世界一うるさい才能
「レオン! また学校を爆発させたの!?」
朝一番の怒鳴り声が町中に響く。
「爆発じゃねぇよ。」
「ちょっと魔法が暴発しただけ。」
「校舎が半分吹き飛んでるじゃない!」
母親が頭を抱える。
レオン・クロード、十五歳。
町では有名な問題児だった。
授業中に決闘。
教師と口論。
冒険者ギルドでは受付嬢に説教される。
一日一回は誰かに怒られる。
しかし本人はケロッとしている。
「まあ生きてるし。」
その瞬間。
頭の中で音が鳴った。
《ドーパミン分泌》
現在値 17%
「お。」
レオンの口角が上がる。
「来た来た。」
身体が軽い。
視界が広い。
音が鮮明になる。
胸が熱い。
世界が少しだけスローモーションになる。
誰にも見えない青白い光が彼の身体を包んだ。
「またその顔!」
母親は気付いている。
レオンがこの表情になると必ず何かやらかす。
「今日は何もしねぇって。」
「本当?」
「……多分。」
その「多分」が良くなかった。
町の中央広場。
「きゃあああ!」
悲鳴。
巨大な魔獣。
高さ五メートル。
B級冒険者三人が吹き飛ばされる。
「無理だ!」
「逃げろ!」
町中が大混乱になる。
レオンは屋根の上からその様子を見ていた。
「あー。」
「面白そう。」
心臓が高鳴る。
ワクワクする。
足が勝手に前へ出る。
《ドーパミン分泌 34%》
「お、上がった。」
彼は笑う。
その笑顔は、恐怖ではなく純粋な高揚だった。
「行くか。」
屋根から飛び降りる。
「おいガキ!」
冒険者が叫ぶ。
「死ぬぞ!」
「多分死なねぇ。」
着地。
魔獣が振り向く。
巨大な爪。
一直線。
普通なら即死。
しかし――。
「うおおお!」
レオンは笑っていた。
怖い。
でも楽しい。
危ない。
でも面白い。
その感情が爆発した瞬間。
《ドーパミン分泌 61%》
身体能力 3倍
地面を蹴る。
「は?」
見ていた全員の声が重なる。
一歩。
たった一歩で魔獣の懐へ。
拳を握る。
「いけぇぇぇ!」
拳が魔獣の顎を突き上げる。
轟音。
五メートルの巨体が宙を舞った。
町中が静まり返る。
「……え?」
「飛んだ?」
「ガキが?」
レオン本人も目を丸くした。
「やっべ。」
「今の俺、めちゃくちゃ強くね?」
その笑顔とともに、彼の脳内ではさらに数値が跳ね上がる。
《ドーパミン分泌 72%》
だが、彼はまだ知らない。
この力は「興奮するほど強くなる」だけではない。
100%を超えた者は、人間ではいられなくなる。
その真実を知る日は、そう遠くなかった。
読んで頂きありがとうございます。
深夜テンションで書き始めましたので気が向いたら更新します。




