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71、天界のその後


「…アルマたん…アルマたんが人間になっちゃった…もう二度と天界に戻って来ない…」


アルマたんが居なくなってからの私は、部屋の隅でうずくまりメソメソする事が多くなった。


だって、私の可愛いアルマたんが、女神ではなくなってしまったんだから。



アルマたんは特別な子だった。


神は泉から生み出されるが、皆成人の姿で現れ、生まれたては完全なる無だ。


そこから徐々に自我が芽生えてくるのだが、他の兄弟達が例に漏れず無の状態で生まれてきた中、アルマたんだけは違っていた。


「創造主さま、生んでくれてありがとうございます。私、とっても嬉しいですわ!」


何故か幼い少女の姿で生まれたアルマたんは、私を見るなり弾ける笑顔でそう言ったのだ。


それを見た他の兄弟達も、一瞬でその笑顔に心を掴まれたのだろう。


それから競い合うようにアルマたんと一緒に居たがった。


勿論私もアルマたんを独り占めすべく、幼いことを理由に私の神殿に囲い込んだ。


あの時が、私の生の中で一番幸せで満ち足りた時期だったと思う。


まるで本当の親子になったかのような幸せな時間だったが、やはり神と人の子との成長は異なり、アルマたんはあっという間に成人姿に変わってしまった。


しかも、私の神殿に出入りする女神達を見て何を思ったのか、自ら花殿へと住居を移してしまったのだ。


そうしてあっという間にルールアと親しくなり、あんな事になってしまったのだが…。


「うわぁぁあん!アルマたんにもう会えないなんて、耐えられないぃ!!」


私が騒ぐと、それを黙って見ていたルアが呆れたような溜息を吐く。


「仕方無いんじゃないですかねぇ…ルールア様や兄弟君達にもあんな理不尽な仕打ちをすれば、嫌われて当然だと思いますよ。」


だって、だって私、神だよ!?

神のやる事は絶対でしょう!?

神が白だと言えば黒も白になるんじゃないの!?


私の言いたい事が分かったのかますます白い目をするルアに、「…そういえば、ライナ様達がおいでですよ。」と告げられた。


私の邪魔をしたライナ達には罰を下そうと思っていたものの、結局アルマたんの事でそれどころではなくなり放置していた。


出来れば会いたくないのだが…


しかし許可も出していないのにライナはすぐにルアに通され、私に向かって頭を下げながら衝撃の言葉を放つ。


「リウグレット様、我ら兄弟は人間界に下ります。今まで大変お世話になりました。」


「は!!??」


思わず顔を上げライナを見ると、ライナは清々しい程の笑顔を浮かべていた。


「アルマリージュの居ない天界など、留まる意味がありませんので。それならばアルマリージュと出逢う可能性が少しでもある方を選択するのは当然でしょう?」


は!?は~~!?人間界に下るって人間に生まれ変わるってことだよ!?

そんなのアルマたんに絶対出逢えるかなんて分かんないじゃん!

どんだけ途轍もない確率だと思ってんの!?

無謀にも程がある!程があるけど…


「…ズルい!ズルいよーーーッ!!私だって創造主なんて辞めてアルマたんのとこに行きたいのに!!」


思わず本音が飛び出て、ライナはにっこり笑う。


「えぇ、えぇ、そうでしょうとも。しかし、それがリウグレット様への罰でしょう。では、失礼致します。私達の代わりに生まれる神が、アルマリージュのような愛らしい女神であるとよいですね。」


そんな女神生まれるわけないじゃん!!

今までだってアルマたんが初めてだったのに!!


私がうなだれていると、ライナは振り返ることなく神殿から去っていった。



長々とお付き合い頂き本当にありがとうございました。

更新が遅いにも関わらず読み続けて下さった方々には本当に感謝してもし尽くせません。

最後まで読んで頂き、本当にありがとうございました。

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