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BOSS 消えゆく魂のガルラドグラ

挿絵(By みてみん)



 『腐り果てる前の亡者たちの箱庭』のBOSS、

 

 『消えゆく魂のガルラドグラ』、


 透明な骨の巨人(龍人曰く倒したら姿が現れるらしい)、

 武器はうっすら見える、

 両肩にはカエルが貼り付いているがこれまたうっすらとしか見えない。

 BOSSステージはBOSS前より水が増え、

 水面と言える程度の水、

 灰色の地面、天井は相変わらずのつららの岩

 時折水が落ち 水面に波紋を描く。



「さぁ 初めての共同作業だ、少しは気を引き締めろよ 旭」



「えっ共闘? 初めてじゃない? ちょっとテンション上がるっ」



「雪原の門番と同等クラス、以前のやつもかなりやる。

 パワーアップもしているだろう、油断したら死ぬぞ」



「うん、わかってるっ」



 やや興奮した面持ちで旭は斧を地面に突き刺し、

 自身の顔を両手で軽く叩く、今回は堅牢な斧で行くと決めているらしい、



 龍人と旭の遙か上、天井の近く、BOSSが通常(たたず)むゾーン。

 ゴツゴツした岩の壁にたまたまできた崖の広いスペース、

 下を見下ろせる透明な巨人の寝床。



 そこから飛び降りる『消えゆく魂のガルラドグラ』、

 地面に這う水と土を巻き上げる、

 手に持っているであろう巨大極剣『ボーンクラッド』、

 その造形は薄っすら見える、髪をかすくしのような形状、

 柄の部分は直線の造形の剣。

 それは両手、両剣、

 『消えゆく魂のガルラドグラ』は二つ巨大極剣を構え初撃を放つ、



「ッッッ」



 龍人と旭は躱す、

 左から放たれる薄っすらと見える巨大極剣と速さと重さ、

 見えづらいというハンデ、相手の身体は全く見えない一撃、

 その左の後の右、飛び散る水、土、

 二つの極剣は重ね合わされる、両手の極剣の真上からの一撃、狙いは龍人、

 それは難なく躱す、



「!?」



 それは龍人の知らぬ攻撃、地面に放たれた両腕の両刀の攻撃、

 その後、透明な巨人『消えゆく魂のガルラドグラ』は膝をつき、

 両極剣をそのまま自身の左の膝を起点に回転斬りを放つ、

 それは計5連撃の最後の回転2連撃、回りにいるものに対する全体攻撃、



「(イケるっ)」



 旭は初見でその攻撃の意図を理解し、

 攻撃終わりの隙を突こうとあえて前に行く、

 龍人の判断は後ろ、間合いをとるという選択、

 久しぶりの意味『初見』だから、

 しかしそれは現時点での、差、無鉄砲の者、

 無鉄砲で利口な者としての覚醒を果たし始めている朝凪 旭との差、

 この間の戦い、その前の戦い、彼女は着実に前に進む、

 この先あるであろう、更なる困難に備えるために、進むしか無い、

 常識を持ちながらも、常識を打ち破らなくてはならない、

 そう、それは彼女の壁ではない、

 最強の脳筋が、得なければならない、最強の最長の臆病者が、

 矛盾し得なければならない領域、



「ッッッ」



 一回転してからの横からの2連撃目、回転するBOSS、

 旭は一丁寧に しかしギリギリに避ける、躱す、

 その撃ち終わり、それは攻撃のチャンス、旭は二連撃を選択しようとする、



「ッッッ?」



 しかし旭は嫌な予感がしたのか後方に回避行動を取る、

 透明な巨人『消えゆく魂のガルラドグラ』は立ち上がる、

 その時両肩に乗るカエルは唾液を吐き散らかす、



「あっぶっなっ」



 旭はそう言いながらも酸性のカエルの唾液を軽やかに躱す、

 本来なら二連撃程度してからでも避けられたもの、

 初見故さすがの旭も警戒によって矛を収める、



「ちっちゃい唾液、少し引っかかったかな?

 ダメージにはなって無いみたいだし、これくらないなら恥ずかしくないもん、」 



 旭は相手が強ければ強いほど前に進む、

 その結果、初見で前に出ての二連撃を試みる寸前、

 龍人はただ後方へ避け、傍観ぼうかんするしかなかった。

 ステータスが遥か上でも、前に出れないのであればなんの意味もない。


 カオスアニマを集める、


 それは、いかような状況でも対処できる、

 立ち向かえる『心』が必要なのは確かである。

 積み重ねた もはや揺るがないステータスによって守れる『精神』、

 そう言う 得てあまり変わらない技術やステータスではない反対側、

 龍人にとっての弱点、長期的な備えの支えではない、

 短期的な、刹那の心の強さ、無謀さ、それは閃光。



「チッ」



 龍人の舌打ち、苛立ち、わかっていること、

 しかしそれは、反対の性質、相反する矛盾、

 しかしそれは両立できることを知っている。

 自ら行動し、得なければならないことを知らない龍人ではない、

 だからこそ、後ろ盾を、ステータスに求めたのだから。

 ヴァルディリスとの戦いで少し前に出ただけの、『ひよっこ』、

 命をかけたパリーをし続け失敗と成功を

 弛緩と緊張を繰り返したイカれた『白き痴女』

 『脳筋の相棒』の旭には遠く及ばない。

 

 本質の違いと言えば聞こえはいいが、

 苛立つということは今まさに立ち向かわなければならない、

 準備はもう十分なのはレベルがもうほとんど上がらない、

 これ以上のレベルアップを求めることは旭と出会い、

 龍人はもう無意味だと感じている。

 そう ここが分水嶺ぶんすいれい


 透明な巨人『消えゆく魂のガルラドグラ』は次の攻撃に入る、

 狙いは龍人、近づく見えない足、バシャバシャと水面は音を立てる、

 確実に迫り来る巨躯、

 

 『消えゆく魂のガルラドグラ』は

 右手に持つ極大剣『ボーンクラッド』を放つ、

 龍人は右に躱す、容易に躱す、

 躱した龍人に左手の極大剣『ボーンクラッド』が襲いかかる。

 これも躱す。



「!?」



 高くジャンプする透明な巨人『消えゆく魂のガルラドグラ』、

 高所からカエルの唾液が襲いかかる、

 そしてそこからの龍人と旭に

 巨大極剣『ボーンクラッド』の過重の一撃が片方ずつ襲いかかる。

 しかしこれも躱す、以前とはまるで違う攻撃パターンだが、龍人は躱す、



「(攻撃のチャンスかっ?)」



 龍人は右手に持つ片手のヴォルファングで攻撃を放つ、

 いつまでも様子見安全プレイをしていてはいけない、

 後ろから迫りゆく旭に、

 すでに前にいる旭に、焦る、

 それは正しい、ここで焦らないのならその程度の男。



「!?」



「(もう一回かよっ!)」



 透明な巨人『消えゆく魂のガルラドグラ』はもう一度飛び上がる、

 龍人のヴォルファングを躱す形になり、

 肩に乗るカエルは唾液を撒き散らしながら高く高く飛ぶ、



「ちっ」



 唾液を多少浴びながらも龍人も回避体制に入る、

 高所から繰り出される再びの過重の一撃、龍人と旭は躱す。



「旭、」



「なにっ?」



「これをつけろ」



 それは罰じるしの指輪『遮断の指輪』、BOSSに攻撃を仕掛けない限り、

 装備すれば例外を除き攻撃はされない不思議な指輪、

 旭の視野角に譲渡申請を許可するのかどうかの文字が出る。



「これ 遮断の指輪?」



「お前はまだ攻撃してない、意味攻撃ももらってない、

 世界の判定は分からんがとにかく試してくれ、悪いが頼む、」



「初めての共同作業は?」



「カッコつけさせろよ、攻撃パターンがほとんど変わってる、ほぼ初見、

 俺も、踏み出さなきゃいけないんだ」



「龍人…」



 旭は『遮断の指輪』を受け取り受領した。



「見てろよ、旭、」



「うんっ」



「「ッッッ」」



 待ってはくれない、攻撃、

 間合いを詰め滑りながらの膝をつきながらの

 両方の巨大極剣『ボーンクラッド』で挟み込むような地を這う一撃、

 もちろん体は全く見えない、

 龍人と旭は回避行動を取り躱す、


 着地した旭は遮断の指輪を直ちに装備し壁際まで疾走りだす、

 龍人も着地する、単発の攻撃だったのだろう、

 透明な巨人『消えゆく魂のガルラドグラ』は様子をうかがっている。




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