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「それは本当なのか?」

「あぁ」

「しかし、いいのですか?あなた……、目的があったはずでは?」

「確かにな~。目的はあった。もともとこの道を抜けるための共闘みたいなものだと思っていたんだがな……。どうやらあんたらの戦いを見ているうちに、あんたらの熱に当てられちまったのさ。それに……、あんたらと旅している方が目的のものにも会えそうだしな」

「それだけの理由で付いてくるなどと軽率な発言が良く出来たな。分かっているのか?俺たちについて行くということの意味を……」

「ははっ―――そう言うなって。熱に当てられたのは本当なんだからよ。一度ついて行くって決めた以上男に二言はねぇよ。それに―――」

「それに……?」

「……似てるーーーからな」

「似てる?」

「おう。無邪気な笑顔なんか特にそっくりだ。俺の子供によ。情ってものが出たんかね?」


そういう彼の瞳は我が子を見守るといった優しい瞳をしてアリアを見つめていた。


二人はしばし考える。

ユースティスにとっては好都合な話だった。


彼は戦闘能力に関して言えばコード持ちと何ら遜色はなかった。


それに近接戦闘系の力を保有している。

ちょうどあと一人戦闘に加わってくれる者がいれば戦いにも余裕が生まれると考えていたところに、思わぬ話が割り込んできたが―――


「すまないが、それは俺達だけでは一任出来ないな」

「というと?」

「お嬢様次第ということですね」

「そうかい……」

「後で聞いてみると良いだろう」


そう言って、ユースティスは彼の元から離れていく。

ちょうどよく村長が報酬を持って現れたのだ。


彼は大きな布袋を抱えながらこちらに近付いてくる。


「報酬です。どうかお受け取りください」

「すまないな。怪我しているというのに……」

「それには及びません。そうだ。ついでに今日はゆっくり休まれてくだされ」

「そうだな。お言葉に甘えよう。少し休養が必要だ。さすがの俺達も体が悲鳴を上げている」


ユースティスも腕を振るわせていた。

剣を振っていた反動だろう。


戦いが終わった反動で出てきた。


休息の為に四人は村長の言葉に甘えてホルノマリン街へと戻ることにした―――。



♦♢♦



戻った街は活気で溢れていた。

嘘のように静かだった街はすっかりその姿を取り戻していた。


「相も変わらずこの街は賑やかだな……」


耳を塞いで音を緩和させる。

戦いの後の馬鹿騒ぎは耳に良くない。


体にも良くない。

顔を歪ませているロンドにアリアが言う。


「大丈夫?」

「あぁ。問題はねぇよ。少し耳がキンキンするだけだ」

「ささ、皆さん。宴ですぞ」


目の前を歩く村長が顔を向けて言ってくる。

どうやらこの馬鹿騒ぎは勝利の宴ということらしい。


街中の人間が祝福するかのように机の上に大量のお酒と食事が用意される。


一体どこから持ち出したのかと思ったが、皿に盛られてくるお肉が目に入りロンドの考えは、完全に肉へと移行した。


「どうぞお座りください」


村長に促され目の前に用意された椅子に腰を掛ける四人。

まるで街の英雄のように扱われてしまう。


その大きな事態に全員が困惑する。


「遠慮することはありません。これは私達の感謝の気持ちなのですから」

「村長がそう言うなら、遠慮なく頂くぜ」

「そうだな。貰うことに越したことはない」

「お嬢様頂きましょう」

「えぇ……」


アリアは唾を飲み込んで目の前に置かれたお肉に手を伸ばした。

香ばしく鼻腔を擽るお肉の匂いに我慢出来なくなったアリアが勢いよくかぶりついた。


それを機に全員が食事をする。

順当に出される料理とそれに合ったお酒が用意され、ユースティスとアルマリアは久しく羽目を外した。


杯に注がれるお酒を一気に飲み干していく。

ほんのりと顔を赤らめる二人。


ロンドもお酒が飲めるということで三人は勝利の美酒に浸るように飲み込んだ。

料理も大変美味しく美味である。


「商売が盛んな街ですからな。素材は抜群なはずです」

「あぁ、料理をしていた俺でも分かる。ほとんどがいい食材だ」

「ありがとうございます」


彼は焼いた魚を取ってたいらげる。

至福の一時だ。


感極まった。

その手に勝利の余韻が浸る。


そうして皆が気持ちよくなり、今日という日を終えようとしていた。

宴も終焉に近付き、賑やかだった街に静けさが宿り始める。


「今日はありがとうございました」

「あぁ」

「貴方方のおかげで私達の街は救われました」

「そうか……」


村長は深々とお辞儀する。

その気持ちだけでもはや十分だった。


盃にお酒が注がれる。

ユースティスは黙ってその様子を見守る。


「まさか、あれほどの力を有したコード持ちの方がいようとは思いませんでしたよ。全盛期でも見かけたことは数度しかないでしょう。どのようにすれば、その力を手に入れることが出来たのですかな?」

「特にしたことはない。お嬢様を守るために蓄えただけだ」

「左様ですか。きっとその想いこそあなた方が手にした力の証明なのでしょうな」


村長は納得する。

彼らが手にした力を証明するには十分すぎる回答だ。


一人納得した村長は頷いて戻っていく。


「答えに満足したか?」

「えぇ、それだけで十分です……」


満足した表情を見せ、どこ行く風で村長は去っていった。

ユースティスは彼の後ろ姿を確認して無言で見つめる。

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