第37話 想い馳せる大決戦!
20XX年。全国の高校において、能力解放という科目が選択できるようになり、五人に一人という割合で能力を使えるものが現れるようになったのだが…
その能力自体を悪用し心奏たちが住む世界をひっくり返そうとする組織が現れる。
そして、その組織に立ち向かう心に誓い決心した。心奏と心湊とその仲間たちとの世界平和と存亡を賭けた大きな戦いが今、幕を開けようとしていた。
遂に、始まった最終奥義発動までの時間稼ぎと言う名の大決戦…。
烏丸は、心奏程度の力であれば、苦戦を強いられるはずはないと高々に宣言して後に、今まで自身に科していた枷を外し本気の力を解放する。
ぐんぐんと魔力量が高まり今まで魅せていた力がまるで噓だったかの様に、容姿も力も何もかもが別人の者となってしまう烏丸。
「どうかな?やつがれの全盛期の力は・・・。」
余裕に満ち足りた表情で心奏に問いかける烏丸。
だが…心奏は焦るそぶりすらも見せずに、只々冷静沈着に烏丸の投げかけた問いに応じる。
「それが全盛期の力という奴ね。だけどね、こっちだってあんた如きに負けてはいられないんだよ。何があってもね。早くこの戦いに終止符を打って平穏な日常を取り戻したい。それが私の一番の願いだ!」
心奏は、密かに内に秘めていた願望を口に出した。
時空を繋ぎし扉【ポータル】が出現したことにより各地で、暴動や一揆じみた事が起きており尚且つ、膨大な魔力の使用によって発生してしまった天変地異が、人々を苦しめて更に情勢的にも混沌を極めていたのだ。
その時空を繋ぎし扉【ポータル】を私利私欲の為に利用して、混沌に塗れた世界を創り出した張本人の烏丸を許す事ができない心奏は、一分一秒でも烏丸との戦いを終わらせて世界平和を齎したいと考えていたのだ。
勿論の事、この戦いが終わっても何かしらのキッカケで、世界が混沌を極める事が起きるのは、多種多様な価値観が齎すものだと心奏は既に理解していた。
そして、先の見えない決戦が今まさに始まるのであった。
一方その頃・・・
烏丸の館に居た妹の心湊と姉のカトレア、そして友人の千歳輝夜と幼馴染の三雲マリンは、何か自分たちが役立つことができないかと模索していた。
今の自分たちがひっくり返ったとしても手も足も及ばない烏丸に勝てないかと、思考回路をフル活用して考えていた。
「何かしら良い案は無いのかしら?次元の違いすぎる烏丸に勝てる方法が…。」
姉のカトレアが、思わず零してしまう。
だが…妹の心湊は兄である心奏の気持ちになって、兄である心奏はこう考えるであろうなという見解の欠片を掴みかけていた。
そして約十分程の時間が流れた時であった。
妹の心湊は遂に、兄である心奏が考えているであろうなという見解を掴み取る事に成功し思わず声を上げてしまう。
「もしかしたら、私たちの魔力も必要不可欠なのかもしれない。しかもそれは、お兄ちゃんに対してではなくて、お父さんとレン君に対してなんだと思う。恐らく、想像を絶する程の魔力量を必要とする業を発動させる為にね。」
なんと心湊は、天冥ノ扉の存在を知らない状況で、想像を絶する程の魔力量を使うという見解を導き出していたのだ。
そして彼女たちは遂に、決断を下した。
それは・・・神翔とレンに彼女たち自身の魔力を与える事で、少しでも神翔とレンの二人の負担軽減を図る為にだ。
それからの彼女たちの行動は物凄く早かった。
一刻も早く神翔とレンのいる場所へ向かわないといけないと考えて、彼女たちは神翔とレンが居る場所へ向けて歩みを進めたのであった。
だがしかし、彼女たちの考えは時を同じくして烏丸と戦っている心奏も既に考えていたのであった。
心奏は、枷を外して全盛期の力を解放した烏丸と互角レベルの戦いを繰り広げながら、頭の中では彼女たちが考えていた事と一言一句違わないレベルで、導き出しておりそれを何時神翔とレンに伝えるべきかと悩んでいたのだ。
「ほう。やつがれと戦いながら、考え事か…。まだ余裕があると見た。それでこそ心奏だ。」
烏丸は心奏と戦いながら心奏の瞳を見て状況把握しており、ボソッと蚊の鳴くような声で呟く。
そして心奏は、烏丸からの攻撃を捌きながら、"此処だ!"というタイミングで未来視を発動させた上で、神翔とレンにテレパシーで情報共有を図る。
(父さん、レン!ちょっと聞いて欲しい。今、二人の方に向かって心湊たちが向かって来てる。彼女たちが考えているであろう事は大体予測付いたから、私の口から言うね。魔力に関しての問題は解消される。それによって父さんたちが一時間もの間無防備になる必要性が無くなる。私の予想では彼女たちが父さんたちに魔力供給する事によって、三十分程度に短縮出来ると思う。だから彼女たちが到着したらできるだけ、烏丸に気が付かれない様に魔力供給を受けて欲しい。後の事は私の方で何とかするから!)
心奏は烏丸からの攻撃を捌きながら、タイミングを見計らってテレパシーで情報共有してその先の未来視を始めていた。
その間、神翔とレンは心奏からのテレパシーで情報を受け取って、少々安堵の気持ちが芽生え掛けたが…。
そのことを悟られぬ様に、平然を装って心湊たちの到着を待ちながら自身の魔力を溜めていたのであった。
果たして、心湊たちは無事に神翔とレンの二人の元へ辿り着く事が、できるのであろうか。
そして、心奏の秘めた願いを叶えられるのか...
心奏は、ひとつの事件をきっかけに、謎の人物から狙われる様になってしまう。
そして、心奏自身は、稀有な存在として扱われていくことになるのであった。




