年末
前回のあらすじ
お礼に小手と娘をもらった(押し付けられた)
俺がこの世界に来て結構経った。
この世界は一年が8ヶ月だ。
一つの季節が約2ヶ月。
わかりやすいが、みんなからしたら
「短すぎないか?」
と思うだろう。
しかしこの世界の1ヶ月は46日ある。
つまり日数で言えば約365日になるから長さ的には大して変わらないんだ。
俺がこの世界に来たのが3月中旬。
学園に入っていたのが5月から6月中旬。
魔王軍が来たのがそのあと。
ドラゴンの集落に行ったのが七月のはじめ。
そして今。帰ってきて少し経って七月中旬。
今年残り約60日ほど。
現世で言うところの11月。
そう、今年ももう終わりが近いのだ。
ルイシーナがきて以来、俺は夜安心できなくなった。
というのも王都の家に戻ってきた最初の夜にまた夜這いを仕掛けてきた。
うん。バカかな?理解力が乏しすぎるね。
幸い、ドラゴン村での前科があって、エヴたちが食い止めてくれた。
パーティの風紀を守ってくれて、本当に有難い。
だが、そのために俺が寝るときに交代で俺の部屋で寝泊まりするのはどうなんだ?
手を出さないだけましだけどさ。
とりあえず、ルイシーナをどうにかしないとどうにもならないな。
「ルイシーナ、頼むからやめてくれ。お前のせいで最近よく眠れないんだ。」
実際夏なら外に避難するのだが、ここ最近外が寒い。
そのせいで近々、防寒具を買いに行くことになっている。
「夫婦になるためには必要なことだろう?」
あーもう。こいつドラゴンだとしても頭固すぎるだろ。
しかし俺はこういう奴への対処法は少し知っている。
押してダメなら引けばいい。
「そうか〜良い妻っていうのは夫のお願いを聞いてくれるものなんだがな〜」
「む?」
「俺は俺のお願いを素直に聞いてくれる奥さんが欲しいんだがな〜」
その日からルイシーナは来なくなった。
フッ、チョロいな。
数日後
今日は防寒具を買いに行くことになった。
事前にポールさんに発注しておいた。
全員分の採寸と発注を二つ返事で請け負ってくれたポールさんには頭が上がらない。
来た物は結構いいもので、保温性が高い。
首のところにファーが付いているし、俺の物にはフードもついてる。
他のみんなのも各々の要求どうりに様々な工夫がされている。
例えば、フェリクス、アンス、オレール、ルイシーナの物には、尻尾の邪魔にならないように裂け目が入っていたりする。
こうして、俺たちはそこそこの安価でオーダーメイドのコートを手に入れた。
「リョウタロウの人脈に感謝だな。」
「エヴは頼めばいくらでもできるだろ。」
「それとこれとは違うんだ。」
「でも、これすごいですよ。見た目以上に暖かいですし。」
みんなにも好評のようだ。
さて、冬といえばみんなは何を思い浮かべるだろうか。
雪?クリスマス?その先の正月?
色々あるだろう。
実際冬は夏に匹敵するくらいイベントがある。
そんな中でもみんなは“冬眠”をしているだろうか。
特定の動物や昆虫は冬眠を行う。
冬眠しなくても活動が消極的になるものもいる。
その影響を食らったのがフェリクス、コルネリアだ。
フェリクスはリザード、つまりは爬虫類の仲間に分類される。
世の中には冬眠しない爬虫類もいるらしいが、フェリクス達リザードマンはするようで、この頃寝ている時間が長くなっている。
そこで俺はフェリクスに冬眠がてら里帰りを勧めた。
年末が近いのだから里帰りするのもいいだろうということで、ポールさんからコートを貰ったら行くということだった。
「じゃあ、また年明けにな。」
「おう、ゆっくりしてこい。」
ということでフェリクスが一時離脱。
そしてコルネリアの方だが、彼女は猫の獣人族なのだが、猫はどこも寒いのが苦手らしく、家でメイドとして働いてもらっているのだが、最近ミスが多い。
といっても、大したミスじゃないんだがキーラの当たりが強い。
余談だが、キーラに
「メイドにさん付けしないでください。」
と矯正された。
「でないと夜にルイシーナを差し向けます。」
と言われたら
従わざるを得ない。
相変わらず俺は彼女が苦手だ。
頼りになるけど。
ということで、家の中はすっかり冬ムード。
最近は寝るときにロボルというあったかい抱き枕を抱いて寝るのが習慣だ。
結構気持ちいいし、毎日しっかり洗ってるからいい匂いもする。
実際ロボルも寒くて俺の布団に入ってくるから、実質WIN-WINの関係という奴だ。
そんな中、どうやら里帰りをするのはフェリクスだけではないらしい。
そのメンバーは エヴ、ディアナ、カミラの3人。
エヴは王城にいなきゃならないらしい。
なんでも年末に年越しのイベント的なものがあるらしいし、王族はそういう国家行事でやることが多いからだそうだ。
1人というわけにもいかないのでコルネリアを連れて行くらしい。
ディアナは、ここ最近里にいってないかららしい。
パーティに参加してから音信不通にしていたらしいから親に顔を見せたいそう。
カミラは王都にはいるが、実家に当分泊まるため。
そんなこんなで家には
俺、ロボル、コリンナ、アンス、オレール、キーラ、ルイシーナだけになった。
現在、8月の中旬。
殆どの冒険者は活動を休んでいる。
そういう時こそ稼ぎどき。
今、ロボルとギルドに来ている。
ギルドはまだやっている。
もう少ししたら休みになる。
まあ、なんかでかい事件が起きたら開くんだけどさ。
モンスターも寒い冬の間は活動が鈍くなるので、クエストは少ない。
あるのも落し物とか、そういうレベル。
そんなのをチマチマこなす。
たまにやるのもいいものだしね。
あと活動資金は多いに越したことはない。
そんな中、クエストの中に目を惹くものがあった。
幽霊退治。
内容としては、近くの廃屋から女の子の声が聞こえる。白い影が見えるなど、情報はありきたりだが、報酬は悪くない。
「なあ、ロボル、幽霊って殺せる?」
「ワンワン(魔法系の攻撃なら)」
「ふーん、じゃあやってみるか。」
ま、すぐ終わるだろう。
てか、冬に幽霊って季節外れじゃんね?
次回、幽霊少女は座敷わらし?




