ステータス
長い。
前回のあらすじ
異世界は素晴らしいものばかりとは限らない
「あーそうだ。聞きたいことあったわ。」
「ん?何?」
「マニュアルでも見たんだけどよ、この世界のステータスがイマイチ分からなくてな。」
「あー、あのマニュアル結構回りくどいからな。そりゃわからんわ。」
「んで、結局あれってどういう仕様なんだ?」
「この世界のステータスはな、存在するが、厳密にはないのと変わらない。」
「何その虚数みたいなの。」
「あながち間違いじゃないんだなこれが。」
「へ?」
「俺たちのステータスに対する認識はさ、レベルアップすると上がる能力値、又は自分で割り振ったのちにそうなる能力値ってものだよな?」
「ほぼ全てのゲームがそうだからな、まあ、たまにその上がるポイントもどれに振るか選べるものもあるけどな。」
「んで、この世界のステータスもそれとは変わらない。現にレベルっていう概念はあるし、この世界に来るときに比率で自分のステータスも割り振ったからな。レベルアップすれば全てのステータスがアップする。」
「それはわかるんだが、改造可って書いてたからさ。」
「そこだ。その一点に限っては俺たちの認識と違うんだ。」
「どういうことなんだ?」
「つまり、"トレーニングすればいくらでも上がるんだよ"この世界のステータスは。」
「何?」
「筋トレすれば筋力ステータスが上がるし、早く走るトレーニングすれば、俊敏ステータスが上がる。レベルに関係なくな。」
「それレベルの意味ある?」
「ない。だからこそ、"あって無いようなもの"なのさ。この世界の人からすれば、冒険者とか必要な職業の人以外の人はそのステータスって概念を知らないし、そもそも、ステータスはそう簡単に見れるものでも無い。」
「というと?」
「俺のスキル、鑑定とか、その鑑定の魔法がかかったスクロールとか、鑑定石みたいなのが無いと見れないんだよ。」
「つまり、限られた人しか見れない?」
「そんなものを気にするくらいならレベルでその人の能力を推し量った方がいい。だから大半の人はステータスなんて気にしてない。人によっては存在を知らない人もいる。」
「それで、あって無いようなもの か。」
「実際、俺の鑑定スキルもレベルが足りないのか、ステータスはまだ見れないしな。」
「ゲームみたいにステータスが一定以上無いと使えない魔法とかは無いのか?」
「"高度な魔法"とかはあるけどな。」
「一定値が分からないからそういう括りでまとめてるだけか。」
「正解。」
「てことはリョウの鑑定スキルのレベルが上がるまでは大元のレベルで強さを判別しないといけないってことか。」
「そういうこと。つまり今のショウはかなり弱小の部類。」
「転生1日目だもんな。レベル1だろうからなぁ。」
「ご明察。んじゃ、当面はショウのレベリングだな。」
「だな。リョウとの差を考えたら泣きそうだ。」
「ハハハ、なに、俺も付き合うからさ。」
「頼むぜ?狩場とかさ。ところで、俊敏ガン振りにしたらしいが、どれくらい速いんだ?」
「うーん、本気の鹿とか兎と張り合えるレベル?」
「鹿とか兎って、本気出したら時速60とか出なかったか?」
「でも俺耐久1だからさ、あれ持久力にも関係してたらしくて、助走込みで全力疾走は5秒が限度かな。マックススピード出てるのはせいぜい1、2秒かな。それ以上無理したら倒れる。」
「要は体力が無いのか。」
「そゆこと。でも、打ち合いのスピードは結構持つし、俊敏って脚力にも関係してるから蹴りの威力には自信あり。」
「筋力と別なのか。」
「筋力も高ければもっと出るってこと。」
「へー。」
「だから鍔迫り合いは苦手。」
「押し負けるからな。」
「さて、他はおいおい話すとして、日も暮れてきたな。」
「帰るのか?」
「いや、ついでに、クエスト1つ捌く。レベレングついでにな。」
「スパルタ教官かな?」
「大したものじゃ無いさ。畑に出るイノシシ退治。」
「なんだ、そんなものか。」
「イノシシ舐めてると痛い目見るぞ?」
「強いの?」
「レベル1にはちと辛いかもくらい。」
「イノシシとは。って、畑って、この国に畑なんてあったか?壁で囲まれてるのに。」
「農家は壁の外に住んでるのさ。西の方にな。南には平原があって、東にはお前が目覚めた森、北にも森があるけど、あっちは城門ないからね。」
「てことは西、東、南に城門があると?」
「ついでにギルドもそれぞれ西区、東区、南区担当のものが3つ。俺たちの家と使っているギルドも東区。」
「北にはなんでないんだ?」
「貴族の土地だし、王城があるからな。狭いし。」
「ほーん。」
そんなこんなで、俺たちは城壁から降りて、通りを歩く。
少しするとかなり大きな通りにでる。
「ここは?」
「東大通り。国の中心に向かって伸びた一本道。北、西、南にもあって、国の中心にはでかい広場。」
「典型的な国の作りだな。てか、ずっと思ってたけど、国ってか、街じゃね?」
「たしかに広さ的には東京より小さいと思うけど、国って言ってるし。実際中世の国なんてこんなもんだろ。」
「横暴の極。」
「俺に言われても。」
歩きに歩いて西区についたが、日もすっかり落ちた。
「もう夜だが、いいのか?」
「イノシシは基本夜動くからな。これからのタイミングが丁度いい。」
「馬車とか使わないのか?」
「馬車ごと燃やされるかもしれないだろ?」
「んなバカな。」
「前に貴族が乗ってる馬車にそんなことがあったんだよ。」
「マジ?」
「マジ。恨まれることしてないけど、遡ったら誤爆もあったらしい。」
「こんな大通りで?」
「こんな大通りだからこそ。やったあと紛れて逃げやすいからね。」
「Oh…んでさ、この西区の特徴は?」
「ん?ああ、特徴ね。そうだな〜。あっ、国1番のスラム街。」
「は?」
「どの区域にもスラム街はあるんだけど、西区が一番ヤベエ。」
「どれくらい?」
「内戦真っ只中の中東とアメリカのそういうところ足して2で割った感じ。」
「具体的にいうと?」
「薬と犯罪の宝庫。国もお手上げ状態。」
「うへ〜。」
「でも、一部分、需要がある。」
「え?誰に?」
「貴族とかのお金持ちにね。あいつらに消費させるにはもってこいの場所。そこから割とお金が市場回ったりする。」
「へーどこ。」
「綺麗なお姉さんが露出度の高い服着て手招きしてるとこ。」
「そっちだったか…って行ったことあるの?」
「屋根の上から見ただけ。夜なら滅多にバレない。」
「さすが悪党志望者。」
「片方によって伏せるだけで片方からの目を全面カバー出来るからね。」
「ほう。」
「さて、とっとと終わらせるか。」
と、西区城門の前でちょっと気合いを入れた俺たちだった。
次回、イノシシは急に止まれるし、曲がれる。




