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少女との距離は百メートルくらい離れている。

もって数秒だがーーー


数秒彼が歩を進めるよりも先に無人の攻撃が少女に届く方が遥かに早い。


この距離を間に合うとすればコード持ちである三人のうちの誰か。


かといってユースティスとアルマリアは黒色の無人と戦っていることで気が付くのが遅れてしまった。


今からそちらに攻撃を行ったところで無人が彼女を屠る方が断然早いだろう。


アリアすらまだ立ち上がれていない。


どころかまだ意識が完全に覚醒していないという状況だ。


全員が完全に虚を突かれた瞬間。

誰もが反応出来ない出来事。


駆け出そうとしているロンド。

悔しそうに顔を歪ませるユースティス。


あっけに取られているアルマリア。

全員の顔がアリアの目に入り込んでくる。


その光景は奇しくも鮮明にアリアの眼にも飛んできた。


アリアの瞳に迫り来る光景が押し寄せてくる。


これは先程の自分と同じ状況だ。

同じ感覚。


同じ光景。

これでは意味がない。


先程救ってくれた命が嘆いている。


ここで動かなければ、何のために救ってもらった命だと。


他者のための捧げる命などこの身で充分。


(動いてよ‼私の体‼)


自分に言い聞かせる。

立ち止まっている体に言い聞かせる。


惚けている場合ではないと。

怠けている場合ではない。


瞬間、アリアの体に電気が走る。

四肢に反射的な力が加わる。


アリアは立ち上がる。

少女を守るために。


人を失わないために。

目の前で悲しみを生まないために。


意を決して。

そして、足に力を入れる。


踏み込んだ一歩。

地面を蹴る感触が足全体に伝わる。


たった一歩であっという間に無人に襲われようとしている少女の前に姿を現した。


「……ッ‼」


突然の出来事に本人すら理解出来ない。

その行動にユースティスが驚く。


瞬間的にだが、その力は確実にコード持ちとしての力が最大限に発揮した瞬間だった。


アリア自身驚いていたが、今はそんな場合ではない。


少女に迫り来る無人の攻撃に銃口を向けて一発の銃弾を放った。


放たれた弾丸が無人に当たる。

爪が破壊され、無人は一歩退いた。


「大丈夫?逃げるよ‼︎」


アリアはすぐさま少女を抱えてその場から離脱する。

少女は言葉が出ない。


迫り来る無人の攻撃が自身の目の前に来たことに驚いているからだ。


生唾さえ飲み込む余地すら与えてくれない死地の監査。


一瞬の間で生死を極める極地の領域。


それを体感したのだ。

無理もないだろう。


「ごめんなさい。興味本位で近づいて……」


アリアに抱えられた少女が謝る。


きっと自分がしたことに対しての責任を感じているのだろう。


「いいよ。興味があるのは悪い事じゃない」


アリアは言う。

『興味』事態に悪気はない。


まだ小さいからこそ幼いからこそ何か特別な興味をそそられるものがあったのだろう。


自分もいくつかそういう時はあったものだ。

それが彼女は無人に対しての興味だっただけの話だ。


「でも、今度は見てるだけにしてね。危ないから」

「うん」


少女は申し訳なさそうに言った。

これが外の世界だと。


無人が住まう世界なのだと知らしめる。


これでこの子がどういった風に生きていくのかはアリアには分からない。


だが、せめて恐怖で怯えないでほしいと思った。


この子が恐怖に飲み込まれて無人と戦えなくなってしまうのだけは避けたいと思っていた。


だからアリアは言う。


「これが外の世界だよ。無人が沢山いる世界。この世界が普通と思えなければ、外の世界に出るのは少し厳しいかもね……」

『へ、平気よ……虚を突かれただけだもの』


彼女の強気な姿勢にアリアはふっと笑った。

その姿にアリアはようやく本来の本領を取り戻した。


少女を遠くに置き、無人と敵対する。

銃剣の矛先を向けて引き金を引く。


彼女が戻ってきたことにユースティスは胸を撫で下ろした。


「ようやく戻ってきたか」

「ごめんね。ちょっと呆けてた」

「大丈夫ですよ」


ユースティスとアルマリアがアリアを見つめる。

本来の彼女の目をしている。


彼女の凛とした姿にユースティスとアルマリアの二人は笑う。


そして、三人は一斉に動き出す。

無人を屠るために。


平和を築き上げるために闘う。

それが私達に課せられた使命だからーーー。



♦︎♢♦︎



三人の見事な立ち回りにより、そのほとんどの無人達が撃滅した。


無人は跡形もなく消滅していく。


消えゆく無人に目もくれず三人の獰猛な立ち振る舞いが戦火の如く猛威を振るう。


だが、まだ足りない。

さらに力を発揮しなければ足りない。


簡単な敵ではない。

無人はそれでも数を減らして行く。


だけど、その力は衰えない。

一匹だけでも十分強敵だ。


だから―――油断なんてものはしない。


しかし、先陣を切るアルマリアの周りに無人が囲うようにして彼女を仕留めに来る。


「おい、姉ちゃん囲まれたぞ‼︎どうするんだ‼︎」

「分かってる。焦るなロンド」


後方でその様子を見ていたロンドがユースティスに加勢に行くように言う。


ジリジリと四方無人に距離を積まれたアルマリアを見てユースティスは言う。


「アルマリア、あれをやれ」

「最初からそのつもりでしたよ‼︎」


ユースティスの言葉に既に体勢を整えていたアルマリアが構えを変える。


彼女が動き出したのを見て、ユースティスはアリアとロンドに言う。

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