歩んだ先に 7
ちょっと間が空きまして申し訳ありません。
バイトが忙しかったので。
続き、頑張って書きます。
※アッシャルダの街中に、港エリアを追加しました。イズリールでそんな事言ってたな、位の記憶だったので改めて見直しました。
マルスが案内を買って出てくれたので、街中を歩きながら軽く話をする。
「あれが、"アッシャルダ城"だ。」
この街で一番大きな石造りで、見るからに城と主張している建物を指差してマルスは教えてくれた。
「うわぁ、デカいな。」
「他の国に比べたら小さい方らしいぞ。」
マルスは歩きながらそんなことを口にするが、私には充分なデカさである。見た限り、近いのは日本の有名な姫路城くらいかな?
「大通りは今、祭りの準備で狭いな。」
マルスの呟きに私が大通りに目を移すと、広い大通りの両サイドには、屋根らしき布と木枠などが置かれていた。
「明後日には、人で埋まるくらいになるな。」
「そんなに人が来るんだね!」
露店も楽しみにしつつ、マルスの案内は続く。
大通りを通ってアッシャルダ城付近の建物の前で止まる。
立派なお屋敷のような外観の建物と中庭があり、門には大きな看板が掲げられていた。
「ここが魔法士ギルドだ。」
「へぇ、立派なお屋敷!冒険者ギルドとは違うんだね。」
「ああ、魔法研究を目的とする魔法士ギルドだ。このギルドによって生まれた技術には、大陸中に普及しているものもある。」
マルスは胸を張って自慢げに語る。
「マルスも何か研究に関わったりしてるの?」
「ああ、さっきの魔力壁や遠見鏡には関わったな。」
「すごっ!研究って大変だもんね。」
高校時代、一人で学校で栽培してる野菜の研究で、理科室にこもったりしたなぁ。
────研究結果はまるっとクラスメイトに持ってかれたな。
嫌なことを思い出し、慌てて首をふった。
「どうした?」
隣で心配そうにこちらを見るマルスの顔を見て癒され、私は安心してニコッと笑う。
「大丈夫。嫌なことを思い出したけど、マルスの顔見たらどっか行っちゃった。」
「ッ!」
マルスがかぁっと真っ赤な顔に変わり、目深にフードをかぶってしまった。
あ、ちょっとその反応、嬉しいな。
前の私はブスだったから、こんなこと言えばますます嫌われたもんだけど、今の私はこうやってイケメンも真っ赤にさせれる。
そんなこともできるのが分かってふふっと笑うと、別の話題に切り替える。
「何かあれば、ここに来ればいいのね。」
「あ、ああ。次は陽風屋に向かうぞ。」
フードを目深にかぶったまま、マルスは先頭に立って歩く。
「他には、この城下町エリア以外にも、城の向こう側に港エリアがある。アッシャルダ産の魚介類は豊富で、一部は別の国に輸出している。」
「港────そういや、イズリールの市場でそんなことを聞いたな。」
「そうか。」
海産物の食事も楽しめそう、と期待しつつもマルスの後についていった。
大通りから少しそれた辺り、他よりもやや大きな建物の前で女性が出入口のところで掃き掃除をしている。
「メリル。」
マルスが声をかけて、片手をあげる。妙齢の女性が顔をあげると優しい笑みでマルスを見つめた。
「まぁ、マルスぼっちゃま。」
「客を連れてきた、空いてるか?」
「はい、大丈夫です。マルスぼっちゃまのご友人ですか?」
メリルに問われて、マルスは曖昧に返していた。私はニコッと笑って挨拶する。
「初めまして、アネモネと申します。こちらは仲間のノインと、従魔のライガです。今日からよろしくお願いします。」
「ご丁寧にありがとうございます。さぁさ、中へどうぞ。マルスぼっちゃまもお茶でも。」
「いや、調査の報告がある。また来る。」
メリルにそう言った後、マルスは私達を見た。
「また明日、顔を出す。」
「うん、また明日。」
去っていくマルスを手をふって見送ると、メリルが出入口のドアを開く。
「では、改めてまして。陽風屋にようこそ。」
玄関から真っ直ぐ伸びる廊下に、すぐに階段と左右の扉。
左側の扉は開かれていて、覗けば吹き抜けのある大広間が見えた。
メリルはすぐに右側のドアを開けて、身体半分だけ入ってノートとペンを持ってこちらに戻ってきた。
「お部屋は別々ですか?ご一緒ですか?」
「────一緒でお願いします。」
私がチラッとノインを見た後にそう告げると、メリルは再び半身だけ部屋に入り鍵を取り出す。
「お部屋は101号室です。階段上がってすぐの部屋です。備え付けの家具、洗面所とシャワーは自由に使ってください。他になにかありましたら、おっしゃってくださいね。」
私はメリルから鍵を受け取り、礼を言った。
「ありがとうございます。」
「ごゆっくり。あ、もうすぐ夕飯になりますけど、いかがされますか?」
メリルがそう私達に言ってきたが、ノインが後ろから予想外の言葉が出る。
「今日はいりません。」
「そうですか、明日の朝食はご用意していいですか?」
「それはお願いします。」
ノインの言葉を聞いて、メリルは笑みを浮かべてスッと頭を下げて大広間へ行ってしまった。
私達は鍵を持って階段を上がって、登った先は真っ直ぐの廊下だが、左は吹き抜けで下の大広間やキッチンが見えていた。
そのキッチンにはメリルが鍋の中身を確認している姿が見えた。
それを見た後に、101号室のドアを開けたノインに続いて入った。
中は二人分のベッドや備え付けの家具があっても、狭さを感じなかった。
ベッドも家具も味のあるアンティーク感があり、私は好感が持てた。
隣の部屋には洗面台と簡易シャワーがあった。
「うん、いいね。ゆっくりできそう。」
「にゃあぁ。」
ライガは気になるのか、部屋の中をウロウロしていた。
私は鎧をバングルに戻すと、椅子に座る。それと同時に目の前のテーブルに紅茶セットがおかれた。
ノインが紅茶を淹れてるのを見ながら私はうーんと背伸びをする。
「さて、ノイン。ちょっと今後のこと、話そうか。」
私の言葉に紅茶を淹れたノインは、同じカップを手に隣の椅子に座った。
「まずは、そうね。ノインは邪法をどうにかしたいのよね?」
「ああ、放置できない。」
「それは、理由があるの?」
私の質問に、真面目な顔でノインは私を見つめた。
「害になる。」
「簡潔な回答だね。確かにちょっと嫌だな。」
理由は納得できたところで、次の話に移る。
「具体的にどうやって無くすの?」
「使わない制約をさせるか、使えなくさせる。」
「その"使えなくさせる"は物騒な話になる?」
うん、と答えたノインに若干ドン引きした私だが、それ以外の方法はないらしいので仕方がないと悟った。
「なら、制約最優先で。後はその使い手である王子様とどうやって接触するか、だね。王子様たちは明後日の祭りには顔出すのかな?」
「うん。王族全員参加。」
「あら、ならマルスもかな?」
と呟いたときに、私はあることを思い出してノインに問いかける。
「ねぇ、ノイン。あの時、王様になれるって私に参加を勧めたけど、なんで?」
「────最初に言ってたから。」
ノインにそう言われて、私はん?っと記憶を探る。
「あ、あー!」
ようやく、私は最初にノインとあった際に話した内容を思い出した。
そうだった、王様になって贅沢三昧とか逆ハーしたいとか言ったな、私。
「あれは例えだよ。本気でやりたかったわけじゃないよ。」
「そう?」
「確かにやってみたいけど、それよりもやらなきゃいけないことがあるし。」
私の言葉を聞いたノインはやや柔らかい表情に変わった。
あ、なんか、やっぱり色々期待されてるんだね。
「まぁ、だとしても祭りには参加しないとね。」
「うん。」
「ノインはどうする?」
私はノインに問いかけると、少し考えたのちに何かの方針に決めたらしく頷いた。
「別行動していい?」
なぬ!まさかノイン自ら別行動を言い出すとは思わなかった。
きょとんとしていると、ノインが続ける。
「明後日なら警備も手薄、邪法に関するものを探したい。」
なるほど、確かにそれは助かる。
「そうだね、証拠も欲しいし、任せていい?」
「うん。」
「なら、こっちは派手に暴れてみるかな。」
紅茶を飲み干したカップをテーブルに置き、腕輪に意識を向けた直後。
「うっ。」
クルルル、とお腹の虫が空腹を訴えた。
あーそう言えば、簡単な昼食で済ませてたな。
「明後日の作戦会議は明日にして、とりあえずご飯食べに行こ?」
「うん。店、決めてる。」
「あ、やっぱり。夕食を断ったの、そのためね。」
ノインが目をキラキラさせて、紅茶セットを片付ける。早く行きたいらしく、ライガも足元でウロウロし始めている。
「じゃ、行きましょうか。」




