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創世輪廻譚  作者: からあげ大佐
第一部 第二章「都市と騎士」
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第四十話「次の段階へ」

訓練は再び始まった。


ソラは木剣を握り直し、ザミと向かい合う。先ほどまでの激しい攻防で身体は重く、腕にも疲労が残っていた。それでも、ザミの言葉を思い返しながら構えを整える。


「お前の戦い方について、一つ言っておく」


ザミは淡々と口を開いた。


「お前は攻撃を避けることだけを考えているわけじゃない。相手の動きを見て、その先を考えている。自分が傷を受ける可能性まで含めて、次に起こることを予測する。そして、その中から最善の動きを選んでいる」


ソラは黙って聞いていた。


「確かに有効な戦い方だ。だが、それは自分の身体を消耗品として扱う戦い方でもある。続ければ、いずれ取り返しのつかない傷を負う」


「……」


「お前は、戦い方を学ぶより先にスキルを知ってしまった。順番が逆だ」


ザミは木剣を構える。


「だから、スキルを使わない戦い方を学べ。一人で戦えるようになってから、スキルを組み込め」


「スキルを……使わずに?」


「ああ。そこから先はお前の仕事だ。どう使うかは自分で考えろ。だが、戦い方を教えるのは俺がやってやる」


ザミの視線が、ソラの身体を上から下まで捉える。


「お前は体格に恵まれている。腕も長い。身体も大きい。その身体なら、一撃一撃を自分の力でしっかりと威力に変えられる」


ザミは一歩踏み込んだ。


「なら、速度を活かす必要はない。細かな攻撃を何度も重ねる必要もない。相手を翻弄するような、トリッキーな戦い方も必要ない」


木剣を下げ、ソラを見る。


「もっと単純でいい」


「踏み込む。振るう。叩き込む」


その言葉が、ソラの中に落ちていく。


今まで自分は、相手の攻撃をどう避けるかばかりを考えていた。自分から攻めることよりも、生き残ることを優先していたのだ。


だが、自分にはそれだけの身体がある。


ならば、それを使えばいい。


「それがお前の剣だ」


「……分かった」


「なら、振れ」


ソラは木剣を握り直した。


次の瞬間、二人の間に再び木剣の音が響き始めた。


* * *


同じ頃。


王国騎士団、団長室。


ニアンは椅子に座りながら、机の上に置かれた書類へ目を向けていた。その横ではロマリーが書類を整理し、セーラはソファに腰掛けている。


ふと、ニアンが顔を上げた。


「ザミ、ちゃんと優しくしてるかねぇ」


ロマリーの手が止まる。


「……あいつが優しくしているところなど、そう簡単には想像できないな」


「ん〜、まあザミだからなぁ」


「ふふ。大丈夫じゃないかしら」


セーラが穏やかに笑う。


「ああ見えて、優しいところもあるじゃない?」


「そうだろうか」


「ええ。厳しい人ではあるけれど、必要以上に人を傷つけるような人ではないもの」


「そうだな。」


ロマリーはそう言って、再び書類へ視線を落とした。


ニアンもしばらく黙っていたが、机の上の書類を一枚手に取る。


「それより、ソラのことだ」


「ソラ?」


セーラが首を傾げる。


「そろそろ次の段階へ進ませるべきだろう」


ニアンは書類へ目を落としたまま言った。


「実戦だ」


その言葉に、セーラの表情が少しだけ変わる。


「確かに。訓練だけでは分からないことも多いものね」


「ああ。実際の戦場では、相手の動きも状況も決まっていない。ソラには、そういう経験が必要だ」


「ですが、いきなり危険な任務へ出すわけにはいかないだろう」


ロマリーが口を挟む。


「もちろん。だから、簡単な任務からでいい」


ニアンは別の書類を取り出した。


「街道沿いで魔物が数体目撃されている。被害は出ていないし、規模も小さい。新人が経験を積むにはちょうどいいだろう」


「なるほど」


セーラが頷く。


「それなら、ソラ一人ではなく誰かと組ませたほうがいいわね」


「そうだなぁ」


ニアンは少し考え、二人の名前を口にした。


「ソラとエキナだ」


ロマリーが顔を上げる。


「二人とも、第一部隊に入ったばかりだからな」


「実戦を経験させるにはちょうどいい」


ニアンは書類を机へ戻す。


「ソラとエキナには、初めての任務に行ってもらおうか」

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