男二人の雪原。野良の野盗の来訪
ここは『忘却の雪原』の序盤、
雪が降るのがデフォルト設定の極寒ステージ、
龍人とジャックは
旭とアリスとは対象的に極寒の地で亡者がいるスポットで
豪快に獲物を振り回し狩りをしている。もちろん防寒装備で。
大剣と大型クラブは忙しなく攻撃を繰り出し続けながら、
吹雪のためお互い大声で喋りながら戦闘をしている。
「あんたはなんで、転生を目指すんだ、ジャック、」
「理由か、そうだな、いいだろう、」
「俺には妻と、息子と、娘が居た、幸せな家庭だったよ。
とある日に、家族でピクニックに出掛けたのさ、良くある話だ、
とある道路の、とあるカーブ、
その先に目の前は反対車線を疾走るべきトラックだったさ、
避けようがなかった、恐らく、即死だったんじゃないかな」
「…」
「子どもたちは幸い後ろの座席で珍しくシートベルトもしていたからね、
前の席に居た運転していた僕と、アリスは当然助からない、
だけど、あるいは、と考えてしまうんだ、
もちろんあれほどの事故だ、一緒に死んでいる可能性のほうが高い、
だが、どちらにせよ、待つにせよ、確かめに行くにせよ、選択肢は1つさッッ、」
「…なるほど、なッッ」
龍人が最後の亡者を倒した。
「とりあえずこんなものかな、龍人、」
お互いに視線を合わし二人は笑みを浮かべる、そして龍人が言う。
「ああ、そろそろ戻ろう、あいつらもアイテールに戻ってる頃合いだろう」
「おい 吾妻龍人、」
「……なんだったか、デミカスだったか? またかよ、懲りねぇなおまえら」
龍人とジャックの前に現れたのは旭を襲った3人組、
野良の野盗、デミカス・ライセン一派である。
防寒装備をおのおのしっかりして獲物を持ち、
闇の衣の柱石を使用した状態の臨戦態勢で話しかけてきた。
「懲りるもクソもねぇ、俺たちと戦えッ」
「その生命力は驚嘆に値するが少しは頭を使え、
誰かに教えでも乞えよ、それが一番の近道だ。
そもそもそれほどに謙虚で反省する頭があるなら
何度も俺の前に短いスパンで来やしねぇがな」
「なんだとっ?」
「まぁ待つんだ、デミカスくんと言ったかな、私はジャック、
察するに龍人因縁があるようですが現状3対2、
3対1でも負けていたのだろう?
ここは私に免じで引いてくれないかな?
もちろん私ができることは後でしよう、
戦いのアドバイスをしてもいい、
龍人に聞くのはさすがにプライドが許さないだろう、どうだね?」
「ジャック、そこまでしてやる必要あるのかよ」
「龍人、いいじゃないか、
負けるとわかっていてそれでも何度も挑む、その挑戦心は私は好感が持てるよ。」
「ば、馬鹿にしてるのかよ、見下しやがって」
「そう取るのはキミの自由だ。
だが、まだゴネるというのなら私と龍人が相手になるよ。
私も熟練の生者だ、カオスアニマを求めるものだ、
やれるかね?
脳筋と私を同時に相手をすることがどれほど愚かか、
ここまで説明しても過去と照らし合わせても理解できないというのなら、
先程の挑戦心への好感は取り消さざる得ないがね?」
「引いとこうぜ、デミカスの兄貴、やっぱり、まだ全然足りてねぇよ」
「俺もそう思う、ジャックの提案に乗ろう」
「お前らっ、……くっわかったよ、ジャック、あんたに免じてここは引こう、」
「それは助かる、無駄な衝突はあまりにも無駄だ、
それよりも互いの利益のために登録をしておこう、
有益なことこそ今必要なことだ、
わからないことがあったら後日コンタクトしてくると良い、」
「……ふん、…わかった、登録しよう。」
ジャックとデミカスは光の衣の柱石を取り出し、お互いに登録を済ませる。
それが終わるとデミカスと他二人はこの場を離れていく、
「優しいぜジャック、適当にやっちまったほうが速いぜ」
「それでは解決にならないよ龍人、わかっているだろうキミなら、
人間とは未熟なほど今、自分が本当は何を求めているのか酷く曖昧なものだよ、
彼もまたそうだと見えるがね、
それをわかっていてただ叩き斬っていてはいささか可愛そうというものだよ」
「ちっ、正論すぎてなんもいえねぇ…。
俺は旭と自分だけで手一杯なんだ、悪かったよ」
「受け止めてすぐ謝れるキミはやはりあなどれないな。戦いたくない相手だ」
「褒め言葉として受け取っておくぜ、ジャック」
「…どうとでも取ってもらって構わないよ」
寒いのも暑いのも程々が良い