末期
アヒルのジョージが『乱心』したと言った三日前のヴァルディリス城内、
いつもの王の間、玉座、
ルアーノ・ヴァルディリスは自らの手駒である兵に命令を下した。
「始まりの狩人と亡者の森に新たな城を建設せよ、
私とサイトウを除く生者、立ち入る者全てを敵と認識しろ」
それが命令の全内容である。
「いいんですか? あの森は始まりであり終わりの場所、
全ての生者の源泉とも言える場所、緑溢れた癒やしの場所ですよ、
意味、全生者を敵に回しますよ」
「構わぬ、構わぬのだ、シグナム、」
「……私はサイトウです、ヴァルディリス王、」
「ああ…、そう、…そうだったな、…私はいま誰を呼んだのだ??」
「……(末期だな)」
サイトウはそう口にせず想うだけに止めた時、
ヴァルディリス王は何かを思い出そうとするが思い出せない、
彼が、ルアーノ・ヴァルディリスが思い出したかったのは別れの時、
「行くのか? シグナム」
「ああ、楽しい時間は終わった、後はどう浄化されるか、
ただそれだけだ、散り際だけは、皆と一緒ではなかったようだ」
「…私をひとりにするのか? シグナム、」
「……この世界でやれることはやった、
逝くのは自由だ、残るのも自由、
一人が嫌なら浄化されればいい、受け入れればいい、
未練が有るなら、それが何なのかを見つけ出して、成せばいい、ただそれだけだ。」
「……」
「じゃあな、楽しかったぜ、ルアーノ・ヴァルディリス、
おまえとの縁はここまでだ。達者でな」
「…ああ、さらばだ、」
ヴァルディリスは、去っていく、
小さくなっていくシグナム・カイエンをただ見送るしかなかった。
その城は静寂に包まれた。
目を閉じてかつてを思い出せないヴァルディリス王は、目を開き言う、
「私は…私の未練、ああ私は…」
ヴァルディリス王は左手の人差し指にしている謎の指輪を眺めながら
そう呟きながらその先は言わずに、ただその指輪を愛おしそうに眺め続けた。
それから三日後、静寂のヴァルディリス城、
日も既に落ちてから相当の時間が立っていた。
現世で言う深夜0時を越え、日付が変わり、多少時間が経ったであろう時刻、
『サイトウ』はヴァルディリス王に与えられた部屋で夜空を見ながらくつろいでいた、
特に何をするでもなく、感慨に耽っていた、
「(そろそろ寝るか、)」
そう思った矢先、サイトウは『違和感』、いや、ほんの僅かばかりの騒がしさを感じる。
「…? (外が騒がしい…? いや、…違和感、なにか…くるな)」
サイトウは部屋を出て、外の様子を見に歩みを始める、
その途中、玉座の間のヴァルディリスに一応声をかけることにした。
「…サイトウどうした?」
「ヴァルディリス王、いやなに、外が騒がしいので寝る前に巡回でもと思いまして」
「ふ…、さすが我が右腕だ、『銀色の騎士』、『白金の騎士』が今まさに数人やられた。
おそらく、多人数、私を撃ちにでも来たのだろう」
『やはりきたか』、そう言うヴァルディリスに、サイトウは驚かない、
あれだけのことを仕掛けたのだもはやこれは予定調和なのである、
「…そうですか、なら、私は行かねばならないですね、(今日は安定しているな)」
「雑魚は任せる、どうせ龍人あたりを私にあてがうだろう、奴は通せ、私がやる、」
「わかりました、では、」
軽くお辞儀をし、サイトウは玉座の間からゆっくりと出て行く、
それを見送った後、
ヴァルディリス王は龍人達から貰った『謎の指輪』した左手を掲げ
顔を視線をそこに向け『何か』を確認する、そして独り言を始める、
「ふふふ、はははは、この『指輪』が、そう『囁く』のなら、
そう『記する』のならわたしはそうしましょう、それが、『転生』への近道ならッッ、」




