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呪われた英雄と裏切りの聖女  作者: 寝不足魔王


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第5話 勇者パーティと冷たい仲間たち

第5話をお届けします。


王都で勇者パーティに正式加入し、メンバーたちとの初顔合わせを描きました。

民衆の期待とは裏腹に、上層部やパーティメンバーの「道具を見る目」が少しずつ露わになります。


ディオンとアリアの関係が、もう一歩近づく一方で、物語の影も濃くなってきました。

シリアスな展開をじっくりお楽しみください。

王都セルフィアの聖堂大聖堂、作戦会議の間。


白い大理石の柱が並ぶ広い部屋に、緊張した空気が満ちていた。


中央の円卓には、エテルノ王国の重鎮たちが座っている。高位司教ガルド、王国騎士団長レオン・ヴァイス、そして新たに編成された勇者パーティの面々だ。


ディオンとアリアは、円卓の端に並んで座っていた。ディオンは黒い長衣のまま無表情で腕を組み、アリアは白い聖女衣装を整えながら、控えめに周囲を見回している。


ガルド司教が穏やかな声で切り出した。


「では、正式に勇者パーティを発表する。英雄ディオン・ヴァルデン卿を隊長とし、聖女アリア・ルミナ殿を補佐とする。加えて、王国騎士団から選抜された精鋭たちだ」


騎士団長レオン・ヴァイスが頷き、紹介を始めた。


「副隊長は私、レオン・ヴァイスが務める。戦士として前衛を固める。魔法使いのミリア、斥候のガルン、回復役の神官エラン……以上だ」


紹介されたメンバーたちは、それぞれ軽く会釈した。


ミリアは赤髪の若い女性魔法使いで、好奇心の強い目をしている。ガルンは瘦せた男で、常に影に溶け込むような雰囲気を纏っていた。エラン神官は温和そうな中年男性だった。


アリアは丁寧に頭を下げた。


「よろしくお願いいたします。私、アリア・ルミナは、浄化と回復の力で皆さんを支えます」


ディオンは灰色の瞳をメンバーたちに順番に走らせ、淡々と告げた。


「……俺は、指示に従う。だが、俺の呪いについて無駄な期待はするな。英雄の力は、必ず代償を伴う」


部屋に微かなざわめきが起きた。


レオン騎士団長が苦笑しながら言った。


「英雄卿の力は伝説級だ。国境の魔王眷属を一掃するには、卿の剣が不可欠だ。聖女殿の浄化で呪いを抑えれば、問題はないはず」


ガルド司教も微笑みを浮かべた。


「その通り。アリアの浄化力は、英雄の呪いを一時的に抑える最良の手段だ。二人で力を合わせれば、民衆の期待に応えられるだろう」


ディオンは内心で冷たく思う。


(問題はない、か。俺が力を振るえば、必ず誰かが不幸になる。それを「抑える」だけで済むと思っているのか)


会議の後、勇者パーティは大聖堂の庭で軽い顔合わせを行った。


アリアはメンバーたちに積極的に話しかけていた。


「ミリアさん、魔法の扱いはお上手ですか? 私も浄化の力でサポートしますので、何かありましたら遠慮なく」


ミリアは明るく笑った。


「聖女様、よろしくお願いします! 英雄卿の側にいらっしゃるなんて、すごいですね」


一方、ディオンは庭の隅に一人で立っていた。黒髪を風に揺らし、灰色の瞳で遠くを見つめている。


レオン騎士団長が近づいてきた。


「英雄卿。率直に言わせてもらおう。卿の力は必要だ。だが、呪いのことは……できるだけ表沙汰にしない方が良い。民衆は希望を求めている」


ディオンは短く答えた。


「俺は道具じゃない。だが、お前たちも同じだ。教会と王国は、俺たちを切り札として使おうとしているだけだ」


レオンは少し表情を硬くした。


「現実を見ろ、英雄卿。世界は救わなければならない」


その言葉に、ディオンは小さく息を吐いた。


(救う……その言葉が、どれほど残酷か。お前たちはまだ知らない)


夜になり、パーティの宿舎に戻ったディオンとアリアは、短い時間だけ二人きりになった。


アリアはそっと黄金の光を放ち、ディオンの呪いの疼きを和らげた。


「ディオン様……今日のパーティの皆さん、頼もしく見えました。でも、少し……冷たい視線を感じました」


ディオンは壁に寄りかかり、淡々と答える。


「ああ。お前も感じたか。あの者たちは、俺たちを『仲間』とは思っていない。ただの切り札だ。ミリアは好奇心、エランは義務、ガルンは興味なさげ……レオンに至っては、王国の命令を忠実にこなすだけ」


アリアの青みがかった金色の瞳が、少し曇った。


「それでも……私は皆さんと一緒に頑張りたいです。貴方様の側で、浄化の力を使い続けられたら……それが、私の救いになる気がします」


ディオンは彼女を灰色の瞳で見つめ、静かに言った。


「お前は本当に優しいな、アリア。だが、その優しさが呪いに染まる日が来るかもしれない。俺が英雄に近づけば……お前も、失うことになる」


アリアは首を横に振り、銀髪を揺らした。


「失うなんて、考えたくありません。一緒にいられる今を、大切にしたいんです」


部屋に沈黙が落ちた。


二人の間に生まれた小さな温もりは、まだ脆く、しかし確かに存在していた。


しかし、王都での準備が整いつつある今、

新たな災厄との戦いが迫っている。


英雄の力が目覚めれば、呪いはより強く牙を剥く。

聖女の浄化は延命に過ぎず、

救世主であること自体が、最大の不幸であることを——

二人は、これから身をもって知ることになるだろう。

第5話、いかがでしたでしょうか。


勇者パーティのメンバー紹介と、二人の微妙な関係性を中心に書きました。

これから国境への出発と、初の戦闘が近づきますが、戦い以上に心理的な軋轢が大きくなっていく予定です。


ディオンの冷静さと自己否定、アリアの優しさと希望……二人の性格を大切に描いていきます。


感想や応援、いただけるととても励みになります。

次回もどうぞよろしくお願いいたします。

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