4匹の獣
前回のあらすじ
脱エルフ里
獣村は王都の北にある山脈の東の方にある。
エルフの里を北上しても着く。
今まで来た場所の中では1番寒い。
と言っても、大した寒さではないのだが…
ちなみに今回はメンバーを厳選しており、来ているのは、俺、ショウ、コリンナ、アンス、ルイシーナ、オレールの6人。
理由は、毎度毎度フルメンバーで行っていては大所帯になってしまい、相手にも迷惑がかかるし、カバー範囲が広くなりすぎる。
ロボルは今回はお留守番で、家の警備だ。
クミナがいるので、最低限は大丈夫だが、ま、多少はね。
んで、村の印象だが、動物アレルギーの人には地獄だろう。今時期は寒い方なので獣族の毛が厚くなる。
つまり、抜け毛の量も増える。
はじめはアンスたちの知人に挨拶をした。
その中にイゴルもいた。
フェリクスからは聞いていたので、ある程度は面識があった。
そして、目的の長老のところへ行った。
長老の家は1番大きいのですぐわかる。
大きいというのも、装飾が多めなだけでサイズがちょっとだけ大きいだけ。
長老は貫録のあるお爺様って感じ。
「さて、遠路はるばる何用かな?」
「人間が獣になる現象について話を聞かせてもらいたい。」
長老は俺たちを少しの間見つめ、語り始めた。
「人が獣になる方法はいくつかある。1つは生まれ持っての体質。1つはそのような魔法を使ったか。1つはその身を改造するか。などなど世の中には多くの方法がある。」
「つまりはなった原因が分からないと解決法も分からないと?」
「左様。」
また、振り出しからか…と思い詰めていると、ショウの口が開いた。
「なあ、その中でも、なった後にとんでもない氷の魔法が使えるようになるのはどんなのだ?」
長老の眉が上がる。
「とんでもないとはどの程度かな?」
「そうだなぁ…並みの炎の魔法じゃ溶かせないクリスタル級のだ。」
長老が何かを悟ったように息を吐く。
「その獣になったのはどなたかな?」
俺は何かまずい事でもしたかと思いつつも、そっと手をあげる。
「では、君は大きな白い狼に会ったことはあるかね?」
「あ、あぁ…」
「彼女は、君に何をした?」
「何をって…子供押し付けて灰に…」
長老は納得してした様子で頷き、こちらを見つめなおす。
「これから話すのは、何年も語り継がれて来た伝承だ。ここら一帯…人やエルフ、私たちが住むこの地域には4匹の王とも呼べる獣がいる。1匹はあの山脈の何処かに、1匹は森の何処かに、1匹は空の何処かに、1匹は西の端の何処かに。」
「俺の会ったのがその内の1匹だと?」
「左様。あの山脈に住む大狼。彼女は氷を司る獣だからな。」
「ならなぜなんの関係もない俺が…」
「彼女達は代替わりをする。周期は分からないが、その代替わりの際、彼女達が決めた相手の魂に自分の魂を結びつける。子供はその時の相手に預け、その次の王になるのだ。」
「なんで俺の魂にいると?」
「彼女達がそうした際、彼女達の体は灰になってしまう。そして、その印として己の体の1部を残す。その剣はそれで作ったのだろう?」
「だが、俺が人狼になるのはどうなって…」
「彼女達の力は強大だ。きっと君の魔力量はまだまだ少ない。しかしその時、一時的にでも魔力量が上がったのではないか?そして命の危機にあったのではないのか?」
膨大な魔力と命の危機は黒魔石で説明がつく。
しばしの沈黙が続く。
その沈黙をショウが破った。
「一応原因は分かったな。」
それに長老も続く。
「しかし、彼女が人間を跡取りに選ぶとは…」
「なあ、そいつは俺の魂に力を結びつけたんだよな?」
「いや、正確には魂そのものをだ。」
「つまり俺の中でそいつは生きてると?」
「生きているという表現が正しいかは分からないが、そのようなものだ。」
「どうしよう、ショウ。」
「な、なんだよ…」
「家賃払われてないんだけど。」
「いやそこじゃねえだろ!」
「えぇ〜だって無理やり住みこまれてんだぜ?俺が許可した訳じゃないのにさ。」
「結果ヨームにならずに済んだんだからいいだろ!」
「でも家賃…」
「なあ、魔力量が上がれば力を操れるんだな?」
「恐らくな。」
「よし!リョウ!特訓だ!働け!」
「あ、強いレアアイテム見つけたときの目してやがる!人を都合のいい戦力だと思ってるだろお前!」
「え?違うの?」
「ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁ!」
そんなことをしていると、山の方から爆発音のようなものが聞こえた。
「今のは?」
長老がやれやれといった感じで首をふる。
「最近山の方に何かが現れたらしくてな。今のところ被害は出てはいないが、何やら嫌な予感がしてな。近々ギルドに依頼を出すところだ。」
その後、爆発音は聞こえなかった。
俺たちは長老宅を後にし、宿に泊まった。
今のところ、あのデカイ狼が俺の中にいるとは思えない。
だが、ドラゴンの腹のなかで聞いたあの声。
俺を後継者って呼んだってことはもしかしたらあの時の声はあいつだったのかもしれない。
そうなると感謝しないといけないかもな…
そんなことを考えながら俺は夢の中へ落ちていった。
次回、熊って意外と大きいよね。




