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その笑顔に魅せられていると、守りたくなってくる感覚に襲われた。


娘は大丈夫だろうかと考えが募っていく。


不安になる気持ちを押し殺して歩いていく。

思わず思い出しそうになる。


置いて行った時の表情が今でも忘れられない。

しかし、それは恐らく正しい決断であったのだと。


敵討ちをしないで、父としての威厳を保てるのかと。

敵討ちをしないで何が父であるかと。


その問いだけが、脳内をぐるぐる廻る。


程なく歩けど、視界の景色は決して変わることなく、淀んだ風景が覆い尽くしている。


次第と日が暮れていく中で、果てしなく続く暗がりの一本道が続いていった。


夜が進む毎に警戒をより一層強めていく必要がある。


それは、無人は夜になろうが関係なく人を襲うことが出来るからだ。


人は夜になればその分視界も狭まり、判断能力が鈍ってしまう恐れがあるからだ。


人間五感の一つでも欠ければ、それが命取りとなる可能性が出てくる。


それを怠らないために アリア達は神経を研ぎ澄まして歩いて行く。


だが、奥に進むにつれて、次第に雰囲気は変わっていき、不気味さを増していく。


まるで、地獄の門である黄泉に誘うかのようなーーーそんな雰囲気で。


奥に進む足が衰えることなく、すっかりとした足取りで推進した先にあったものに、ロンドを除いた他の三人は……息を呑んだ。


思わず声が出そうになる口元を抑えて声を押し殺した。


これは何だとーーー

不可解だとーーー


四人の視界にあったもの。

それはーーー一本道の先に既存していたものは、


「こっそり見て来るか?」


ロンドの問いかけに言葉を失っていたアリアが黙って頷く。

しかしーーー


「待ってくださいお嬢様」


彼女の先手を阻むかのように今まで黙りこくっていたアルマリアが彼女の前を行く。


「お嬢様を先に行かすわけにはいきません。ここは私が先に観て参ります」


そう言う彼女の瞳は、強い意志が灯っていた。

恐らくアルマリアは察しているのだろう。


この先にあるものが何なのかを。

彼女の瞳を、アリアが見つめ返す。


アリアに見つめられたアルマリアが無言でこちらの瞳を見透かしてくる。


張り詰めていた息がフッと吐かれ、緊張感を募っていく。


「……分かった。お願いねアルマリア」


アルマリアの意思を汲み取ったアリアが彼女の気持ちを汲み取る。


その様子をじっと見ていたロンドは、一部始終が終わったということを察知し、手でこまねいた。


彼の指示に従い、アルマリアがゆっくりと物音を立てずに近くにあった岩肌に身を当てる。


背後に感じる冷たく凍えるような温かみのない無機質な岩が、この先に待つ光景の想像を推測させる。


そして、意を決して岩から向こう側を覗き込む。

気配を悟られないようにして……。


覗いた向こう側にいたものーーー。


声が出ないよう口元を抑えて地面を踏み締める。

こっそり岩肌に隠れながら様子を伺う。


岩肌の少し先、数百メートルのところにーーー彼女の目に写り込んできたものは……。


アルマリアの目に飛び込んで来たものそれはーーー信じられないほどの無人の数が奇怪音を立て、軍隊のような統率を取りながら群れている光景だった。


「どう?」


息を呑む彼女に対して、恐る恐る聞いてくるアリア。


彼女を視認し、アルマリアが言おうか言わまいか考えようとしていた時だったーーー


「これはマズイな……、無人の群れか。しかも、百体はいるだろうな」


その目に写り込んで来た光景に、先程まで一言も発していなかったユースティスが声を上げた。


いつの間にか自分の隣に来ていたユースティスが、おおよその目安で答えを導き出す。


百体という数字がアルマリアの脳を駆け抜ける。


隣を居座る彼を見れば、その顔は明らかに狼狽している。


「どうするんですか?流石の私達でも百体を相手にするのは少々厳しいですよ」

「そんなことは分かっている……」


アルマリアに諭されて、考える仕草を取る。


今この場から飛び出して奴らと戦闘をしたところで、十中八九こちらが大敗を喫するだろう。


ともすればーーー

やるべきことは一つ。


「一旦戻って作戦を練るぞ」

「まぁ、そうなりますよね……」


当然のことだとアルマリアは思った。


そして、四人は息を殺してその場から立ち去ると、一旦戻ることにした。


アリア達は来た道を戻って行く。


果てしなく続くと思われていた一本道に終点があったとは思わなんだ。


だが、待っていた先にあったのは無人の群れ。


一匹だけでも相当力を有していなければ倒すことが出来ない。


それが、倍以上となれば尚更だ。


アルマリアは思案する。

倒せるかと……。


だが、それはやってみなければ分からない。

そう思ってアルマリアは遠くを見た。


外の明かりは仄かに漂い、柔らかな風が吹き抜ける。


ある程度戻ったところで、ユースティスが辺りを見渡して止まった。


「ここらでいいだろう」


一本道の途中で不意に止まったユースティスに釣られ他の三人も止まる。


止まった四人は無言だった。


見たこともない数の無人を相手に、四人は息を呑み込む。

その雰囲気を一蹴する者がいた。


「どうだ?流石の兄ちゃんらもあれには驚いただろう?俺はあの大軍から逃げて来たんだが、そしたら挟み撃ちにあったんだ……。全く……、とんだ災難にあったぜーーー」


ロンドは先程見た光景を思い出し、呆れ返りながら言う。


「その時、そこを兄ちゃんらーーーつまりあんたらに助けられたってわけさ。正直あんたらがいなかったら、俺もヤバかっただろうな……」


うんうんと腕を組み頷きながら、ロンドは語る。


確かに、あれを見た後ではそう思わざるを得なかった。


百体の無人が相手では彼一人でもどうしようもなかっただろう。


あの場に自分達が運良くいたからいいものの、私たちがいなければ彼は一体どうなっていたのか。

それは想像もつかないが……、


「そう言えば、気になってたんだけど……。あれほどの大群が……、一体何故あの場所にいるの?」


そう問うたのは、話を聞いていた一人アリアからのものだった。


アリアは不安げな顔でユースティスを見つめた。


「決まっているだろう。恐らく、この地の下にある無人を寄せ付けない何かのせいで、辺り一帯に無人が群がる形となったのだろう」

「つまり……ホルノマリン街の奴らの自業自得か?」


無人が群れる理由をロンドが問う。

ユースティスが彼を見つめて言った。


「それは分からない。だが、当面の目標が出来た。取り敢えず、ホルノマリン街の地の下に一体何があるのか。それを調べる必要があるな……」


ユースティスは考え込む。

無人を寄せ付けない力を有した街。


ホルノ街に何かがあるのは事実なのだが……

それを結論づける要素を持っていない。


故にユースティスは考えるのを止める。

考えたところで無駄と理解しているから。


そうして結論が成り立ち、四人は真相が眠るであろうホルノマリン街へと戻ることにしたーーー。

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