これにてお終い
昨日投稿したかったけど気力が無かったので
最終話 これにてお終い
お帰り。
降ってきた声に、目を細める。
「里村……」
学校の屋上。
グランドではサッカー部と陸上部の声がしているのが耳に届く。
「動物たちは元気だよ。みんな真緒が居ないと文句言ってたけど」
世話していたのは俺なんだけどね。
大変だったと告げる声。
「ああ。――人の記憶からは二人が居なかったという事実は無いから」
居ない時は、居るという事実が消えて、戻ってきた今は居なかった事実は消えてるよ。
説明する里村。
「なんで……」
勇者――湯島が尋ねる。
「なんでお前がここに居るんだ……」
戻ってきた瞬間に待ち構えていたようにいて、説明をしてくれる。
………前回はそんなアフターフォローが無くて苦労したのにと湯島が文句を言うと。
「――何でわざわざお前にする必要がある?」
一刀両断。
「第一、真緒ならともかく何で湯島にする必要があるんだ。そんなフォローが欲しかったら事前準備しておけばいいだろう」
事前準備って……。
「里村…」
湯島と盛り上がっちるけど、どうもいろいろと聞きたい事がある。
いや、確かめたい事と言うべきか………。
「貴方……」
昔からの友人。いろんな事があって泣いていたりすると大概見つかって慰められた立ち直るきっかけを作ってくれた。
親友と言うか幼馴染と言うか信頼できる相手。
そう、どうして湯島のファンが私と湯島の仲を疑う前に里村と噂が立たないのだおろうと疑問に思うほどつるんでいた。
その里村が分からない。
いや、
「リム……クライン……?」
何で彼と同じ気配を纏っているんだろう。
「えっ………⁉」
湯島がじっと里村を凝視する。
「――告げたでしょう。俺は我儘なんですと」
笑う。
前髪がよく顔を隠していた。(それで風紀に怒られているのはよく見る光景だった)
眼鏡で顔が分かりにくかった。(人の眼が苦手だと直視したくないからと言い訳して今時見ない瓶底眼鏡をしていた)
その隠していた顔があらわになる。
「リム……」
知っている顔だった。
色彩と魔力と山羊の角さえなければ類似と言える存在。
リムクラインに――。
「魔族としてあなたの死を見送るのも本来の世界に戻るのを見送るのも魔族として再び力を得るのも俺は見たくなかった。――魔族は欲望で強くなる種族です。前例があるのだから異世界で記憶を持ったまま転生も可能だと判断して力を紡ぎました」
まあ、死んだのは故意ではありませんが。
「高位の者もそういう判断を面白がっていたので見逃しました。そう、勇者と我が君がどういう風に世界の決着をつけても恐らく俺という妙な判断をした魔族と言う存在でやや採点を甘くしたと思いますよ」
世界で遊ぶ。世界を巻き込んでの心中。それらを回避する今まで前例のなかった行為をすればいい。
「そう。――王を慕って魔力をすべてを消費して異世界転生なんて目論む魔族なんて娯楽に丁度いいでしょう」
その言葉を聞いて里村を――リムクラインを殴っていた。
「馬鹿っ!!」
涙が零れる。
「そんな忠義はいらない!! 死ぬなんて!! 死ぬなんて……」
死んでほしくなかった。大切だった。
別れるのは分かっていたから分かれるまで大切にしようと思った。
なのに、
「こんなところまで付いて来て……」
気がついたら里村の腕の中に閉じ込められていた。
「気にしないで下さい。――俺の我儘なんですから」
離れたくなかった。傍に居たい。
「真緒は俺の正体を知ったらやっぱいやになったか」
友人として過ごしてきたからの発言。
「………ムカつく」
そんな訳ないと知っているからこそ聞いてくるのだ。
気が付いたら湯島は消えていた。……まあ、いいけど。
「という事で。――――から」
リムの時には見せなかった笑み。
その時何か言ったが聞こえなかった。
でも、逃がさないから。と聞こえたような……。
まあ、幻聴だろうけど。
そういう事で私のやり残したことは終了した。
もう魔王じゃない。
ただ人として平和で平凡な日々を過ごしていこうと思う。
うん。平凡な日々送れるよね。うん。
突っ込みが来ると思いますが、これで終わりです。ちょくちょく修正していきます。




