第20話 日本での日々 2
組合の反応から見ても異世界からのコミニュケ一ションの取れる存在が訪れたのは、ミラが初である。
しかも、妖精の加護とかで会話が出来るのは今のところ柊だけだ。
ミラに通信機と香辛料を持たせ、異世界で売却してもらい、此方の世界に戻って来たら通信機で連絡を貰いGPSで迎えに行けば、異世界との有利な交易が出来る。
しかも、話の流れからすると、フェアリ一リングいやフェアリ一ゲ一ト妖精の踊り場さえあれば、柊も異世界に行けるかもしれないのだ。
「異世界との貿易って関税とか、税金かかりますかね?」
と頭を傾げる経理の松浦。
「政府が異世界の対話出来る知的存在を認めてないから、今なら金貨とか持ち込んでも大丈夫じゃないか?金貨を売る時は税金かかるだろうが。」
自信無さげに答える柊。
まだバ一ベキュ一の続く裏庭で、新たな未来の形を考える2人に対して、井上とミラは意気投合し、更にワインの瓶を開けていた。
そんな2人を見て松浦と柊も一先ず考えるのは止めて宴会会場と化した裏庭のバ一ベキュ一に参加するのであった。
バ一ベキュ一の終わった次の日。
柊と松浦はミラと会談の場を設けた。
エルフ族はミラ以外にも肉食の文化はあるのか、フェアリ一ゲ一トの出現頻度、昨日の香辛料はミラの世界で受け入れられるのか等である。
それに対するミラの答えは肉食も草食も森の恵みを受けるという意味では変わらず、草食だけでは飢えが発生するだろうとのことで、フェアリ一ゲ一トは妖精の気まぐれで発生はランダムではあるが大森林は恵み豊かで妖精も多いことから1週間に1度見つけようと思ったなら可能であることが分かった。
肝心の香辛料については、塩、胡椒、砂糖に至っては彼方の世界より精製されており、流通は可能であるであろうこと、焼肉のタレ等も肉好きには堪らないだろうとのことであった。
香辛料をミラの世界で流通させたいとの柊達の考えをミラに相談すると莫大な利益が発生することから、彼方の世界でミラが冒険者をしていた際に知り合った大商人が居るので紹介してくれることになったが、見返りはミラの村に優先的に香辛料を回すという欲の無いものであった。
早速、香辛料等を大量に仕入れるために柊達4人は近くのス一パ一に向かった。最初は様子見の為にそれぞれ10Kgずつの購入を決めておいたが、やはり重く4人で行って正解だったと思った柊だった。
因みにミラはその特徴的な耳を大きめの帽子を深くかぶることで隠していたが、やはり窮屈そうであった。
これらはかさ張ることから、ビニールに包んだ状態で彼方の世界に持ち込み、以前のオ一ク討伐の際に残してあった戦利品の硬貨で壺を買い、移すことにしていた。
そうして、以前スタンプボアの討伐に来た町に再びやって来た柊達だったが、1つ計画を大きく替えた点があった。それは、荷物が重すぎる為に柊もミラに同行することになったのだ。
ミラも此方の世界にやって来た際にフェアリ一ゲ一トが同じところに行き来できることを確認していたからこその決定だった。
組合には事後報告となるが、最悪妨害もあり得た為に強行することとした。
交易品とGPS付きの衛星中継の世界中と通じる携帯電話と太陽発電式の充電器を持ち、鎧を着込んだ柊とミラがあらかじめ見付けておいたフェアリ一ゲ一トに入り、今、異世界へと旅立つ!
誤字脱字報告、感想、評価、ブックマ一ク大歓迎です。応援宜しくお願いします。
次回更新は4月30日午前7時を予定しています。




