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龍人の戦い

挿絵(By みてみん)



  ◇  龍人の戦い



「ッッッ」

「ちッッッッ」



 大剣ヴォルファングと大剣ヴォルファング、その二つは衝突する、

 鍔迫つばぜり合い、筋力は同一、武器の威力も同一、

 意志力も何もかも同一、二人は暫くののち、後方にお互いに飛んで下がる、

 そして言う、



「流石にやり辛い… 自分自身、驚いた 能力も考え方も、

 ほぼ寸分たがわない、どうやったかしらないが魔法だけで創られてないな」



「どうした その程度か、吾妻龍人」



 もう一人の龍人が本物にその程度かと問う、



「ああ、今のところはな、お前さんも本気を出さんからな」



「…なら、行くぞッッ」



 間合いを詰める、創られた龍人、

 地面を這うようなその低い姿勢で間合いを詰める、

 そこから起こる攻撃は本当の龍人は知りすぎている。



「ッッッ(きた、きやがった、脳筋を活かした片手の高速のヴォルファング)」



 龍人の選択は剣でのガード、見た目上ダメージを受けていないように見えるが、

 スタミナを消費しつつその攻撃成立時の2割のダメージと痛みを追う。

 その先、生者に設定されたスタミナを超えた場合、

 通常盾と同様に弾かれる。

 だが『意志力』によってその弾かれるは免れることもできる、

 もちろんペナルティは存在する。

 それは追加2割のダメージである。

 意志力とダメージという対価を払い、

 弾かれることは回避可能ではある、

 そしてスタミナのない状態でのパリー、それも実は可能、

 ペナルティは状況にもよるが、

 ダメージや、スタミナ回復までの時間延長など様々、

 龍人はスタミナがない状態で狂人な『意志力』でひねり出し、

 5撃目に素手によるパリーを仕掛ける、しかし、



「ガッッ」



 龍人は吹き飛ぶ、吹き飛ぶことによりできた間合いにより、

 スタミナ回復の時間を稼ぐ形になる。当然回復もするチャンスである、



「絶命寸前だな、」



「ごくっごくっぷはぁっ」



 豪快にレピオス瓶を2回飲む龍人、本物でない龍人は仕掛けない、

 あえて仕掛けない、


 これは互いの勝利が目的ではない、これは試練、

 故に仕掛けない。

 それは吾妻龍人本人の立場が逆でもそうである、



「へへへへ、流石におっかねぇ、ブルっちまった、

 想像以上に想定以上にこりゃおっかねぇわ、

 そりゃこんなもんやられた日にゃ戦意喪失するわな」



「…喪失したのか?」



「ああ、喪失した、そりゃするだろ? 俺だって一応人間なんだからな」



「なら、喪失したまま死んで行けッッ」



 再び仕掛ける創られた吾妻龍人、間合いを詰め連撃、煉獄、

 片手のヴォルファングによる乱舞、脳筋の特権、それは自身にに帰ってくる



「ッッッ(おっかねぇっ、おっかねぇっ)」



 龍人は受ける、

 ただ、一方的にガードの上からヴォルファングの攻撃を受け続ける、

 いくら二度目といえどこれは即座に対応できるほど安くない

、知りすぎているからこそでもあるが。

 そして先ほどと同じ、5撃目、若干タイミングの違う5撃目。



「ッッッ(これだ、ここに、飛び込んで、パリー)」

「ッッッ(動け、動けよっ、あいつなら飛び込むっ

 もっと先の斬撃に飛び込んでるッッ行けよっ吾妻龍人ッッッ)」



「ガッッッ」



 想いは砕かれる、龍人は黒い世界の天上を眺める形で再び空を舞う、

 黒の地面に叩きつけられ、

 そして立ち上がりレピオス瓶に手を伸ばし回復を試みる。

 素手でのパリーは相当量の意志力も必要とする、

 システム的パリーだとしても人の所作で成立しても何も出来ないこともある。

 本来は小盾を装備すべきだが龍人はしない、今回はしない、



「ごくごくっぷはぁっっ」

「あぶねぇ、あぶねぇっ、死にたくねぇ、へへへ、

 かっこわるすぎる、場所分けてもらったのは正解かもなっ」



「…なぜ攻撃を仕掛けてこない、」



 創られた吾妻龍人は疑問を投げかける、

 それは当然の質問、同一の攻撃を繰り出せるのだ、

 ダメージは追うだろうが一方的はありえない、



「わかってるだろ? 今コピーされた自分自身との戦い、

 先に俺がヴォルファングで一方的にぶん殴って、終わって 一体何になる。

 鍔迫つばぜり合いして何になる、」



「……そうだな、どうやら完全なコピーではないらしい」



 これは試練、簡易に勝った所で何の意味もない、

 創られた吾妻龍人はそれをようやく理解する、



「ああ、そうだろうよ、お前は『今』のために生きている。

 だけどな。俺は、明日のために『今』を生きているんだ、意味はわかるな?」



「ふふふ、そうだな、だが超えられるか?、

 『今』を、『今』だけを考え、

 『今』だけを全力で行動し、生きるこの俺の強さを、

 超えてみせろッッ、龍人ッッ、俺のッ、お前の明日のためにッッ」



 3度目、高速のヴォルファング、

 それは、先の2回とは違う質、

 更なる恐怖を狂気を込めた攻撃、

 龍人は、動けない、龍人は弱い、初見に弱い、

 初見ではなくともこれほどの攻撃、慣れると言っても無理がある。

 本質が臆病者だからこそ、それは仕方がない、

 片手のヴォルファング10撃を超える、

 向こうも意志力でスタミナを捻じ曲げ、

 ペナルティ覚悟の攻撃、恐らく絶命するまで続く絶望の嵐、

 もはや、チャンスは一度、スタミナは遠の昔にない、

 回避行動には移る方面の意志力は無い。

 ガードによるHP消費は激しい、挑戦し、失敗した場合、それは死、

 大聖堂送り、


 しかしもうそれは、カオスアニマを諦めるということ、

 魂の敗北、選択肢はない、あるとすればパリーをして死ぬか、

 パリーをせず死ぬか、成功して生き残るか、

 結末の選択肢はいつだろうとだいたい3つ、三つ巴、三すくみ、

 『過去』になるか、『未来』を掴み取るか、

 その結末を生むのはいつだろうと『今』。



「ッッッ(噛みあわせろ、考えすぎる未来と、積み重ねすぎた過去を、今に、一秒先に、)



     


       閃光のように





「ッッッッッッ」

「……、見事、だ、」




 パリーは成される、

 恐らく、この致命の一撃が最初で最後の一撃、

 この創られた尻餅をついた吾妻龍人はこれで絶命するだろう、

 これは試練、絶命させることが突破条件ではない、

 条件を満たし、見事突破したのだ。

 しかし、創られた吾妻龍人は問う、試練を突破した本物に、



「お前は、行けるか? 未来の向こう側へ」



「行けるさ、一人じゃない、

 俺のダメなところをあいつはいつだって示してくれる、だから、行けるさ」



「…なるほど、そう、だったな。その繋がりも俺にはコピーされてなかったようだ」



「ああ、じゃあな、」



「これでも、行ける? 未来がたとえそうだったとしても」



 旭の姿に変わる、旭の声、声音、それは、聞き間違えることはない、相棒の声、



「!? ………行くさ、たとえ…たとえそうだったとしても、」



 龍人は一瞬驚く、だがすぐに言う、言い放つ、その先に待つのが誰であろうとも、



「待ってる」



 創られた旭は少し微笑みながらそう言い放つ、待っていると。



 龍人は、旭の形をした生物に、大剣ヴォルファングで致命の一撃を与え、

 これを撃破した。




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