俺がほんのちょっとシリアス
そろそろマジになってもいいころ
「なあ、神さん」
「なにさね」
「どんな世界でも、いけるんだよな?」
「ああ。前も言ったけど元の世界はダメ。それから、矛盾する世界もダメ」
「矛盾?」
「光があるのに光が無い世界、とか、ゼロの使い魔世界だけど改変可能な世界!とかな。改変できた時点でゼロ魔じゃない、ってのはさっき説明したろ?そういう『矛盾』がなけりゃいい」
「……なら……ゼロの使い魔に限りなく近い……そうだな、長さの単位が『メイル』じゃなくて『メール』という違いがあるだけの、あとは小説版『ゼロの使い魔』に限りなく酷似した『設定』の実在の世界、というのは可能か?」
「…………ックックック。ああ、可能だ」
「……だが――それだと、俺のチート能力は発動できない。なぜなら、ゼロの使い魔に無限の剣製なんて能力を可能にできる設定が無いから、だな?」
「ッハ!そのとおり!だが、別にそれは問題ないだろ?酷似はしているが『無限の剣製が発動できる世界』にすればいい、と気づいてるんだろ?」
「『すれば』ね。……あー、やっぱりか」
その言葉で、確信した。
つまりは、そういうことなのだ。
何のことはない。これは、やはり茶番でしかない。
だけど、茶番であっても、やらなくてはならないことがある。
俺の、本当にあるべき、終わりの方法の『一つ』は、これで為すことができる。
そしてまあ――なんとなく、そしてこれは勘でしかないのだが、『神野郎』の正体が、判った気がする。
とはいえ、特に根拠があるわけではない。本当になんとなく、だ。
間違っている可能性のほうがはるかに高いけれど、たとえその通りだったとしても、俺は驚かないで
「ああ、やっぱりな」
と思う程度の話だ。
……認めたくないんだけどなぁ。
だけどま、せっかくの『遊べる機会』を貰ったんだ。
たとえこれが遊びだろうと、俺は『生きる』ことは全うする。
これだけは、変わらない。
変えてはいけない。
神野郎の言うとおり、どんな形でも、全力で生きてやる。
全力で生きて生きて生きて――次の次の次の――最後の俺が生ききったら、無という『終わり』に行こう。
さて、すべきことは決まった。
まずは『終わりの方法の一つ』を達成するとしよう。
「で、さっきの条件の、ゼロ魔に酷似した世界、に行くか?」
神野郎が、鼻をほじりながら聞いてくる。
むかつく。
だが、俺の勘が正しいのなら、むかつくのは当然なのだ。
悔しいから、とりあえずは、奴の斜め上に行くとしよう。
まあ、それも神野郎の手のひらの上かもしれないけれど。
でも、それは関係ない。
だって、この一回は、必ずどこかでやらなければならないのだから。
「俺の、次に望む世界は――」
さて、どんな世界で、どんな能力で行くのでしょう