皆と皆の気持ちと決意と
誰だろう。
僕(悠里)を呼ぶ声が聞こえる…。
まだ寝てたいのに…。
ばしゃーーーーー!!!
「わああああああああ!!!」
「おはよう」
思い切り水をかけられた頭はすっきり冴えて僕は完全に起床した。
にっこり笑った狂った魔術師がなんだか憎らしかった。
ぶすっとした顔をしてると狂った魔術師がタオルを頭にかぶせた。
「もう11時だよ」
そう言って。
なんか狂った魔術師は妙に僕の世界のことを知ってる。
ウミは「時計」なんて全く知らないみたいだったし「時間」だって数字化されてなかった。
(大体昼みたいな。12時とはいわない)
「くーちゃんってさー」
「くーちゃんはやめなさい」
あ、くーちゃんっていうのは狂った魔術師のこと。
だって名前がないから呼びにくいんだもん。
狂った魔術師なんて長いし。
でも狂った魔術師はくーちゃんと呼ばれることを嫌がってる。
ちなみに名前を付けられるのも嫌がった。
自分にはこの狂った魔術師の呼び名があってるからだって。
変なの。
「いいじゃーん。呼びにくいんだもん。ね?くーちゃん♪」
僕がにこっと笑うと狂った魔術師は少し気に入らないといった顔をした。
珍しいー!!
「で、何?」
狂った魔術師が僕の横に座る。
ベッドのマットレスが少し沈むのがわかった。
「なんでくーちゃんは僕の世界のことそんなに知ってるわけ?」
「見たからにきまってるでしょう」
首からぶら下げてる懐中時計を磨きながら狂った魔術師は答えた。
「ふーん。そんなに行き来してるの?」
「昔…子どもの頃にね。あの世界は今も昔も私の憧れだからねぇ」
狂った魔術師はいつもみたいににっこり微笑んだ。
僕は納得がいかない。
「あの世界がー?あこがれー?えー?え〜…?」
「そうだよ」
なんであんな世界がいいんだろ?
汚いことばっかのあの世界が。
でも…あれ?
なんか前より世界に対しての嫌悪感が減ってる気がする…。
気のせいだよね…?
「悠里?」
狂った魔術師が少し首を傾げる。
「え…?あぁ…なんでもない…」
僕は我に帰った。
うん。
気のせいだよね。
悠里は今世界のことを考えていた。
そう確信した。
もし悠里がいなくなったら私(狂った魔術師)はまた一人。
ま…そんことありえないけどねww
だって私には魔術があるから。
それにしてもウミと悠里を離れ離れにさせたのは私なのに悠里は何も疑わない。
面白いねぇ。
どうして疑わないのかな?
純粋なのか馬鹿なのか。
悠里といるとつい気が抜ける。
心を許してしまう。
不思議だ。
希望にあふれた世界で育ったから?
憧れの世界。
私の世界とは違う。
あの世界が愛おしくて憎らしい。
なら一緒に心中しようか…。
なんて…ね?