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東亜の三人組 そして

挿絵(By みてみん)



 キン、キン、と多数の金属音がぶつかり合う中、龍人は鉄心に言う、



「任せたぞ鉄心」



「おおっ」



 鉄心は力強い言葉で敵の剣撃を剣で受けながら返す、



「こい、旭、」

「わかってる、」



 進路が確保された龍人は旭を呼び、二人は城の中枢へと走りこんでいく、

 龍人と旭は『騎士』を他の4人に任せ玉座の間を目指す、

 別の場所でも戦いは優勢、



「オカマ舐めんじゃねぇぇぇぇッッ」


「私達ユーキリス夫妻に、この程度の数で勝てるとは思ってないよね~」


「だめよダーリン彼らこの城に全て捧げちゃってもう臨界点超えて話せないんだから、」


「それすまない、まあ来たまえッ」



 ユーキリス夫妻とオカマの槍使い天堂 勝(以下略)は騎士たち相手にものともしない、

 流石熟練の生者たちである。


 時より配置されている『騎士』たちを排除しながら玉座の間に向かう龍人と旭、

 そこに現れるどこかで見た顔、



「待てよ」



 ロングソードを持つ青髪の短髪のリーダー格の男、

 クラブを持つ眉毛のない堀が深い体格のいい男、

 小柄で目が大きいハンドアックスを持つ男、計3名、



「……? なんだよ」



 龍人はぶっきらぼうに声を掛けてきたリーダー格の男に投げかける。『なんか用かよ』と。



「俺と戦え、吾妻龍人」



「…誰だっけ?」



 まったくこれっぽっちもミジンコほどにも認識されていないことに驚いた顔を一瞬するが、

 リーダー格の青髪の男はすかさず切り返す、



「そ、そうだな、な、名乗ってなかったな、俺はデミカス・ライセン、東亜出身の生者だ」



「デミカス・ライセン? ……はて? どこかで会ったか?」



 完全に演技ではない、

 第三者でもわかるほどにその仕草や様子は全く覚えのない相手への対応である。



「て、てめぇッ」



 怒りをあらわにするデミカス・ライセン、旭が一応フォローを入れる。



「龍人、龍人、」



「? 旭、おまえ知ってるのか? この青髪の兄ちゃん」



「いや、その、私を、街道で襲っていた人だと思うんだけど……多分」



「……ああッ、あれか、はいはいッ思い出した、あの時のやつね」



「チッ、眼中に無いってことかよッ」



「で、なんの用だよ東亜の生者、デミカス・ライセン」



 東亜、東亜国、日本という島国の東にある島国、アメリカと日本の間にある国である。

 ヴァルディリスの元側近も東亜出身だったが、

 この国は歴史上争いが絶えなかった国、

 他国との争いに巻き込まれることが多く、多種国の移民も多く、

 現地住人の比率は4分の1も終盤はなかった。



 1900年初頭から中期初期辺り、決定的に滅びの道をたどり、

 東亜と言う国は龍人達が死んだ201×年には事実上無くなっている。

 日本語や、ドイツ語、英語、

 さまざまな言語を混ぜて名前を名付けることは一応有名ではある。

 東亜人最大の特徴は髪の色である。

 基本的に黒か茶髪なのだが外国人との間に生まれる者の8割程度が青髪になる。


 デミは亜人を意味し、カスは英語でカスタム、

 ライセンは日本語なのか中国語なのか雷に閃、

 シグナム・カイエンもそうだが実に中二的な自由な名付けの文化のある国である。



「だから俺と戦え、吾妻龍人」 



「あのなぁ? あんだけボロ負けしといてまだ日もそんなに経ってない、

 勝てるわけねぇだろ?

 それに今は俺たちは相当な壁が前にある。前でチョロチョロするなよ鬱陶しい」 



「なんだとぉッ? お前らの事情なんて知ったことかよッッ

 おい、バルトス、ヘイン、やっちまうぞッ、

 特訓の成果をこの脳筋野郎に見せてやろうぜ」


「ああ」

「おうっ」



 3人は闇の衣の柱石を取り出し、使用する。黒い衣を纏い、龍人に襲いかかる。

「はぁ……真正面から来るのは良いけどよ、

 本当に倒したいなら不意打ちするくらいの悪さが必要だと思うぞ」



 龍人はため息混じりにそう言うと、適当にヴォルファングで連撃し、

 デミカス、バルトス、ヘインをいつぞやのように倒す。

 それぞれ四方に散り、おのおの地面や壁に激突する。



「ば、馬鹿なッ」



「バカはおまえだ」



 そのやり取りの後、他の二人に遅れてデミカスは再び絶命し、

 運が良ければ大聖堂で復活する。あの三人は生命力だけは高そうであるため、

 龍人は何の罪悪感も持っていない様子である。



「容赦ないね」



「今はアホに付き合ってる時間はねぇ、おまえも相手が相手だ、気を引き締めろよ」



「わかってる」



 再び歩みを始める二人、その道すがら旭は少し前を行く龍人に尋ねる、



「ねぇ龍人、」



「…なんだ、こんな時に、気を引き締めろって言ったろ?」



 龍人は視線を後ろにやらず走り続ける龍人と旭、



「…『デジタルワールド』って知ってる?」



 突然の謎の質問に、やや沈黙の後、龍人は応える、



「…知ってたらどうだってんだよ、」



 流石の龍人も真意を図りかねて視線を旭にやる、



「…それだけ答えて」



 龍人のその視線に、眼差しに答えながら、旭はそう『真剣』に尋ねる、

 龍人は視線を前に戻し、少し考えてから答える。



「…知ってる」



「うん、答えてくれてありがと、」



 その龍人の答えに、旭は少し微笑みながら、 

 事の真意は旭にしかわからない感謝の言葉を龍人に向けて発した。



「……」



 龍人は何を思うのか、無言でただ走り続けた。






 玉座の間に行く前に必ず通過する部屋、

 中央には高価そうな赤い絨毯じゅうたんが吹き抜けの出入り口と出入り口をつないでいる、

 壁や床はややグレーの要石の部屋、消さぬ限り消えない、

 『永久のロウソク』が部屋の両端に配置された 明るい部屋、

 そこに辿り着いた龍人と旭は、待ち構えていたサイトウと出くわす、



「よう、『サイトウ』、」



 気軽に声をかける龍人、

 玉座の間に向かうために通らなければならない出入り口の横、

 その壁に腕を組んで寄りかかっていたサイトウは

 閉じていた目を静かに開け二人を視認し、ゆっくりと言葉を発した、



「…吾妻龍人、…朝凪 旭か、」



 龍人は伺う、挨拶代わりと言わんばかりに、



「『ヴァルディリス王』はどうした、『ご乱心』したようだが、」



「どうだかな、俺には『関係ない』」



 サイトウは手のひらを上に向け、肩をすくめ、

 心底どうでもいい、関係ないことをアピールする、



「奴が好きにしたいならすればいい、俺はその『結果』を受け入れる、」



「そうかよ、」



「お前はいけ、『吾妻龍人』、

 『ヴァルディリス王』はおまえとの戦いを『望んでいる』、」



 サイトウはそう言いながら握り仕込んでいる左手の甲を龍人たちに向け

 左手の親指を伸ばし、玉座の間につながる出入り口を刺し、

 『さっさ行け』とそのまま左手を2回ほど縦に往復、動かした。



「? そうかよ、じゃあ、お言葉に甘えさせてもらうぜ、」



 願ってもない提案と龍人は走りだす、 

 しかし旭のことを思い出した龍人は3歩足を出したところで声をかける、



「旭、」



「わかってる、さっさと行って龍人」



 旭は龍人の視線に気づきながらもその視線は、瞳は、眼前のサイトウから離さない、



「ああ、」



 龍人はやや不安げにそう返事を返し、サイトウの横の出入り口から出て行く、

 それを横目で確認し終えたサイトウはまだ出入り口に視線を向けたまま旭に問う、



「…私に…勝てるとでも思っているのか? 朝凪 旭、」



 言い終わる頃にはサイトウは旭に視線を向け、瞳で、全身で、殺気で、威圧する、



「旭でいいわ、サイトウ、」



 その威圧に、ものともしない旭は、呼び捨てで構わない、真剣にそう告げる、



「…また少し、なにか成長しているな、まぁ話しに来たんじゃないだろう?



 早速だがやるか、どちらが使う? どちらが『闇の衣』を纏う?」



 サイトウの提案を制し、旭は彼にとって予想だにしない提案を発言する。



「まって、ただ戦うんじゃない、『カオスアニマ』を賭けて、私と戦いなさい、」



 その発言に、サイトウは訝しむように、沈黙の後、一言、発言する。



「……正気か?」



 当然の問いかけ、『カオスアニマ』を賭ける、それは、どちらかの『即死』、

 ここ最近が異常、頻繁に行われる行為ではない、



「…正気だよ、それとも、

 『主』を失っても自分だけは生き残ろうっていうんじゃないでしょうね?」



 旭は『新選組の組長』に対し、

 この世界『テラ・グラウンド』でおそらく数百年以上生きる、

 噂では千年を超える大先輩でもあるサイトウに、本気で勝てると思って喧嘩を売っている。


 この世界に来てたった2ヶ月と一週間の旭が『本気』で『真剣』に勝てると思い発言している、



「……ふふふ、はははっ、ハハハハハハッッッッ」


 

 『それ』が伝わるからこそ、わかっていながらその言葉を吐くその『度胸』に、

 『勇ましさ』に、

 『若さに』笑わずに入られない、しかし、その上を旭は行き続ける、



「これもあげる、」



 旭はそう言うと刀を展開させ、サイトウに投げつける、



「!?」



 パシッといい音を立てて『それ』を意図せず受け取るサイトウ、



「…何だこの刀は、『刀』はこの世界に『一つ』しかないはず」



 今、サイトウの手元にある刀『継式 虎徹改』、

 その『性能』に、安易に想像できる『リーチ』に、

 それを『あげる』と言う旭に驚きを隠せない、

 旭はそんな表情のサイトウに向かい、解説すら始める、



「『継式 虎徹改』、今は亡き『鍛冶屋虎徹』が創り出した『新種』、『最高傑作』、」



「それでもまだ『足りない』?『新選組3番組組長、斎藤 一』さん?」



「…あいつが…逝ったのか…

 だが、貴様はその、平凡な『ただのロングソード』で私に挑むというのか?」



 あまりの『こと』に確認せざる得ない、

 『お前は正気なのか? ヴァルディリスより正気じゃないそ』、そんな声色だ。



「そう、私は『転生』をめざす、朝凪 旭、

 目指そうとも思わなかったあなたに勝てないようじゃ、

 『あいつ』には、勝てない、『一緒に』、目指せない」



 旭は想いを、感情を、込めて『誰か』を思って、そう話す、



「『あいつ』? 何を言っている、『龍人』のことか」



 旭は簡単に『正解』を答えたサイトウに、少し笑みを浮かべ、

 すぐ顔を真剣な顔に戻し、続ける、



「やるの、やらないの?」



 『答えは一つだろう、逃げるなよ、斎藤 一、男の子だろう?』

 そう言わんばかりの旭の『言葉』、『声音』、『威圧感』、



「……いいだろう、どの道やることもない、…受けよう、

 『カオスアニマ』を賭けて、サイトウは朝凪 旭と戦うことをここに誓う、」



 サイトウは、斎藤 一ではなく、あくまでサイトウとして戦う、そういうことなのか、

 しかし片側の誓いは成された。サイトウは虎徹改の受領了承し、旭の宣言を待つ、



「朝凪 旭はサイトウと『カオスアニマ』を賭けて戦うことを誓う」



 旭もそれを受け、迷いなく、誓いを済ませ、互いの体が白く一瞬仄暗く輝く、

 もう、どちらかが、『カオスアニマ』になることは決まっている。

 どちらかの死、それが、もう『結果』として決まる。

 旭は商人松原から譲ってもらった卸したてで

 強化はクスハがしたばかりの『ただのロングソード』を片手で構える、

 左手に盾はない、それでも旭は揺るがない、自分に課した、ハンデ、

 迷いはない、自ら、戦いの合図を告げる、

 朝凪 旭、最初のカオスアニマを賭けた戦い、最後かもしれない戦い。



「…いくよ」



 サイトウは『継式 虎徹改』を右手で持ち、後ろに引き構える、

 不敵な笑みを浮かべながらその言葉を受け入れる、




「ああ、こい、旭」


 



 二人の片足が、地面を離れた。







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