偶然
前回のあらすじ
仕事、やだ。
「これで何人目だよ。いくらなんでも多すぎじゃね?」
「それだけ大きい組織ということだ。」
「はあー。伝令でこの量って、こいつらの行き先も考えると、規模は…あー考えるのやめた。だいたいよくこんなになるまで放っておいたな?」
「ようやく潰せるまで来たんだ。ここまで長かったんだぞ?」
「どんだけ有能だよ。ここの悪党は。」
現在、午後の3時。伝令潰しなう。
「見つかったか?ディアナ。」
「ダメです。コリンナは?」
「いろんな人に聞いてみましたが、ダメでした。」
「やはりそう簡単には見つからないか。」
「弱音を吐く暇はなさそうだ。次は向こうの方で散開してみよう。」
「「「おー」」」
現在、午後の5時。獣探しなう。
とある倉庫にて。
「おい、伝令はまだなのか?」
「そろそろのはずですがね。でも、ボドワンさん。今回のはかなりの上玉ですね。」
「なにせ、数少ない氷魔法の使い手の獣族のガキ2人ですからね。かなりの値が付きますよ。」
「あいつら動物のくせに寝てる時は警戒心ゼロですからね。」
男達が5人、視線を向ける先には鎖に縛られた獣族の子供が1人、鎖で手を縛られて、吊るされるように拘束されている獣族の女性が1人。2人とも腕に布を巻いている。
「貴方達、恥を知りなさい。こんなことして許されると思ってるの!?」
「そのくせ起きてるとキャンキャン吠えますがね。」
「ほんと、うるせえ雌犬だな!(ドスッ」
「くっ。」
「お姉ちゃん!」
「お前も黙ってろ!(ドンッ」
「オレール!やめて、弟には手を出さないで!」
「じゃあ大人しく売られるのを待ってるんだな。」
「売られるってなにを!?」
「獣族は氷魔法が使えるからな、良い値で売れるんだ。」
「!そんなことのためにっ!貴方達も知ってるでしょ?あれは魔力の消費量が多くて、とてもお金になるほどたくさん使えるものじゃないのよ!」
「知ってるさ。だが、買い手はいっぱいいるんでね。それに、氷魔法だけが目当てじゃない奴もチラホラいるしな。女ってだけでそれなりに売れるってことよ。そこのガキは単なる氷製造機になるだろうがな。」
「やめて、お願い、助けて。」
「そんなこと言っても誰も来ねえよ!」
「「「「「アハハハハ」」」」」
そんな会話を物陰で聞いてしまった俺ことリョウタロウです。
いやね。別に聞こえたから来たんじゃなくてね、伝令の行き先がここでね?そいつが持ってる手紙に人身売買の会場が書いてあったからきっと彼らに手紙を渡して、あの獣族?の2人を連れて行くという計画だったんだろうさ。手紙に書かれた場所にはもう騎士団が向かっているので大丈夫だが、それで見ちゃったものは仕方ないから来てみたらこれだよ。
「これどうしよう。」
「助けるに決まっているだろう。」
「そういうとは分かってたけどさ。どうやって助けるかよ。あっちには人質がいるんだぜ?」
「むぅ、それは、そうだが。」
「はぁ、お前は頭が固いな。俺に任せろ。ただし謝礼プラスな。」
「すごい金銭欲だな。」
「稼げるときに稼ぐ、これ基本。さ、さっきの手紙渡せ。」
「あぁ、で、どうするんだ?」
「いいか?お前はロボルと同時に出てきて、あの男の子についてる1人をやれ。それだけ考えてればいい。」
「お、おう。」
「いいか?ロボル、俺が1人目をやったらお前は俺がもう1人をやる間にあそこの2人をやれ。できるな?」
「ワフ。」
「よし。じゃあ、一芝居打ちますか。」
そう言って、俺は小手の中の短剣と左腰のナイフを残し、ほかの装備を置いた。
「あのー。すいません。」
「誰だ!」
「あ、あの、伝令で、これを。」
「ああ、伝令の者か。すまないな。どれどれ、なるほど。ご苦労だったな。じゃあ運ぶの手伝ってくれ。」
「はい!それで、失礼かもしれませんが、ボドワンさんですよね?」
「?そうだが?」
「はい!あの、僕、ボドワンさんの噂を聞いて、ここに入ったんです。」
「そ、そうか。照れるな…」
「裏の世界じゃ有名ですからね。あの、握手、いいですか?」
「お、おう。なんか、ありがとうな。」
そう言って俺はボドワンと握手をする。
その場の雰囲気がちょっとほんわかする。
「ありがとうございます!じゃあ死ね。」
「え?」
そう言って小手の中の短剣をボドワンの腹に刺す。
すぐさま左腰のナイフでもう1人に投擲スキルで喉元めがけ飛ばす。
するとロボルが飛び出してきて、ほかの2人を咥えた刀で切り裂く。
フベルトも最後の1人を仕留める。ただ、無力化だけど。
「はい。今日の仕事終わり!」
そう言いながら、短剣とナイフを回収する。
「随分とうまい演技力だな。」
「人を騙すのは得意な方なんでね。んじゃ後始末は任せたぜ。外の奴らにもそう言っとく。」
「気づいてたのか、部隊をつけさせてたの。」
「お前らは鎧の音がうるせえのもうちょい工夫しろ。」
「あ、あの、貴方達は?」
「あ?別に〜。単なる雇われの冒険者だよ。んじゃフベルト、俺帰るから、あと、このボドワンはまだ息あるから気をつけな。」
「全く、薄情な奴だな。彼女たちを助けるくらいはしてやったらどうだ?」
「はぁ…はいはい。」
そう言ってロボルの刀を借りて、延刃、魔力研磨(魔力強化よりこっちの方がしっくりくるな。)で女性を吊るしてる。鎖を断ち切る。さすがの斬れ味で簡単に斬れる。そしてロボルに刀を返す。
「これでいいだろ?てか、薄情っていうが、ここまで付き合ったんだから感謝してほしいね。」
「ふふ、なんだかお前らしいな。ありがとう。お陰で助かった。」
俺は武器を回収して、ロボルと一緒に子鹿亭へ帰るのだった。
そういえば謝礼って後でちゃんともらえるよな?
このまま持ち逃げとかされたら上層部の大臣全員暗殺してやる。
フベルトの装備は剣に盾となんとも騎士らしい装備なってます。
バレないのはご都合主義ってことで




