第39話 終止符【ピリオド】を打て!
20XX年。全国の高校において、能力解放という科目が選択できるようになり、五人に一人という割合で能力を使えるものが現れるようになったのだが…
その能力自体を悪用し心奏たちが住む世界をひっくり返そうとする組織が現れる。
そして、その組織に立ち向かう心に誓い決心した。心奏と心湊とその仲間たちとの世界平和と存亡を賭けた大きな戦いが今、幕を開けようとしていた。
膨大な魔力を溜めて、無事に天冥ノ扉を発動させた父親の神翔と、心奏の古き良き友人である水瀬レン。
無理矢理に異次元空間へ繋がる扉を生成した。
そして、心奏と烏丸は互いに十割の力を解放して、衝突する。
「まるで終末戦争だな。」
少し離れたところから心奏と烏丸の戦いを傍観している心奏の姉のカトレアが、思わず呟いてしまう。
烏丸は、溢れんばかりの魔力を巨大なエナジーボールに変換し心奏へ向けて解き放つ。
心奏は、烏丸の解き放った巨大なエナジーボールに対抗すべく自身の右手に魔力を集中させて叫ぶ。
「烏丸!!私は、貴方を倒して独裁支配の無い世界を手に入れる。」
「真・赤龍ノ咆哮!」
心奏が解き放った魔力は、赤く燃え盛る龍の如く烏丸の解き放った巨大なエナジーボールへぶつける。
"ズドンッ。”
鈍く重低音を伴った轟音が、ぶつかった衝撃波と共に辺り一帯へ響き渡る。
膨大な魔力同士の真っ正面からの激突が、空間を揺らめかせて空震が発生させる。
「その程度か?御堂心奏。貴様の全力と言うのは、これ程ちっぽけなものなのか?」
烏丸は、自身の期待していたものとは、程遠い現実に愚痴を零す。
それ程までに、烏丸は心奏に対して、自身に最も近しい強き存在だと認識があったのだが・・・。
だがしかし現実は、とても理解し難い想いに満ち溢れており尚且つ、逃避行動を思わず取りたいと無自覚に意識してしまう程に堕ちてしまっていたのだ。
その中でも心奏の認識だけは違っていた。
「私は・・・。私は、平和な世の中が好きだ。だが・・・。烏丸、貴方は私利私欲の為に世界を混沌へ陥れ更に、支配で縛り上げようとした。でも、私はそんな貴方の行動を否定はしない。そして、肯定もしない。それが、私の信念だ!」
心奏は、心のうちに秘めた自身の思いを叫ぶ。
私利私欲の為に支配するという行動を否定も肯定もしない。
だが・・・その行動が果たして、平和な未来を切り開く切り札になると断言できない現実。
今まさに、心奏は様々な思想に押しつぶされかけようとしていた。
否定も肯定もしないという第三の回答を持っているが為に・・・
その迷いが、心奏の内面を確実に蝕んでいたのだ。
「これ以上...お兄ちゃんが傷付くのを見るのは嫌。」
妹の心湊が、心の声を口に出した。
そして、妹の心湊はラグナロクの能力を解放して兄である心奏を助ける為に、残り少ない魔力を烏丸へ向けて解き放つ。
「貴様!!!」
烏丸の怒りの声が響き渡る。
だが・・・烏丸はそこでハッと気が付いてしまったのだ。
もう既に、自身の直ぐ背後は神翔とレンによって無理矢理創り出された異次元空間...天冥ノ扉が開いているという事に・・・
そして、その異次元空間から漏れ出る重力が、自身の身体を少しずつ異次元空間に吸い込まれつつあると。
「悪いが・・・親父!!少しばかり息子の立場から言わせて貰う。少し冷静さが欠けた状態では、俺の自慢の子供たちの真の強さには、決して勝つことは出来ない。だからこそ、少し頭冷やして来い!」
『天冥ノ扉・・・。出力最大!!』
神翔とレンは、天冥ノ扉へ限界以上の魔力を注ぎこむ。
そして、その瞬間を見逃さなかった心奏と心湊は、烏丸の魅せた一瞬の隙に限界以上の魔力を解き放ち烏丸の魔力によって、生み出された巨大なエナジーボールを押し返して烏丸を天冥ノ扉の中へ押し込む。
『天冥ノ扉・・・。閉扉!!』
神翔とレンが阿吽の呼吸で、異次元空間へ繋がる扉をバタンと閉めて烏丸を異次元空間の中へ封印する事に、成功したのであった。
果たして、これで心奏たちの勝利は無事に確定したのであろうか。
そして、この烏丸との終末戦争に終止符を打てたのか・・・
心奏は、ひとつの事件をきっかけに、謎の人物から狙われる様になってしまう。
そして、心奏自身は、稀有な存在として扱われていくことになるのであった。




