エレナ戦 決着
世界は再び龍人と旭を戻す。
黒いススキは赤く燃えている、
「戻って、来たのか」
「…どうなったの?」
「の、り、コ、え、た、だい、ナ、な、ま、ジュ、つと、第8まじゅ、つ」
「第7? 第8魔術?」
「だいななま、じゅつ、せいしん生成、ほか、のまほ、うと、まじゅつ、と、
あにま、にんげん性、つかった、のぞむ、た、たかい、えんしゅつ、
ほぼ同一のおまえ、たちつくった、第8くうか、ん、りょういき、つくる」
「よくわからんが、おまえが創り出したおあつらえ向きの今戦うべき相手だったわけだ。」
「……」
旭は無言で龍人を横目で見る。
「それでどうするんだ、続くのか?」
「つづけ、る、あそびた、い、…ひーと、あつ、い、た、たかい、」
魔女『エレナ・ブラン・ヒート』は再び第8魔法、
『雷鳴轟き燃え盛る氷牙の獣』を唱える。その魔法の獣は雄叫びを上げる。
「「「オォォォォォォォッッ」」」
「い、く」
「目ぇ腫らして何があったか知らんが、気合入れろよ、旭、」
「…わかってる、わかってるよ」
魔女『エレナ・ブラン・ヒート』は『魔術』を使う、
第5魔術 全てを薙ぎ払う光柱の連鎖、
そして第5魔術 大地を切り裂く無の閃光も同時に放つ、
『雷鳴轟き燃え盛る氷牙の獣』は 氷、雷 炎、
3つの属性の槍を発生させ、龍人と旭そしてどこかに放る、
二人はそれを避けるがそれぞれは柱として存在し続ける、
それぞれは触れればダメージ、
視界を遮る邪魔なオブジェクトと化す。
雷だけは時折ランダムで8方に電流を流す。
「旭、エレナはお前がやれ、この魔法の化物は俺がやる、負けるなよ」
「…負けるわけ無いじゃん、」
「あっ? なんか言ったかっ、ッッチッ」
龍人は迫る魔法の化物が来たため話を切り上げそちらに向かう、
旭はぱちんと顔を叩く、今すべきことは、BOSSの討伐、それだけは、確か。
黒いススキを切り裂きながら無音の大地を切り裂く魔術が旭を襲う、
光の柱も彼女を襲う、相変わらずフィールド魔法は黒いススキを焼いている。
「(私は、もう負けない)」
旭は避ける、躱す、無音の大地を切り裂く閃光も、
光の柱の群れも、彼女は躱す、
ただ今は先程味わった強さを、自身の弱さをバネに進む、
目指すべき強さを肌で知ったというプラス思考で、
だからこそ目指して前へ進むしか無い。
相手は魔女『エレナ・ブラン・ヒート』、
意味壊れた異能のBOSS、チート、
ありとあらゆる魔法を更に強化して放つ、素で魔法を放てる異能。
魔法の到達点、
『雷鳴轟き燃え盛る氷牙の獣』はそれがいる以上他の魔法を放てない、
しかし彼女は魔術すら扱う、
第6魔術は使えないが第7、8魔術は使えるというあべこべ、
「(魔法を使えない魔術のみの魔女? 威力が増そうが、あれほどじゃないッッ)」
旭は間合いに入る、グレートソードを握る手は力強い、
魔女エレナ・ブラン・ヒートは第2魔術 無たる為の無塵の刃、
同じく第1魔術 始まりの儚き黒き闇の刃を手に作り出す、
初歩の近接用の魔術、しかし見える闇の刃は、
通常ではありえないほどの禍々《まがまが》しさを放っている、
それは未来、見えぬ、未来、人が恐怖する、未来という闇、
旭がたどり着かなければならない、最果て、
エレナ・ブラン・ヒートは攻撃を仕掛ける、
二本の創り出した闇と虚無の刃、それは同時に旭を襲う、
「ッッッ」
パリー、それは成される、
同時にくる二つの魔術の刃を迷いなくパリーを実行し、それを成す、
「温すぎるよ、」
『温い』、先程体験した脳筋の一撃、それは脳裏にこびりついている。
何もできなかったあれに比べれば、多少見えぬ刃と、
禍々しき闇を纏う刃など、彼女には温すぎた。
「がぁっぁぁ」
魔女『エレナ・ブラン・ヒート』は致命の一撃を食らう、
しかしすぐさまに反撃を試みる、
大いなる光刃の嵐 全てを包み込む闇の嵐 二つの嵐が、旭を襲う、
旭はそれを避けられない、発動までが異常に早かったのだ。
それはチート。しかし、
「痛いよ、痛いけど、もっと痛いのを私は知ってる。」
旭はダメージを食らいながらも嵐の風に逆らわず、風に乗る、
自らの意志も加わり舞い上がる、グレートソードを空中で構え、
空中から自分の体重を乗せ、突き刺す、
「がぁっぁぁぁぁっつ、よ、いぃぃ」
半狂乱した魔女『エレナ・ブラン・ヒート』は再び創りだした虚無の刃と、
闇の刃を荒々しく振るう、旭はそれを躱しながら冷静に一つを拾う、
いや、わざわざ同時のポイントを見極め二つ同時にパリーで拾う、
「ありがとう、私の行く場所がよくわかったよ。だから ありがとう」
エレナ・ブラン・ヒート
極限状態になったことにより、
体力が減っていた魔女『エレナ・ブラン・ヒート』は
旭の致命の一撃により討伐された。
「トドメだッッ」
龍人もまた、魔法で造られた魔法生物をあと一歩に迫っていた。
だがその大剣ヴォルファングの攻撃は虚しく空を切る、
「ありゃっ」
魔法を使った術者が一次消失したので当然消失する。
「ちっお前のが先か、しゃーないな」
そう言いながらヴォルファングを右肩に預けながら振り返る龍人、
旭は、複雑な面持ちで、下を向いている。
「どうした、なにかあったのか?」
「なんでもない、なんでもないよ、なんでも、ない」
「まぁいつも明るいお前が暗くなるのは二度目だが、
悪いこっちゃない、悩めよ、そして答えを出せよ、
俺はきらいじゃないぜ、思いつめるお前も」
「…むかつく」
「なんだって?」
「ムカつくムカつくムカつくっ、知らないっ、今日はおっぱい吸わせないからッッ」
「えっ、なんで、うそっなに、褒めたのに!?、
きらいじゃないってのは好きってことだぞおい、
龍人のことそれくらい理解してるよねっ、どうしてっ」
「ふんっしらないっ、ほら、アニマの結晶回収して帰るのっ」
「そりゃないぜ~」
「!?」
旭はBOSS、
魔女エレナ・ブラン・ヒートの名前が刻まれたアニマの結晶を手にした瞬間驚く、
「どうした?」
それはイメージ、エレナ・ブラン・ヒートのアニマの結晶が見せる、イメージ、
パパもママはどうして結婚したの?
そりゃ相性抜群だからだよエレナ
相性抜群?
そうさハッスルしたくなるような、パッション、
ヒートパッションを感じたのさ
ハッスル?パッション?ヒート?
情熱、熱気、熱量。自分と波長の合う、オーラみたいなものかな。
ふーんいつかわかるのかなぁ
わかるさエレナは
ジャック・ユーキリスとアリス・ユーキリスの子供なんだから、
ヒート溢れるパッション少女さそれに気づかないボーイはいないよ
そっかぁ、わたしもヒートが溢れてるんだぁ
パパもママも仕事ですごい活躍してて、
わたしは、あそこまで行けるんだろうか、
自信ないよ、パッション、ヒート、そんなんで頑張れるかな、
悩んでいるのかい、エレナ、大丈夫、
重く受け止めているなら、少し軽くするんだ、
拡張させるのもいいが、たまには中に溜まったものを使わないとね、
そしてまた軽くなったら悩めばいい、
父さんはいつだってエレナの味方だよ、
ただし、明らかに間違えたら止めるよ
…うん、ありがとう父さん、
なんだっトラックが、車線に、避けられっ
ここは…病院…わたし、生きてる、トラック、ああ、そうだ、
パパは、ママは、マークは、どうなったの、
声だけは聞こえる、パパもママも、死んだって、即死だったって、
マークもわたしも生かされてるだけ、長くない、ああ、いやだよ、
まだ、まだなにも…なにもしてないよ、
まだ、父さんも母さんも弟もテラ・グラウンドに来てない、
わたしは、一人は嫌だよ、忘れたくないよ、消えたくないよ、会いたいよ、
大丈夫か? いや、もうダメか、
あなたは、誰?
吾妻、吾妻龍人、まぁベテランの生者だよ、
なにか、言い残すことはないか?
パパに、もし会ったら、伝えて、わたしは、生きたよ、精一杯、
この世界で、何百年も、
パパとにママに、弟に会えると信じて戦ったよ、弱くてここまでだけど、
わたしは誇っていいかなって、返事は、空にでもしておいて、って、お願い、
父親の名は? お前名前は?
じゃ、……
じゃ、? おい、死ぬな、せめて伝えていけ、
おいっお前の名前は、おいっ
わたし、死ぬんだ、ああ、ごめん、父さん、
わたし、消えちゃう、
きえたく、ない、よ
「旭?」
「聞いて…あげて」
旭はその想いに充てられて涙を流す、
「? ああ」
龍人は触れる、アニマの結晶に、そして理解する、
「…なるほどな、確かだいぶ前だ、俺がまだ恐らく千年くらいだったか、
数えてないからおよそしかわからんが、
金髪の、お前くらいの歳の女の子だった。
…そうか、因果なもんだな。」
そのアニマの結晶が見せたイメージにいるパパ、そしてママ、
それはジャック・ユーキリス、アリス・ユーキリス、見紛うことはない歴戦の生者。
「帰ろう、龍人」
旭は前を向く、ただ想う、
やることは一つだ、これを届けて、
龍人に追いつくため、研鑽を重ねる、
「ああ」
旭のその表情に龍人は少し微笑んで、
黒いススキが燃えつくされたBOSSのステージを後にした。




