33 魔道具
本日3話目です。
「あの、他に入り口を……、別に増やすことはできないんですか?」
さすがに対人恐怖症の私の家に他人を通すことは無理だ。
「入り口を……ですか?」
ちょう子さんの顔には影が差したままだ。
「ごめんなさい。入り口を解放してあげれたらいいんでしょうけど。家に人が入ってくるのは厳しいです。きっと異世界に興味がある人はたくさんいるはずなのに、ごめんなさい……」
この手のサブカル好きな人は日本に多いだろう。ちょう子さんも喜ぶし、私のようにここを必要としている人もいるかもしれないのに。
未成年で親もいない私に、他に部屋を借りることなんてできないし、家をなくしたらまるとともに路頭に迷ってしまう。
「ああ、ななさんのせいじゃないんです! 気にしないで下さい!」
私がしょぼくれてしまったので、ちょう子さんが慌ててフォローしてくれてる。
気を遣わせちゃってるよね。私に何かできることあるかな。
うじうじする私に対して、ちょう子さんはプルプルと頭を振って顔を上げた。
「そうですね! 入り口を増設する魔道具を申請してみます。たぶん、すごく資金がかかると思いますが、……できると思います! 向こうから繋ぐのは大変だけど、こちらで開けるならきっと。だから大丈夫です! まだ諦めちゃダメですよね」
「じゃあ、私はいっぱいお仕事受けて資金の足しになるように頑張りますね。ちょう子さん、私でもできそうなお仕事があったら紹介お願いします」
「はい! お願いします。ななさん優秀ですからね。頼りにしてます。私も頑張ってななさんにぴったりのお仕事見つけます!」
やっと笑顔が戻ったちょう子さんと、
「力を合わせて頑張りましょう」
手を取り合ったのだった。
◇
「そうだ、優秀と言えば。ななさん高評価十回達成です。おめでとうございます。高評価ボーナスの進呈です。こちらのカタログからお選びいただけます」
ちょう子さんは一冊の本を取り出し、十ポイントと書かれたページを開いた。
「灯りの魔道具、水の魔道具。……魔道具?」
あちらの世界の生活道具で、魔石という石を動力にしてるのだそうだ。
「これのこともあって、ななさんには説明が必要だったんです。いきなり異世界の話をしても戸惑われたり、怖がられたりすると思って。少しずつ時間をかけて、順を追って説明したかったんですけど。ななさん初回から優秀過ぎて、今日まで十回のお仕事全てに高評価がついたものですから。私が勇気を出すより先にボーナスの方が達成されてしまいました。すみませんでした。もっと早くに話さなければいけないことだったのに……」
「いいんですよ。私だって怖がって聞こうとしなかったんですからお相子です。でも、魔道具かぁ。魔法使いの話もありましたもんね。本当に魔法のある世界なんですね。魔獣とかモンスターとかも出るんですか?」
ありがとうななさん、と照れ臭そうに小さく呟いて、ちょう子さんは話を続けた。
「そうですね。魔道具にも使う魔石は街の外にある森などに出る中型以上の魔獣から取れるんです。ななさんに捕獲していただいたママウスも小さいですけど魔獣と言えば魔獣ですね。私たちの世界の生物は全てが大なり小なり魔力を持っていますから。そういう意味では攻撃的でない動物でも全てが魔獣ですし、こちらの世界の方から見ればモンスターと呼ばれるかもしれません。撫でてもらっているわんちゃんたちもですね」
あの子たちも! そう言えばテイムとか聞いたような気がしないこともない。
「あとは魔法ですか?」
ちょう子さんがモゴモゴと小さく呟くと、彼女の指先に小さな炎が灯った。
「おお……!!」
「こんな感じで火をつけたり、水を出したり。もちろん攻撃に使う魔法もあります。魔道具は魔石を使うので使用者の魔力は使いません。スイッチ式なので魔力の無いこの世界の人でも使えます。便利なんですよ」
改めてカタログのページを見せて、「どれか気になる品はありますか?」と問われた。
……これは、ファンタジーだ!
お読みいただきありがとうございます。
やっとこさファンタジー要素が出てきましたが、ななはマイペースに一歩ずつ頑張っていきます。
いきなり魔法が使えたり、スキルが生えたりはしません。
日本人の生身の体で頑張るななに応援よろしくお願いします。
暖かい三連休でしたが皆様穏やかに過ごせたでしょうか?
私は犬の散歩以外は家の中でした。
にもかかわらず、筆の進みが落ちてきておりまして……。
次章にちょっと苦しんでます。
明日からは一日二話更新に戻ります。
頑張って毎日更新したいと思いますので、応援よろしくお願いします。
引き続きお楽しみいただければ嬉しいです。




