鍛治屋
前回のあらすじ
性格ブス
やあ、みんな、イバラ リョウタロウこと、私だ。
昨日ははしたないところを見せてしまったな。ま、あれが本性なんだけど。
クヌート家は文字通り潰れた。
家は売り払われ、資産は没収、人は豚箱入り。といっても使用人は無関係とされ、釈放。
「当人たちは出ては来れないだろう」
とフベルトが言ってた。
あの帳簿はルッツの書斎の本棚の裏にあった。
なんで気がついたかって?床に本棚引きずった跡があったからさ。
本人は寝室にいたから余裕だったね。重かったけど。おかげで本を一回全部出さなきゃいけなかったじゃないか。音たたないようにするの大変だったんだ。
んで、今はお昼ごろ。
小鹿亭で休憩中。
俺の理想では、この場には、俺と、フェリクス、ロボルだけのはずだった。
だが違った。
そこには、王城に残るはずのエヴと、俺に愛想つかして里に帰るはずのディアナもいる。
もうあきらめたほうがいいのかな。
そんなことを考えながら、ロボルの親の牙を眺める。
どうにかして、こいつを武器にしたい。でも、そこらの鍛冶屋じゃいやなんだよなぁ。こいつは職人に使わせたい。あいつの思いも入ってるし。
「リョウタロウ、さっきから何を悩んでるんだ?」
ん?お前の消し方…もあるけど。
「ああ。これを武器にしたいんだが、そんじょそこらのやつにはやらせたくなくてね。」
「ならドワーフはどうだ?」
「ドワーフ?」
「王都の西に彼らの村があるんだ。鍛冶と酒と言ったら彼らだろう。」
へー。いるんだ。ドワーフ。それならドワーフに頼むのがいいかもな。ゲームでも鍛冶と言ったらドワーフだし。
「どうする?行くか?」
「行きたいのは山々だが、距離は?」
「リザードマンの里よりは近いぞ。一泊二日でつく。」
「てことは野営道具必須かぁ。いつかは買わなきゃとは思ってたけどさ…」
「それなら私に任せてください。」
「あれ?ディアナ、パーティ抜けるんじゃ…」
「だから、許してくださいよぉ…。」
「で?任せろとは?」
「ふっふっふ。エルフを舐めないでくださいよ?だてに森で暮らしてないですからね。野営の一つや二つ、朝飯前です!」
「ふーん。フェリクスはどうする?」
「俺も自分の里とこの王都しか見てないからな。興味がある。」
「…じゃあ、いくか?明日から。」
「「「おお!」」」
「じゃあディアナ、エヴ、買い出し頼むわ。」
「「もしかして、まだ怒ってる?」」
「さあ、どうだろうね~。」
決まってんだろ、コノヤロー。
翌日、俺たちは王都を発った。
道中は特に戦闘もなく、もはやピクニック気分だ。
夜は交代で見張り、のはずが敵がくると必ずロボルが起きて駆除するのな。もう見張りも要らなくなったか。
なんでもドワーフの村は川が三つ通っていて、水車を動力とし、酒造りだったり鍛治に使ったりしてるらしい。王都に出回っている酒の大半もそこで作られてるとか。
途中で大きめの蛇と遭遇。そして駆除。もう手慣れたもんだ。
そしてお昼頃到着。
村というよりは街に近いな。結構栄えてる。まあ産業が産業だからな。おかしくないか。
一応ここにもギルドの支店がある。といっても見渡す限りドワーフだらけ。
ドワーフというのは背が低く、それでいて力持ち。これは男性も女性も同じ。男性は髭があるほうがかっこいいらしい。女性はぱっと見年齢が判別しかねる。なんとなくでわかるのだが、大半の見た目が子供。一部の人間には受けが良さそう。俺は違うけど。
着いたら、まず宿を探す。
ギルドに行って、情報を少し集める。
宿はドルーフという宿で、なんでもドワーフと屋根という意味のルーフをかけたらしい。ここでも屋根はルーフなのか…
とりあえずは宿で休憩した後は各自散開。俺とロボルは鍛冶屋探し。女子2人は観光。フェリクスは武器を見に行くらしい。
鍛冶屋を探すために、もう一度ギルドへ。
でも鍛治屋は多くあるそうで、そこまで収穫はなかった。
ということで、街の鍛冶屋を片っ端から当たる。
基準としては俺のナイフ並、またはそれ以上のものを作れるところがいいな〜。
いくつかあったが、なんか気に入らない。
なんというか、作風が合わない感じ。んーどっかいいところないかなぁ〜。
そうだ。いっそロボルに決めさせよう。素材はこいつの親のだしな。
「なぁロボル、お前の親の牙を預けるに値する鍛冶屋を探してくれ。そこにする。」
「ワン!」
ということで、探索再開。
1時間ほど周って、ロボルが一つの鍛冶屋にくいついた。
「ここがいいのか?」
「ワン!」
「わかった。お前の勘を信じよう。」
「ごめんください〜。」
「はーい。」
そう言って出てくるのはロリッ娘。惑わされるな。ここじゃ見た目と歳はなんの因果関係も持ってないのだから。
「あの、武器を作ってもらいたいのですが。」
「わかりました。今師匠を読んできますね。」
そう言ってロリッ娘は裏へ行った。あいつが作ってるわけじゃないのか。
「待たせてしまって申し訳ない。」
そう言って出てきたのは高齢のドワーフ。だが、俺でもわかる。この人はかなりの腕を持ってる。おじいちゃんっていうよりは翁って感じ。歳をとってるけど、その実力は確かってオーラが出てる。
「この牙を使って剣を一本作ってほしい。長さや見た目は出来ればこちらの要望通りがいいんだが、可能か?」
「どれどれ…ほぉ、これは立派な牙じゃ。ここまでの素材はそうお目にかかれる物ではない。」
「そんなにすごい牙なの?師匠。」
「あぁ。綺麗な牙じゃが、これはかなりの戦を生き抜いたものじゃ。素材として売れば、どれほどの値がつくか。失礼ながらこの牙はどこで。」
「こいつの親のでな。死に際に残していったんだ。」
「ほぉ、その子の親とな。さぞ立派な狼だったのじゃろう。しかし、申し訳ないが、儂には作れん。」
「どうして?」
「もう歳でな。今はこの子を育ててるんじゃ。」
「困ったなぁ。実はその牙を預ける鍛冶屋を探していて、こいつがここがいいということで立ち寄ったんだが。」
「むぅ。しかし、儂はもう…そうじゃ、こいつに作らせてはくれないかの?」
「え!?私ですか!?」
「理由をお聞かせ願いたい。」
「儂はこいつを育てて長く経つ。だからこいつの力は1番よく知っとる。それの上で提案した。きっと今の儂が作るよりも、この子が作った方が良い剣になるじゃろうて。」
「でも、私はまだまだ…」
「なにをいっとるじゃ。儂に弟子入りしてからもう五年じゃろ。教えれることは全て教えた。旅人さんや。どうかこいつに作らせてはくれんかの?嫌なら他のところにいっても構わん。」
「…少し、待ってくれるか?」
「もちろん。」
そう言って、ロボルと扉の前で話し合う。
「ロボル、お前はどう思う?」
ロボルも悩んでるようだ。他を当たるか、それとも自分の勘で選びぬいたここで、さっきの子に作らせるか。ロボルは牙を見つめて考えてる。まるで、あいつと話してるかのように。
そしてロボルは結論を出した。
「ワン!」
「わかった。」
そして俺たちはまたさっきの鍛治屋に入るのだった。
ネタは尽きないけど、体が…




