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なぜ消えたのか。


その答えはロンドの背後にいたユースティスが真剣を使って爪を切り落としていたからだ。


紙が如く簡単に切れた爪が音を立てて地面に落ちた。

ロンドは笑いが堪えきれなくなり口角を釣り上げた。


「何を笑っている?まさか死にたかったのか?」


その様子を見ていたユースティスがロンドに問いただす。


「いや、死にたいだなんて一度も思ったことはねぇな」

「なら……なぜ笑っていた?」

「ははッ―――。そりゃ笑うだろ。なんたって一人では出来ていなかったことが今出来てるんだぜ?これが面白いと言わずに何て言うと思うよ?」


ロンドは心の底から笑っていた。


何せ一人で戦っていた時には背中なんてものを任せる相手すらいなかったのだから。


背中ですら自分で守らなければならなかった。


背後に目はないから当然常に集中しなければならない。


銃声が幾重にも重なる。

銃口からほとばし硝煙しょうえんの香りが鼻腔をくすぐる。


左右からくる無人にも臆することなく果敢に挑んで手に持っていた小刀で切り刻んでいった。


アリアの勇姿にアルマリアは真っ直ぐに彼女を見つめてその姿を鮮明に焼き付ける。


彼女の勇敢な姿には毎度のこと驚かされるが、今だけは不思議と心配はなかった。


それくらいアルマリアの瞳は、今のアリアの姿が強く見えた。


彼女に感化されるようにアルマリアも引き金を引くスピードが増していく。


無数に続くと思われていた無人の圧倒的数も次第に減っていき、今では数えられるほどに少なくなっていた。


「なんと……ッ」


地面にへたり込み四人の無人を圧倒していく様を伺っていた村長の口から驚愕が零れた。


あれほど絶望的状況だったのにも関わらず、形勢逆転といえる立ち回りで見事にその数を減らすことに成功しているではないか。


疲れすら倍になる動作の一つが減ったことに内心喜んでいた。


「変な奴だ」

「お互い様だろ兄ちゃん」

「一緒にするな」

「ははッ―――」


ロンドが笑いながら無人の攻撃をひらりと躱していく。


二人のやりとりとその様子を横目で見ていたアルマリアが深い溜息を吐いた。


「男という生き物は分かりかねますね……」


楽しそうに笑っているロンドにアルマリアは自身の理解の範疇を超えていた。


無人を前にして笑うなどありもしない。


大抵の人間は無人の前で決して笑うことはない。

いや、そもそも笑う余裕すらないのだ。


逃げることで頭がいっぱいになり、笑いながら戦う者などほとんどいない。


ましてやコード持ちですら戦いの最中は笑う余裕はない。


よっぽどの戦乱狂でなければ不可能な激闘の領域だろう。


なのにユースティスに背中を守られている男といえば、強敵を前に豪快に笑みを浮かべているではないか。


その事象にアルマリアの頭を抱える。

脳に刺激が走り痛くなる。


彼の異次元さに健康体な体が頭痛を覚える。

異常で異形で異次元な存在。


そのことに彼女は溜息を吐いたのだった。


目の前に迫り来る無人の突きに一発の弾丸をぶつけて消滅させる。


たった一発の弾丸だが、その威力は容易く無人の体を撃ち抜く貫通力を持ち得ていた。


薬莢は普通の弾と何ら遜色はない。


だがそれでも、無人は抵抗する間もなく撃ち伏せられる。


次々と砂と化していく様をアルマリアは不愛想に見つめる。


銃口から放たれた弾丸を浴びて数秒で無人は砂塵さじんとなる。


風に煽られて飛んで行く砂粒に悲哀感を織り交ぜながら、悲しそうな瞳で見つめていった。


倒されていく無人を悲しい感情で見ているのではない。


何の感情を抱いて殺していけばいいのだろうかと一人考えていたのだ。


何かを殺すのにもきちんとした感情が必要であるとアルマリアは思っていた。


恐らく自分以外が決していだかないであろう考えを一人黙々と言及する。


たとえそれが同類を殺していく無人であっても、抱く感情は怒りではない。


悲しみでもなければ、使命感でもない。

倒すということに意味はない。


あるのは一つだけ。

お嬢様をお守りするという事。


お嬢様に害を与えるものを全て残らず屠ること。

それだけがアルマリアにとっての使命だった。


その延長線上にあるのが無人を倒すということ。

それだけしかない。


きっとこんなことを言ってしまえば、自分と同様にお嬢様をお守りしているユースティスは激怒するかもしれないだろう。


彼にとって無人を倒すということは、ある種の使命感のようなものだと言っていた。


彼にとって無人を倒す事が当たり前であると。

使命感を果たすためには体が必要であると。


そんな彼とは対照的な考えにいる自分はきっと、やはりユースティスとは分かり合うことは出来ないのであろう。


だが、そんな彼と分かり合うことが出来ることがあるとすればそれはーーーお嬢様をお守りするという事だけ。


それだけは互いに尊重出来る唯一の信念である。


迫り来る無人に引き金を引いて弾丸を乱発して撃ち込んでいく。


そして、視界の端に映るアリアの姿をその瞳に宿した。


アリアは銃剣で無人の体に鉛玉を撃ち込み弾丸で破壊していく。

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