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「えぇ。そうね……。終わったわ―――お疲れ様アルマリア」
「いえ、それには及びませんよ。私は私の仕事をしたまでです」
感謝の念を述べるアリアにアルマリアは首を振る。
そうだ。
彼女はいつも謙遜する。
こちらが褒めても必ず否定する。
たまには肯定してもいいと思うのだが―――
そんな彼女は髪を抑えて空を見た。
今日の空はとても澄んでいた。
綺麗な空だ。
今日もこの綺麗で澄んだ空を見ることが叶うとはとても思わなかった。
それくらい今日という日は鮮明だった。
「あ、ありがとうございます……ッ‼今日という日を私達は一生忘れないでしょう‼それくらい感謝する他ありません……」
村長が膝をついて言う。
絶望と思っていた。
無人が来た時点でいずれは綻ぶと思っていた。
だが、その糸は解れることはなかった。
より強固な絆とも言える三人―――否四人の有志達によりホルノマリン街は安否を保たれた。
「報酬は必ずや。今持って参ります」
そう言って、駆け出して村に戻り報酬を持ってこようとする。
既に立つことさえままならないはずなのに。
恐らくアドレナリンが出ている影響なのだろう。
ボロボロの体になりながらも、感謝を忘れない村長の心意気にユースティスは無言で承諾する。
ここで彼の気持ちを無下にするのも味気ないと思った。
故に受け取ることにする。
彼が戻ってくるまでの間にロンドは地面にへたり込んだ。
そして、思う。
(無人は消滅した……道は通れる。てことはつまり嬢ちゃん達とはここでお別れってこと……か?)
ここ数日彼らと共にしてきたが、ロンドにとって一時的ではあるが、仲間が出来たのはとても嬉しかった。
何より戦いやすかった。
一緒にいてこんなにも印象的に残ったのは彼らが初めてかもしれない。
そう思うと、少しだけ名残惜しくなった。
ロンドは一度大きく深呼吸をすると、肺の中の空気を吐き捨てる。
次いで吸い込み、同じく村長の帰りを待っているユースティスに話しかける。
「なぁ。一つ聞いてもいいか?」
「なんだ?」
「いや何。兄ちゃん達は、どうして彼女についているのかと思ってな?」
「ふむ……」
「それだけの力を持って尚、嬢ちゃんの元にいようとする理由が俺にはどうしても分からねぇんだわ」
ロンドは純粋に聞きたかった。
なぜアリアの下に付こうとしているのか。
正直に言ってしまえば、彼女の元にいるよりももっといい方法はいくらかあるはずだ。
それなのに彼らはやはり彼女の下についている。
そのことがどうしてもロンドには理解出来なかった。
だから聞いてみた。
彼らがどういう意思を持って行動しているのか。
純粋な興味がそそられた。
真剣な瞳でユースティスを見つめ問いかける。
だが、彼はふっと笑うと、何故か隣にいたアルマリアを見た。
なぜアルマリアを見たのか分からなかったが、そんな彼の視線を一心に集めたアルマリアがユースティスの代わりに言った。
「そんなの決まっているではありませんか。お嬢様が仕えるに値する聡明な方だからです」
「それだけか?」
「えぇ、それだけです。他に理由なんていらないのですよ。私達二人には……」
なんだか答えを聞いても拍子抜けするような回答だった。
特に大きな理由などではなかった。
ただ彼女達が一緒にいたいがための理由に思えた。
だがそれでも―――
なんとなく。
なんとなくだが彼女が言ったことは、ロンドにも伝わるような感じがした。
あくまで彼女が言ったことを自分なりに解釈した結果なのだが―――
それでも確かに聞き届くことは出来た。
むしろそれくらい簡単な理由の方がこちらとしてはありがたかったのかもしれないと。
ロンドは一人笑う。
納得して笑う。
「ははっ」
そして、彼らは続けて言った。
「お嬢様を守るためなら、この命など捨てる覚悟はいつでも出来ている」
「まぁ、それをお嬢様が許してくれるかどうかは別ですけどね」
彼女に仕える者の意思の強さを示した。
とても強い意志だ。
命を捨てるのを躊躇わない。
彼らは自身の命をあの少女に預けているようだ。
自分よりもうんと弱いのに。
力の強い二人がそれほどになるまでの魅力を彼女は持っているのかもしれない。
だから自分は―――
「決めた」
「……何をですか?」
突然言い放った言葉にアルマリアが聞き返す。
「あぁ、決めた。俺は―――あんたらに付いていくことにするぜ」
「なんだと?」
「……?」
突発的な彼の発言にユースティスとアルマリアは理解出来ない。




