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「そう簡単には倒れてくれないようだな……」


ユースティスは冷や汗を掻いた。

その瞳には不気味に彩られた黒色の無人がいた。


黒色の無人はアルマリアの炎を受けても灰と化さなかった。


「ダメージは与えられているようだが……、倒すまでには至らないということか」

「火力が足りないということですか。私も鍛錬不足ですね……」


だが、止めることは出来ない。


「それでも押し切るまでです」


アルマリアの眼とした態度にユースティスは笑みを浮かべる。


「それでこそお嬢様に矛と言わしめるだけはある」


アルマリアが引き金を引いて黒き無人に火炎を浴びせる。


燃え盛る焔が無人を支配するが、怯む様子はない。


むしろ受けて立つといった姿が印象的だ。

これではいくらやっても意味がない。


悔しそうに歯噛みをする。

その時―――


「……ッ」


アルマリアの横から突風が飛んでくる。

突然の事態にだが彼女は笑った。


その風の正体に気が付いていたからだ。


アルマリアは風が飛んできてもお構いなしに無人に突撃する。


飛んでくる風は彼女に当たらず無人だけを的確に飛来していく。


「なんだぁ?兄ちゃん何してるんだ?」

「まぁ、見ていろ」


ユースティスがそう言うと、彼は真剣を振り翳した。

上から下に。


ただそれだけで風圧が飛んで行った。

その風圧は無人に向かって行く。


誰の目にも見えない攻撃だが、その風は確実に無人に当たる。


そして、無人の巨躯が揺らぐ。

切れ味の鋭い風が無人の体を裂いていく。


足が切断され雄叫びを上げる無人にアルマリアが間髪入れず火炎を振るう。


それだけでようやく黒色の無人は灰と化した。


「一体目を倒したか」

「えぇ……ですが、後二体います」


彼女の言う通り黒色の無人は全部で三体いた。

そのうちの一体を倒す事が出来た。


ユースティスとアルマリア。

二人の紳士淑女の攻撃が無人を屠っていく。


「兄ちゃん気合入ってるな」

「無論だ。お嬢様を危険な目に合わせたのだ。俺は俺自身を許すわけなど行かぬ。故に己自信に限界を課せる……だからこの身はお嬢様の盾となる。全身全霊全てを持って守ると誓う」


ユースティスは自身がしでかした行動の罪滅ぼしだと言った。


彼女のための罪滅ぼしだ。

そう言ってユースティスは、立て続けに風を起こす。


それだけで無人のほとんどは足が切り刻まれて砂となっていく。


凄まじい攻撃にロンドは感心する。


「これがコード持ちの力か……」


その無人を圧倒せしめる強さに憧れを覚える。


もしこれだけの力を手に出来たら、きっとこの世の全ての人間を救うことが出来るのではないかと。


目の前にいる危険に瀕している人間全てを守ることが出来るだろう。


だが―――

ユースティスは独りでに手を開いたり閉じたりする。


生憎自分にはその力の要素は無いようだ。

それはとても悔しかった。


しかし、同時に羨ましいとさえ思える。


果敢に戦う二人の紳士淑女にロンドの気持ちも次第に高ぶっていった。


彼らに続くように無人に攻撃を与え屠っていく。


白色の無人を任せろと言った手前、自分の仕事をしなければならない。


しなければならないのだが―――

いかんせん見入ってしまう。


それくらいコード持ちの力に魅了された。


自分には備わっていない力を目の前にいる彼らは持っている。


自分より幾分かも若い彼らはコード持ちとしての責務を果たしている。


そのことに驚かないわけがなかった。


これが世に言う差というものなのかと。

壁を感じさせてくれる。


そうしてロンドが感心していると、目の前にロンドの命を狩ろうと無人が現れる。


突然現れた無人にロンドは口角を釣り上げて笑った。


そして、手に持っていた大剣を無人に向かって勢い良く振るった。


当たった衝撃で後方に吹き飛んで行く無人。


ロンドは間髪入れずたたきつけ無人を再起不能にした。


彼の手には不思議と力が籠められる。

湧き上がる力が無人を倒せと言っている。


ならば、この湧き上がる力を最大限は発揮して無人を倒すだけだ。


気分がノッてきたところだった。

絶好調に入ろうとしていた。


このままの流れでいければ無人に勝利することが出来ると思っていた。


その時だった。

ロンドの視界にありもしない異物が入り込んできた。


それはこの場にいてはいけない者。

戦場に荒れる狂う者ではない。


その正体は―――


「危ない‼︎」

「……ッ?」


咄嗟のロンドの声。


その声に反応したユースティスが動きを止めて彼の方を見る。


その様子は額に汗を滲ませ切羽詰まらせているようだ。


彼は何かに焦って誰かに忠告しているようだった。


彼の視線に釣られてみると、そこには無人に歩み寄る一人の少女の姿があった。


それはアリアではない。

アリアより幾分も小さな少女だ。


彼女は訝し気な瞳で無人を見据えながら近付いていく。


「これが無人?ふーん。意外と大きいのね」


その少女はーーー


街で話しかけた時、一際無人に興味を示していた少女の姿だった。


彼女はいかにも興味津々といった様子でさらに無人との距離を詰めて歩を進める。


「くそっ‼︎何している‼︎出て来るな‼」


その姿にさすがのユースティスも焦りを覚える。


この状態で一般人が出て来ることは想定していなかった。


ましてや子供だ。

無人の早さにはついていくことが出来ない。


「あの時の少女か‼︎まずい‼無人の餌食になるぞ‼」


少女が襲われる前にロンドが動き出そうとするが、コード持ちの力を有していない彼では、今いる距離から少女のいる位置まで行くことは出来ない。

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