥まで歩くと、まるでガンショップのショーケースみたいに展示がされた銃が並ぶ。


「さっきもいったが、銃は地球の知識を参考にワシが作って広めたんじゃが、弓矢のように簡単に補充が出来ないせいで、今じゃ骨董品扱いじゃ。」


とても寂しげに語るダンガ。


確かに、矢は木と石と鳥の羽があればすぐ作れるけど、弾丸は鉄から作ったものを補充しないといけないから、手間がかかるからか。


「じゃが、弾丸を込めずとも魔力で補え、形を変える銃を作ったんじゃが───否定されてのぅ。」


展示されていた中で、一際キレイな銀色のハンドガンを手に取りながら、ダンガは寂しげに笑った。


シュリアたちが言っていた"否定"は、ダンガも対象だったんだ。


───もしかして、属神全員も"否定"されてるのかな?


まだ、この話を聞けたのが主神を含めて三人だから、全員とは限らないのか。


「良かったら、使ってみるかのぅ?」


持っていたハンドガンを私に差し出すダンガ。


私は恐る恐る受け取り、両手で構えると急に光を帯びて手の中で形を変えた。


形状は銀色のハンドガンのままだが、持ち手が花の刻印がされていて、やや銃身が細かった。


「うわ、あっという間だ。」


「ほぉ、ちゃんと持ち主の意思を反映できとるのぅ。」


「ちなみにこれ、マシンガンとかには───わっ。」


ダンガに話しかけてる間にも、一瞬にして光ってサブマシンガンの形状に変わった。


「そんな感じじゃ。そいつは元々、ワシの加護をつけてあるから、そのまま持ってっとくれ。」


「ありがとうございます。」


お礼を言いながらも、色々試しに形状を変えていく。


ショットガン、スナイパーライフル、ロケットランチャーとコロコロと変えていくのを、ダンガは髭をさわりながら唖然としている。


「アネモネ、お主、ホントに平和な日本にいたのかのぅ?」


あ、やっぱり疑われた。


「───偏った知識がありまして。」


説明も面倒なので濁す。


実は一時期、FPSのサバイバルゲームにハマっていたから銃に詳しくなっちゃったんだよね。


ゲーム内でパッと見て、何かが分からないと戦えないシビアな内容のFPSだったし。


「それだけの種類が分かれば、問題なく使えるじゃろ。」


「はい、ありがとうござ────あっ。」


銀色のハンドガンを腕輪にしまおうとしたら、ハンドガンが光り出し、右の中指に指輪として収まった。


少し幅のある武骨な指輪は、花の刻印があり、キラリと光って主張した。


「んん、こやつめ。アネモネの邪魔にならんように気ぃつかいよって。」


「まるで意志があるみたい。」


「喋りはせんがのぅ、ペットみたいなもんじゃ。」


───形状が変わるペットって怖すぎィ!


そう思いながら、指輪を見つめていると、ノインが近づいてきた。


「防具。」


「おぅ、そうじゃな。こっちじゃ。」


銃の横を通りすぎたすぐのところに扉があり、ダンガが重たい扉を開いた。



武器だけでこんなに文字増えちゃった

ヽ( ・∀・)ノ

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