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新しい世界へ 3

開いた扉の先には、同じように倉庫のような場所だが、違いが明確だった。


防具が整列されていたのだ。


きっちりと胴体だけのマネキンに着せられていたり、盾が見易いように展示されていたり、と明らかに武器の方とは違いすぎた。


だが、違いすぎた理由は、目の前に立つ人物で答えがわかった。


「お待ちしてました、アネモネ様。」


メイド服を着た服飾の属神──シュリアだ。


「昨日ぶりです、シュリアさん。でも、どうしてここに?」


「防具も服飾の一部ですから。」


微かに微笑み返すシュリア。ダンガがズカズカと近づいてきて、シュリアに話しかけた。


「シュリア。最終調整は済んだかのぅ?」


「はい、滞りなく。アネモネ様、こちらに。」


案内されたのは、大きな姿見があり、周りにスペースが確保された場所だった。


そこに、青い生地のマントに、白金と部分的に青色の革で出来た全身鎧がマネキンに着せられて置いてあった。


「アネモネ様の好みで見た目を再調整し、通気性や動きやすさを重視しながら、防御力と魔力伝導を底上げしたものを、さらに着脱しやすくするためにバングルに魔法加工し、ダンガと私の加護を付与したものです。」


「────あ、ありがとう、ございます。」


早口で語られた内容の8割が理解できなかったけど、要するにめちゃくちゃ良い鎧ってことでいいのかな?


「まずは、こちらのベルトをつけて下さい。」


シュリアから渡されたのは、バングルに花の刻印がされたベルトだった。


一旦、長剣と短剣を外してから渡されたベルトをつけてから、また同じ場所に装備した。


「次にバングルに魔力を通してください。」


言われた通りに触れてみると、バングルが光を帯びた。次の瞬間、身体中に何かが張り付いたと思ったら、多少の重みを感じ始めた。


姿見を見れば、先程の鎧が纏っていた。


「よくお似合いです。」


シュリアが目を輝かせて恍惚の言葉を吐いた。


頭には額から側頭部、後頭部の半分を覆うヘルム。

首元から腰、股下にかけて先程の上半身の鎧、

下半身は太もものサイハイブーツが隠れる位に、防具がついた。

腕には、二の腕から手の甲にかけて足と同様に同じ防具がついたが、左腕にだけ白金製のプレートが付いていた。


「がっつりフルプレートだ。」


「部分的に防具をつけられます。バングルに念じてみてください。」


言われた通りに胴体だけにしたいと念じながら触ると、胴体だけ鎧が装着された。


今度は触らずに全部で、とバングルに意識を向けると、再びフルプレートを装着できた。


ホントに念じるだけでいいんだ。


「あと、こちらのマントもお使いください。」


とシュリアが青色のマントを羽織らせてくれた。


首元にバングルと同じ形の留め具が光った。


「このマントも、魔力を通していただくと長さや温度調節が可能です。」


「便利すぎません?」


と言いながらバングルに触れながら、マフラーになるように念じると、一瞬にしてマフラーの形に変わった。


次に触らずに、鎧を全部解除してマフラーを全身覆う位の長さに念じると、鎧は消えて、バサッとポンチョのように伸びて、フードが頭に被さった。


姿見にうつる謎の不審者に、ぎょっとしたあとにすぐさま短い丈のマントに戻した。


「すごいなぁ。」


「それと、左腕にあったプレートですが盾になります。」


シュリアに言われて、左腕だけ装備するとプレートに触れた。


プレートが光を帯びてから、すっと透明な板が広がって盾の形になった。


警察が暴動を抑えるときに使うあの盾みたいに、盾で防御しても向こう側がみえる。


試しにコンコン叩くと、金属並の固さを感じた。


叩くときにプレートの文字を見て、思わずあっと声をあげた。


「これ、英語?」


シュリアに聞くと、さすがはアネモネ様、とうなずいていた。


「その言葉の意味をご存じですか?」


書かれた英字を見て、私はまぁ、とうなずいた。


「Invulnerable(インヴァルネラブル)───難攻不落、よね?」


「はい、無敵の盾にふさわしいかと思いまして。」


そういえば、この世界の文字をチラッと寝室に使った部屋で見かけたけど、読めなかったなぁ。


だとすると、この世界の住人はこれ読めないんじゃ?


────外人が漢字読めないけど、カッコいい!っていうヤツですかね?


「ありがとうございます。これで、武具もバッチリです。」


「お役に立てたなら嬉しいです。」


「がっはっは!気にすることじゃないぞ。」


ダンガとシュリアは二人とも一様に嬉しそうだった。


ふと近くにいたノインに視線を送ると、胸元周辺と腕の防具と盾を装備していた。


「ノインも大丈夫?」


こくん、とうなずいたノイン。視線が一瞬だけシュリアに向いたので、私は素直に察した。


「じゃ、おいとまします。また何かあったらよろしくお願いします。」


「良い旅を、アネモネ様。」


「気ぃつけてのぅ。」


私は鎧を全部収納し、ノインに近づいた。


ノインはすっと二人に頭を下げると、指をならして場所を移動した。

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