第04話:怪し気な管理官
店を出ると、滝川が待っていた。
「何か掴めました?」
「何も収穫なし」
「そうですか……もう一人の方はシロなんですかね……?」
「それは分からないわ。取り敢えず、他を当たりましょう」
「他ってどこへ?」
「……………………」
京子は何も思い浮かばなかった。
「警視庁に戻るわよ」
二人は警視庁に戻った。
捜査一課では、別の事件の話題が上がっていた。
「何何、何の話してんの?」
「ああ、山上警部。実は、先ほど二人が戻ってくる前に、如月 晴男っていう警察官の遺体が発見されまして、そちらの事件を優先して調べてくれって上から」
(如月 晴男? 俺って殺されたの?)
「そうなんだ。で、その事件に進展は?」
「今、角田警部補と緑川巡査が捜査に当たってます」
「ふーん」
(そっちは任せても大丈夫か)
「上松の事件の方は?」
「それについては捜査は終了だ」
そう言って現れたのは、山本管理官だ。
「山本管理官!」
「山上くん、滝川くんと共に如月くんの事件の捜査に向かってくれ」
「管理官、なぜ上松の──」
「黙れ! 上松の事件は捜査しないことになった。分かったらとっとと如月くんの捜査に向かうんだ!」
「は、はい!」
京子は滝川と共に晴男の遺体が見付かったと言う渋谷区の中学校前の公園に移動した。
「あ……山上警部」
公園の広場に晴男の遺体が横たわっている。
(何で俺がこんなところに?)
鑑識に話を聞いたところ、遺体は別の場所から運ばれてきたものだと分かった。
「他殺体……なんですか?」
「いや、遺体の外傷等を確認しても他殺とは言えないです。はっきり言えることは、これが死体遺棄だということだけですね」
「遺体、運びます」
鑑識が遺体を運び出す。
「角田くん、緑川くんと死体遺棄の捜査お願い」
「警部は?」
「私は山本管理官を調べるわ」
「え?」
「山本管理官、上松の事件の捜査を止めたのよ。これには何か裏があるのよ」
京子はそう言うと、滝川を連れて公安部の池田監察官の下を訪問した。
「何だ、君たちは?」
「山本管理官についてなんですが、上松の事件の捜査を止めたんです」
「その件については、我々も把握している」
「では、その理由は何ですか? 私の推測では、山本管理官にやましいことがあるからだと思うのですが……」
「その通りだ。だが証拠がない。そうだ。いっそのこと、君たちにも協力してもらおうか」
「具体的に何をしたらいいですか?」
「我々は事件の根本の加山殺しの黒幕を山本管理官だと睨んでいる」
「はあ……」
「そこでだ。君たちに証拠探しを手伝ってもらいたい」
「分かりました」
「相手は君たちより上の人間だ。十分に注意してくれ」
「はい」
京子と滝川は部屋を出た。